2016年6月2日更新

【獣医師監修】犬の耳血腫〜原因・症状と対策

犬が耳血腫になると、犬の耳たぶである耳介に突然膨らみが出来ます。この膨らみの原因は血液です。

実は突然ではなく、外耳炎や怪我など、なんらかの原因で血液がたまってしまった時に耳血腫が起るのです。年齢や犬種も問わない病気の為、普段から耳の健康チェックを欠かさないこと、耳を気にする様子があれば早めに獣医師に相談することが大切です。

犬の耳血腫の原因

犬の耳血腫は、一般に耳介の大きい犬種に起りやすいと言われていますが、実際は犬種や年齢を問わず起ります

皮膚と軟骨で形成されている耳介には、血管が通っていますが、その血管が切れてしまうと、血液や漿液がたまってしまうのです。

外傷によるもの

犬が耳血腫になる原因としては、なんらかの原因で耳に打撲を負ってしまったときの内出血、耳介にできた傷からの炎症などです。耳介が傷を負う原因としては、散歩中になんらかの理由で怪我をしてしまったり、他の犬と遊んでいる時に噛まれてしまったなど、様々なことが考えられます。その為、どんな犬でも耳血腫になりやすいと言えるのです。

疾患によるもの

犬の耳血腫は、もともと外耳炎がひどい場合に発症してしまうこともあります

外耳炎がひどくなると、犬は頭を振ったり、前足で耳を引っ掻いたりするようになります。耳介の中の軟骨周辺の毛細血管が切れると、そのまま耳血腫につながってしまうのです。また、もともと何らかの疾患があり、血液がなからなか止まらない状態になっていると、血がたまり、耳介の一部が大きく腫れあがってしまいます。

犬の耳血腫の症状

犬が耳血腫を発症すると、耳介に違和感を感じて耳を気にするようになります。耳自体も熱をもったり、腫れあがってくるため、触ってあげるとその異常に気づきます。しかし、逆に犬自身が耳を触られること自体を嫌がるようになったり、痛みや違和感でさらに耳を引っ掻いたりするようなしぐさが見られます。

もともと、耳血腫になる前に外耳炎などを起こしていた場合も多く、その際にあたまをしきりに振ることが多いものです。耳の中に異物が入っている時、怪我をしている時、腫瘍などができている時も犬はあたまを振ります。頭を振って、自分で耳を引っ掻くことを繰りかえすうちに、さらに炎症が進んでしまい、熱や膿がひどくなってしまう場合もあります

耳血腫がひどくなると、ひどいほうの耳が垂れ下がってきてしまったり、耳の変形が起きてしまうこともあります。活発な犬ほど、耳を気にしながらも元気に過ごしていることが多く、突然腫れあがったと感じて、びっくりしてしまう飼い主さんもいます。しかし、実際のところは、以前から耳を気にしていたという場合も多くあるのです。

犬の耳血腫の対策

耳血腫になると、耳の変形が起こってしまうこともあり、患部を圧迫して安静に保とうとしても、なかなか完全に修復できないこともあります。早期発見、早期治療が大切になりますので、耳の異常に気づいた時は早めに動物病院を受診することが大切です。

病院での治療

犬が耳血腫になってしまった場合は、すでに貯まった血液を抜く治療や手術で切開する治療を行います。注射で血を抜き、圧迫、抗生物質の投薬で術後感染を防ぎます。血腫がすでに大きくなっている場合は、切開手術をすることも多くなります。しかしながら、以上の治療方法では再発するケースが多いことが知られています。

傷口は大きくなりますが、外科的に完全に除去することで、再発の可能性を低くすることができます。この際も同様に抗生物質の投薬があり、その後の経過観察も必要です。

日常生活での注意

耳血腫になる原因として、以前から外耳炎など耳の病気を患っていたケースが多くあります。外耳炎や耳の中の腫瘍や炎症などは、耳のにおいがきつくなったり、耳垢が増えるなど、耳の変化があります。普段から気になる点があれば、早めに獣医師に相談することが大切です。

しかし、耳掃除のしすぎで耳を傷つけてしまうこともあります。耳の健康チェックは十分注意しましょう。

まとめ

耳血腫を発症してしまうと、耳の違和感や痛み、熱っぽさからさらに犬が耳を気にしてしまうことがあります。炎症がひどくなったり、二次感染などを起こすと、その後の治療も長引き、耳介がきれいに戻らない可能性もあります。

まずは、根本的な原因として耳介に血液をためないことが大切になります。耳ダニがいる場合や、外耳炎を起こしている場合は、要注意です。普段から耳の状態をチェックして、病気を防ぐようにしましょう。

ペット生活 獣医師



獣医師

ペット生活編集部の獣医師アカウント。ペットとの暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

関連記事

【動物看護士が解説】度重なる老犬の粗相。正しい改善策は?

若い頃はきちんと決まった場所で排泄出来ていたのに、シニアの仲間入りをしてから粗相が増えた、なんてことありませんか?「認知症かしら?」と思う方もいると思います。実際に、認知症になってしまいトイ……

【獣医師監修】犬の耳血腫〜原因・症状と対策

犬が耳血腫になると、犬の耳たぶである耳介に突然膨らみが出来ます。この膨らみの原因は血液です。 実は突然ではなく、外耳炎や怪我など、なんらかの原因で血液がたまってしまった時に耳血腫が起る……

【ペットシッターが解説】ラブラドールレトリバーとの暮らしで注意すること

ラブラドールレトリバーの性格と性質 性格 ラブラドールレトリバーは、とにかく賢くて、その優しさと従順な性格が人気の大型犬です。その賢さは、盲導犬などの仕事ぶりを見ていても分かりますが……

飼い始めの不安を解消!先輩飼い主さんの健康チェック方法をご紹介!

飼い始めは楽しい半面、初めてのことで戸惑う事も多いですよね。一番の不安はやっぱり健康面!そんな不安を解消するため、先輩飼い主さんに健康チェックを教えてもらいました! 「自分の子は自分が……

合言葉は「ぶひ可愛い!」鼻ぺちゃワンコたちの写真・物販展が開催!

画像出典:@Press:アットプレス 犬好きさんたちはご存知の方が多いと思いますが、ワンコは短頭種・中頭種・長頭種という3つのタイプに分けることができます。 ワンコの大半は中頭種で、……

感受性強し!!レークランド・テリアの里親になる方法と里親を探す方法

そこまでペットとしての人気は高くないものの、その洗練された外観とテクニックでドッグショーでは際立つ才能を発揮し、注目される犬種です。小柄ですが、みるからに頑丈そうな体格をしており、山岳地帯の……

【散歩に行く?行かない?】雨の日は愛犬とどう過ごしている?飼い主さんに聞いてみました!

もうすぐ雨の季節。散歩を習慣にしている犬も、天気によって行動が左右されてしまいます。雨の日に散歩に行くのはつらいけど、運動不足になったりストレスがたまってしまうのはどうにかしたいと思う飼い主……

動物看護師が選ぶ!足腰が弱ってしまったペットのためのグッズ3選

犬猫が歳を重ねると、避けて通れないのは体の運動機能の低下。腕や脚の動く範囲は狭くなり、体が動かしにくく、寝ていても寝返りを打ちにくい。自宅の犬猫を愛する飼い主さんなら、その姿を見て、「少しで……

【獣医師監修】痩せているようでも肥満?愛犬の健康は体重ではなく体脂肪率で測ろう

人間の検診では体重とともに体脂肪率を測ることはごく当たり前のことになりました。同じ体重でも重い筋肉が占める割合が多い場合と、軽い脂肪が占める割合が多い場合とでは体の組成や健康状態がまったく違……

自宅で出来る愛犬の手入れのポイント、動物看護士が教えます!

愛犬のシャンプーや爪切りなどの手入れは月にどのくらい行っていますか?毎回トリミングサロンにお願いしていますか?出来ればもっと頻繁にトリミングサロンにお願いしたいけど、お金のこともあるし、回数……

『春』は冬に溜め込んだ不要なものをデトックスする季節

東洋医学は、中国を中心とする東アジアで行われてきた伝統医学です。犬のケアとしてツボ経絡マッサージ、温灸、薬膳などご家族ができる補完・代替療法として注目されています。 東洋医学では、自然界の……

香水やアロマはOK?  ​「犬の嗅覚」の疑問に獣医師が答える!

香水をつけていたら、近付いてきた友人の犬に逃げられたことがあります。みなさんもそんな経験はありませんか? 「犬は人間よりにおいを嗅ぎ分ける力が優れています。犬にも香りの好き嫌いがあり、その犬……

預けるべき? 連れて行く? 獣医師が教える、家族で遠出するときのペットのベストな対応法

ペットを飼っている人にとって、家族全員で帰省や旅行をする際、ペットをどうするかということは大きな悩みのタネです。預けるべきか、連れて行くべきか、預けるとしたらどんなペットホテルがいいかなど、……

【動物看護師が徹底解説!】薬とフードの相性ってあるの?

我々人間は、病院や薬局に行くと他に飲んでいる薬やサプリメントはないか、薬を飲むときに特定の飲み物は避けてほしいなど薬の飲み合わせに関して、様々な決まりがありますよね。病気を治すための薬ですか……

大切なペットと『ちがう時間の流れ』で生きていることを感じられる定規。

大人になって様々なことが理解できるようになると、一緒に生活しているペットたちが自分と『ちがう時間の流れ』で生きていることが分かります。犬はだいたい15歳、猫はだいたい20歳が寿命だと言われて……