2016年6月3日更新

【獣医師監修】犬の肛門嚢炎〜原因・症状と対策

肛門嚢炎(のうえん)とは肛門嚢に炎症が起こっている状態のことを指します。

肛門嚢は犬の肛門の左右に存在している袋状の構造物です。肛門嚢は肛門腺からの分泌物を排泄時などに一緒に排出してマーキングする役割を担っており、犬同士がお尻の臭いを嗅ぎ合う仕草を見せるのはそのためです。

ただ肛門腺からの分泌液はこまめに排出しなければならないものですが、中には上手に排出できない犬がいます。そのような犬は肛門嚢炎を発症してしまう可能性が高いので注意してあげなければなりません。犬の肛門嚢炎の原因や症状、対策についてご紹介します。

犬の肛門嚢炎の原因

犬の肛門嚢炎の主な原因は肛門嚢管の詰まりや肛門嚢の中にある分泌液の蓄積などが挙げられます。

肛門嚢の中にある肛門腺からの分泌液は排出させなければなりませんが、肛門嚢管が詰まっているとそれを排出できなくなります。また分泌液を肛門嚢から押し出す力が弱くて分泌液が肛門嚢の中に溜まってしまう場合もあります。

肛門腺からの分泌液が溜まってしまうとその中で細菌が繁殖し、それによって炎症が引き起こされます。場合によっては膿が溜まってしまうこともあるので早急に対処してあげてください。

犬の肛門嚢炎の症状

犬の肛門嚢炎の主な症状は下記の通りです。

  • 肛門周辺に赤みや腫れが見られる
  • 排便が困難になる

また肛門嚢炎が関係していて見られやすい仕草については下記の通りです。

  • 尻を擦りつける
  • 尻尾を追いかける
  • 唐突に走り出す
  • 尻を舐める

それらのような症状が見られたときには肛門嚢炎を発症している可能性を考えてください。

犬の肛門嚢炎の対策

肛門嚢炎になりやりやすい犬は小型犬であると言われています。

小型犬は排泄時などに肛門嚢を搾って分泌液を排出する力が弱く、通常であれば肛門嚢から排出されるはずの分泌液を押し出すことができない場合があるためです。そのような場合は肛門嚢を物理的に搾って分泌液を排出させることができるので実践してみてください。

肛門嚢は肛門を時計の中心として考えると4時と8時の位置にあります。犬を入浴させているときなどに肛門嚢の位置を確認してみましょう。肛門嚢の中に分泌液が蓄積し、炎症や化膿を引き起こすと場合によっては腫瘍化してしまうことがあります。飼い犬の肛門嚢の状態を日頃から確認することを習慣化し、事前に予防してあげてください。

犬の肛門嚢炎の治療

犬の肛門嚢炎の治療は原因や症状の重さによって変わります。単純に肛門嚢の中に溜まった分泌液を排出する力が弱くて肛門嚢炎が引き起こされている場合は、まず肛門嚢を搾って内部に溜まった分泌液を押し出す形で排出させ、併せて抗生剤や抗炎症薬などを肛門嚢に注入します。

ただ以上のような治療法で完治が見込めないときには外科手術をして治療しなければならない場合もあります。肛門嚢炎の外科手術に関しては下記の治療法が考えられます。

  • 開放式切除術:肛門嚢と肛門嚢管の切除
  • 閉鎖式切除術:肛門嚢だけを切除

まとめ

犬の肛門嚢炎の原因や症状、対策についてご紹介しました。

犬の肛門嚢炎は肛門嚢管の詰まりや肛門腺からの分泌液を肛門嚢の外に排出させる力が弱いことなどによって肛門嚢の中に分泌液が溜まってしまうことで発症します。肛門嚢の中に分泌液が溜まってしまうと細菌感染を引き起こして炎症が見られたり、場合によっては膿が溜まってコブのように凝り固まってしまうこともあります。後者の場合は腫瘍化する可能性があると考えられているので、早急な対処が求められる状態と言えるでしょう。

犬が肛門嚢炎を引き起こしているときにはお尻を擦りつけたり、自分の尻尾を追いかけるといった仕草が見られます。そのような仕草が見られたら肛門嚢炎の可能性を考えてください。

肛門嚢の中に溜まった分泌液は飼い主の手で物理的に押し出して排出することが出来ます。特に小型犬は分泌液を排出する力が弱いので定期的に押し出してあげると効果的です。もし既に肛門嚢炎の症状が進行してしまっているときは獣医さんの診察を受けさせ、治療を施してあげなければ完治しなくなってしまう可能性があります。愛犬の健康を守るために、適切に対処してあげてください。

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