2016年1月27日更新

【獣医師監修】犬の白癬~原因・症状と対策

犬の白癬は、皮膚糸状菌という真菌(カビ)が原因で起こる皮膚病です。皮膚糸状菌に感染すると、患部が円形脱毛を起こし、フケが出るようになります。かゆみがあまり強くないタイプの皮膚病であるため、脱毛が少ない初期の段階では飼い主は気づきにくいかもしれません。

同居の動物がいる場合、感染がどんどん広がってしまうため、犬に白癬の症状が見られたら、すぐに隔離して動物病院で治療を開始する必要があります。

原因

犬の白癬は皮膚糸状菌という真菌の一種が感染することで起こる皮膚病です。皮膚糸状菌は人の水虫の原因菌でもあり、非常に強い感染力を持ちます。皮膚、被毛、爪の中で繁殖しやすく、感染部位に炎症を起こします。

皮膚糸状菌の種類と感染経路

皮膚糸状菌は、大きく小胞子菌、白癬菌、表皮菌に分けられます。犬でよく見られる白癬の原因菌は下記の3種類です。

  • イヌ小胞子菌(ミクロスポーラム・カニス、以下M・カニス)
  • 石膏状小胞子菌(ミクロスポーラム・ギプセウム、以下M・ギプセウム)
  • 毛瘡白癬菌(トリコフィトン・メンタグロフィテス、以下T・メンタグロフィテス)

犬の白癬の原因で最も多いのはM・カニスで、全体の70%を占めます。続いてM・ギプセウムが20%、T・メンタグロフィテスが10%となっています。M・カニスとT・メンタグロフィテスは、犬が皮膚糸状菌に感染している動物と接触することで、M・ギプセウムは土壌中に生息しており、土遊びをしているときなどに感染します。

その他、直接的な接触がなくても、床に落ちている皮膚糸状菌が付着した感染動物のフケやかさぶたから感染する可能性もあります。また、不顕性感染を起こしている動物から感染する恐れもあります。その動物に症状が出ていなくても、被毛に皮膚糸状菌が生息している場合があり、知らずに接触すると感染してしまいます。

皮膚糸状菌を発症しやすい犬とは

犬の白癬には、子犬や高齢犬、免疫力の落ちた犬がかかりやすい傾向にあります。多頭飼育の場合、1頭がかかると感染が広まりやすいので注意が必要です。

症状

犬が白癬を発症すると、感染部位に次のような症状が現れます。

  • 円形に脱毛する
  • かさぶたができる
  • フケが出る
  • かゆみがある

はじめに円形の脱毛が起き、同心円状にどんどん広がっていきます。脱毛した箇所は赤みを帯びて発疹が現れ、その後かさぶたができて、フケになってポロポロと落ちます。脱毛した箇所に色素沈着が見られることもあります。ひどくなると、患部に腫れや出血が起き、ただれたり、化膿したりすることもあります。ただ、かゆみはそれほど強くありません。

症状は頭や顔、四肢や足先、しっぽによく現れます。

対策

犬の白癬は、抗真菌薬の内服や外用薬で治療を行います。外用薬を使用する場合は、薬の塗布や浸透に被毛が邪魔となるため、毛を刈ってから実施します。抗真菌薬入りのシャンプーで犬の体をを洗うのも効果的です。

なお、根治までには1ヶ月以上かかります。犬の白癬は、放置していても2ヶ月半から3ヶ月程度で自然治癒することもありますが、白癬を発症している間は、ずっと感染性のあるフケを生活環境中にバラまくことになるため、やはり早期治療は欠かせません。

犬の白癬の予防法

犬の白癬を予防するには、まず感染動物との接触を避けることが一番大切です。免疫力の低下が発症の引き金になるため、ストレスを感じさせないことも予防につながります。また、ブラッシングをするなどして犬と毎日スキンシップをとれば、万が一感染・発症してもすぐに異変に気づくことができます。

皮膚糸状菌は、感染動物から出るフケにも付着しています。そこから感染が広がったり、再感染したりしないためにも、犬の生活環境を徹底的に掃除し、薄めた次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。その後もこまめに掃除をするように心がけましょう。

特に皮膚糸状菌は、温度15℃以上、湿度70%以上という条件下では増殖しやすくなるので、梅雨の時期は注意が必要です。シャンプー後も似たような条件になるため、すぐにドライヤーで全身をしっかり乾かしてください。

犬の白癬は人獣共通感染症です

犬の白癬は人にも感染する人獣共通感染症です。人の場合も免疫力が低下している状態で感染しやすく、頭部に感染した場合は、犬同様、感染部位に脱毛が起こり、フケが大量に出ます。犬に触ったら手を洗う、犬が行き来する部屋を定期的に掃除するだけでも予防になります。

犬も人も、一度白癬になると根治するまでに時間がかかるので、日頃から感染しないように気をつけましょう。

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