2016年1月25日更新

獣医師が教える!冬の乾燥が原因かも…?考えられる犬の病気。

冬の乾燥が原因かも?犬の病気

冬の時期、カサカサする肌やイガイガする喉といった乾燥による健康トラブルに悩まされている人も多いのではないでしょうか。実は、乾燥対策は犬にとっても大切です。冬の空気の乾燥や暖房器具の使用による皮膚や気道粘膜の乾燥は、犬の身体にもトラブルが起こすのです。特に、犬の皮膚は人間より薄いため、乾燥による皮膚トラブルを起こしがちです。今回は、冬の乾燥に関係した犬の病気と乾燥対策について紹介します。

その症状、乾燥が原因かも?『皮膚のかゆみ』

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皮膚病のなかった犬もかゆくなる

皮膚が乾燥すると、皮膚のバリア機能が低下します。そのような皮膚では、それまで何ともなかったような少しの刺激でもかゆみを感じるようになります。そのため、特に皮膚病のなかった犬でも、皮膚をかゆがるようになります。また、犬がかき壊してしまったり、なめ壊してしまったりして、ひどい傷になったり、皮膚炎を起こしたりすることもあります。

皮膚病と乾燥の関係

皮膚の乾燥は、皮膚病と深い関係があります。簡単に言うと、皮膚が乾燥して起こるバリア機能の低下が、皮膚病の原因のひとつになる場合があるのです。また、既に皮膚病を持つ犬では、冬場には乾燥が原因でかゆみなどの症状が悪化することがあります。特に、犬でよく見られる皮膚病である膿皮症やアトピー性皮膚炎は、乾燥が発症や症状を悪化させる因子のひとつと考えられています。
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ほとんどの場合、皮膚病には様々な原因が複雑に絡み合っていて、乾燥だけが原因というわけではありません。それでも、しっかりとした乾燥対策や保湿をすることで症状を和らげることができます。実際、保湿は皮膚病の治療の中でとても大切な役割を果たしています。適切なシャンプー療法を行い、時にはコンディショナーを使ってしっかりと保湿することで、皮膚のバリア機能を維持することが重要なのです。ただし、皮膚病の治療には、その病気にあったシャンプー剤の選択が必要です。必ず獣医師の指示を受けるようにしてください。

乾燥に注意したい皮膚病の例

細菌性膿皮症

乾燥してバリア機能が失われた皮膚には、普段から皮膚に存在して特に病気を引き起こしていなかったはずの常在菌が容易に侵入してしまい、皮膚炎を起こします。これが細菌性膿皮症です。たくさんのフケとともに脱毛し、強い痒みを伴います。

アトピー性皮膚炎

バリア機能の低下した皮膚で、様々な環境中の物質との異常な免疫反応(アレルギー反応)をおこすことで皮膚炎が起こります。これがアトピー性皮膚炎です。強い痒みとともに、皮膚は腫れたように赤くなります。

その症状、乾燥が原因かも?『咳』

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気道にほこりや細菌、カビなどの異物が入ると、粘液と線毛の働きでそれらを排泄させます。しかし、気道の粘膜が乾燥していると、この排泄機能がうまく働かなくなるので、咳をして強制的に異物を排泄しようとします。また、乾燥そのものが気道粘膜を刺激して咳を引き起こすこともあります。このように、乾燥に伴う咳は、特に大きな病気ではない生理的な現象の場合もあります。その一方で、呼吸器疾患や心臓疾患で、もともと咳をしやすい犬の場合には、乾燥によって咳が悪化する可能性があります。そのほか、乾燥により粘膜のバリア機能が損なわれることで、感染症も起こしやすくなります。気管支炎や肺炎などの感染症を起こしている場合にも、咳が出ます。

環境中の空気を加湿することは、咳の症状や不快感を和らげ、感染症予防にも役立ちます。基礎疾患がある場合には、乾燥対策で病気そのものが治るわけではありません。それでも、愛犬が快適に暮らすために乾燥対策は大切です。また、時に咳は命に関わる事態につながることもあります。愛犬が苦しそうにするなどしていたら、できるだけはやく動物病院を受診しましょう。

行なっておきたい乾燥対策

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空気の乾燥には加湿、暖房のかけすぎに注意

部屋の湿度は40〜60%が適切とされています。室内では加湿器を利用するなどして、適切な湿度を維持してください。また、暖房のかけすぎには注意しましょう。最近は床暖房を使用している家庭もあると思います。人間より低い位置で暮らしていることの多い犬にとっては、非常に乾燥しやすい状態になりがちです。毛布などを使うなどして、設定温度を上げすぎないようにしてください。

皮膚の乾燥には、適切なシャンプーと保湿剤

かゆがるから、ふけが出ているから、とシャンプーをしすぎないようにしましょう。それでも、古い角質を取り除き、バリア機能を修復するためにシャンプーは大切です。洗浄力が強すぎず、保湿力の高いシャンプーを使うとよいでしょう。また、特に乾燥しやすい愛犬には、コンディショナーや保湿剤を使ってもよいでしょう。皮膚の乾燥が改善しない場合は、動物病院で相談して、適切なシャンプーや保湿剤を選択してもらってください。時には保湿クリームを処方してもらえます。また、隠れている皮膚病が見つかることもあります。もともと皮膚病を治療中の愛犬の場合は、シャンプー剤の選択やシャンプーの頻度について、必ず獣医師の指示に従って下さい。

乾燥対策をしっかりして、残りの冬を快適に過ごしましょう

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このように、乾燥は人と同様に犬の皮膚や喉にも不快感やトラブルをもたらします。適切な乾燥対策を行なって、快適に冬を乗り切ってくださいね。

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