2016年2月20日更新

【画像解説あり】飼い主さん必見! 獣医師が教える、犬の上手な歯磨きのやり方

犬の健康のために、歯磨きをした方がいいと聞いて実践してみるも、嫌がられてなかなかうまくいかずにあきらめることが数回続きました。

獣医師で動物病院Rire(リール。東京都渋谷区)の橋本理沙院長は、「犬の健康のために、歯磨きは必須です。歯磨きをしないと歯周病のリスクが高まって、そこから菌に感染し、腎臓、肝臓などの内臓から脳にも悪影響が及ぶことがあります」と注意を促します。

そこで橋本医師に、犬に嫌がられない歯磨きの実践法を聞いてみました。

まず、「口にさわられること」に慣れさせる

「犬の多くは口をさわられるのが苦手で、いきなり歯ブラシを使って歯磨きをしようとしてもうまくいかないでしょう。コツは、いずれのステップでも、おとなしく口や歯にさわらせてくれたら、その度にほめる、おやつをあげるなどして、根気よく徐々に慣らしていくことです」と橋本医師。

ではさっそく、「犬の歯磨きの実践の手順とポイント」を橋本医師に伝授してもらいましょう。

(1) 口元をさわられることに慣れさせる

小型犬ならひざの上に抱いて、大型犬なら足や脇で支え、声を優しくかけるなどしながらスキンシップをとり、まずは、顔や口元にそっとふれることから始めます。口元をさわっても平気な様子になれば、次は唇をタッチ。できれば子犬のうちから慣れさせていくといいでしょう。

(2)口の中に指を入れる訓練

次に、口の中に指を入れさせてくれるように訓練します。最初は口を閉じたまま、上の唇をめくり上げる、さらに軽く唇を耳のほうに引っ張って奥歯が見えるようになどを左右それぞれ行い、前歯や犬歯、歯ぐきに横からそっとタッチ。歯の正面からいきなりさわると嫌がりますので、注意しましょう。慣れてきたら、徐々に奥の方の歯にもふれてみてください。

(3)慣れてきたら、ガーゼで手入れ

口に指を入れることができたら、ガーゼでのケアを始めます。自分のひとさし指にガーゼを巻き、前歯や犬歯に横からそっとタッチ、慣れたら歯をこすってみましょう。

ここまでが、歯磨きを始めるまでの準備段階です。橋本医師は、こうアドバイスを加えます。

「急いで訓練を進めると犬が歯磨き嫌いになるので、無理強いをしないようにしましょう。ただし、嫌がったからといって手を放すと、犬が『嫌がったら放してもらえる』と学習します。ですから、(1)の段階が重要になります」

45度の角度で歯にブラシを当てる

次に、いよいよ歯ブラシを使った歯磨きを始めます。

(4)歯ブラシに慣れさせる

すぐに磨こうとせず、まず歯ブラシに慣れさせましょう。最初は口の中に歯ブラシを入れることができれば十分で、その後に、歯にブラシをあてることを目標にしましょう。歯ブラシを嫌がる、なかなか慣れない場合は、(3)のガーゼでのケアを続けるようにしましょう。

(5)歯垢(しこう)をかき出すように、1本ずつブラッシング

歯ブラシに慣れたら、実際に歯磨きを行います。基本の磨き方は、歯ブラシを歯と歯ぐきの境目に45度の角度であてて、横向きに細かく動かす方法をお勧めします。力を入れ過ぎず、歯と歯ぐきの間の溝にたまった歯垢や食べかすをかき出すように、前歯から奥歯へと1本ずつ磨いていきます。特に、歯垢がたまりやすい奥歯を重点的に。すべての歯の表と裏を磨くことができたら完了です。

「犬がこれらの手順に慣れるまでは、歯磨き後にごはんにして、『歯磨き=いいこと』と関連付けるようにしましょう。歯磨きの頻度は、できれば毎日1回、ドライフードを食べている場合は週に3~4回でもいいでしょう」と橋本医師。

歯周病が悪化すると肺炎や心臓病を合併することも

犬の歯磨きのアイテムについて、橋本医師はこう付け加えます。

「歯磨き用のペーストは使わなくても大丈夫ですが、犬がペーストのフレーバーを気に入れば歯磨きの習慣がつくこともあるでしょう。口腔(こうくう)用のスプレーやジェル、サプリメントなどの歯石除去グッズも市販されているので、うまく活用してください」

続いて、歯磨きの重要性について次のように強調します。

「歯石がつかないようにすることが大切です。放っておいて歯周病が重症化すると、歯ぐきの腫(は)れや痛みだけでなく、鼻腔(びくう)炎や心臓病、肺炎などの合併症を引き起こすこともあります。すでに歯石がついている場合は動物病院で歯石除去をしてもらいましょう。

ただし、動物病院で歯石除去や歯周病の治療をする際には、歯肉の切開や抜歯などで麻酔が必要になることもあります。愛犬の体に負担をかけることになりかねないので、早めの歯磨き習慣や治療を心がけましょう」(橋本医師)

ヒトの歯周病の症状とほぼ同じと言えそうですね。犬の歯周病では、具体的にどういうきざしがあるのでしょうか。

「歯ぐきが赤い、歯を痛がる、ごはんを食べるときに首を傾けるといった様子が見られたら、歯周病が進行しているかもしれません。早めに動物病院を受診してください」(橋本医師)

この手順を筆者が飼う成犬に実践したところ、最初は口に歯ブラシを入れられるのを嫌がりましたが、何度もコミュニケーションをとっているうちに慣れてきたのか、1週間で歯ブラシで歯を磨くことができました。歯は犬にとって、健康に長生きするために一生大切にするべき器官の一つです。できるだけ毎日の歯磨きを心がけたいものです。

(日暮ふみか/ユンブル 写真提供/動物病院リール)

取材協力・監修 獣医師:橋本理沙氏。動物病院Rire(リール。東京都渋谷区)医院長。所属学会は日本伝統獣医学会(獣医東洋医学会)、日本動物リハビリテーション学会、日本獣医動物行動研究会。また、「ペット・メディカルアロマテラピスト」「ホリスティックケアカウンセラー」「JAHA認定パピーケアスタッフ養成講座修了」などの資格を有し、ホリスティックセラピーを取り入れた治療も行っている。

http://www.rire-r.com/

記事提供:【画像解説あり】飼い主さん必見! 獣医師が教える、犬の上手な歯磨きのやり方-学生の窓口

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