2016年1月15日更新

【獣医師監修】犬の精巣腫瘍〜原因・症状と対策

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犬の精巣腫瘍とはその名の通り精巣にできる腫瘍を指します。

精巣は精子を作り出す器官ですが、精巣の役割はそれだけではなく、オスらしい身体をつくるための男性ホルモンを分泌しています。精巣にできる腫瘍が悪性である割合は5~20%と言われており、悪性であると命に関わる場合があるので、早急な対処が求められます。

犬の精巣腫瘍の原因や症状、対策についてご紹介します。

 

犬の精巣腫瘍の原因

犬の精巣腫瘍を引き起こす主な原因のひとつは潜在精巣です。

精巣は犬が生まれたばかりの頃には体表面に露出しておらず、体内に収まっています。基本的には生後2か月までに正常な位置まで降下してきますが、稀に精巣が体内に留まってしまうことがあります。そのような状態を潜在精巣と言います。

潜在精巣になっている犬と、そうでない犬と比較した場合、潜在精巣の犬では精巣腫瘍の発症率が10倍ほど高くなると言われています。ただ潜在精巣の発症率自体はそう高くなく、約1%ほどです。

犬の精巣腫瘍の症状

犬の精巣腫瘍の主な症状は精巣の腫れや脱毛、メス犬のような仕草などです。

腫瘍は時間が経過すると次第に大きくなっていきます。片方の精巣が見るからに大きい状態になっているときには精巣腫瘍の疑いが強いのですぐに動物病院に連れて行ってあげてください。犬の精巣腫瘍には間質細胞腫瘍、精上皮種、セルトリ細胞腫の3種類があります。

それらに関する詳細については以下に記載します。

間質細胞腫瘍

間質細胞腫瘍はライディッヒ細胞が腫瘍になったものを指します。

ライディッヒ細胞には本来男性ホルモンを分泌するはたらきがありますが、それが腫瘍化するとメス犬のような仕草が見られやすくなります。

精上皮種

精上皮種は別名セミノーマとも呼ばれ、精祖細胞などの精子を生成する細胞が腫瘍になったものを指します。

精上皮種は良性の腫瘍であることがほとんどです。

セルトリ細胞腫

セリトリ細胞腫はセルトリ細胞が腫瘍になったものを指します。

セルトリ細胞は本来精祖細胞に栄養を供給する役割を担っています。セルトリ細胞腫は悪性化する可能性が比較的高く、腫瘍のうちの1割程度が悪性化してしまいます。

 

犬の精巣腫瘍の対策

犬の精巣腫瘍は潜在精巣が原因で引き起こされることが多いです。そのため潜在腫瘍を治すことが最も効果的な対策となります。

ただ生後4か月を過ぎると潜在精巣になっている精巣を降下させることが難しくなってしまうので、それまでに潜在精巣の治療をしなければなりません。その方法はホルモン投与で性腺を刺激して体内に留まっている精巣を降下させるというものです。もし生後2か月を過ぎても精巣が降下していないときには獣医さんに相談してみてください。

犬の精巣腫瘍の治療

精巣に腫瘍ができて悪性化してしまったときには去勢をして精巣を摘出する場合があります。

ただ潜在精巣になっている場合には精巣がどこにあるのかを肉眼で確認することが難しく、レントゲンやエコー検査をしても見つからないことがあります。そのような場合には開腹手術をして精巣を探し、状態を見て去勢するかどうかを検討します。

犬の体力が不十分で手術をするリスクが大きすぎると判断されたときには抗がん剤を用いる化学療法になる場合もあります。

まとめ

犬の精巣腫瘍の原因や症状、対策についてご紹介しました。

犬の精巣腫瘍は潜在精巣の状態になっていると発症しやすくなっており、潜在精巣を治しておくことが有効な対策となります。ただ潜在精巣になっている精巣を正常な位置まで降下させるためには生後4か月までに治療を行う必要があり、生後間もない頃に精巣が正しい位置まで降下しているかを確認し、潜在精巣になっている場合には早急に治療を施してもらわなければ治せません。特に小型犬は潜在精巣になりやすいと言われているのでそのような犬種の犬を飼っている方は特に注意してください。

また去勢をして精巣腫瘍のリスクをなくすという方法がありますが、潜在精巣になっていると開腹手術が必要になる可能性が高いので犬の体に大きな負担がかかってしまいます。去勢をする際には獣医さんとしっかり相談をしてから決断するようにしましょう。

 
 

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