2016年12月21日更新

もしかしてデブペット? 獣医師が教える、愛犬の肥満度をチェックする方法

筆者の飼い犬が上手に「おすわり」や「待て」をするたびにごほうびのおやつを与えていたら、1カ月ほどで体つきが目に見えてふっくらしてきました。太り過ぎなのではと心配です……。「ペットの犬は、野生動物に比べて運動量が少なく、毎日十分な量の食事を与えられています。そのため肥満が多く見られ、体に大きな負担がかかっていることがあります」と話すのは、獣医師で、もも動物病院(埼玉県さいたま市)の谷祐子院長。犬の肥満の原因やリスク、肥満度をチェックする方法について聞いてみました。

肥満になると、関節障害、心臓病、糖尿病のリスクが高まる

犬の肥満の主な原因について、谷獣医師は次のように説明します。

「ヒトと同じで、犬も、消費エネルギー量より摂取エネルギー量の方が多ければ太ります。野生の動物の場合は、食べ物を探すために相当な量の運動をする上に食べ物にありつけないことも多いので、消費エネルギー量より摂取エネルギー量の方が少ないものです。

一方、ペットの場合は野生動物ほど運動する必要がなく、安全で快適な環境でのんびり過ごせる上、毎日食事を与えられます。その食事のエネルギー量が多ければ、必然的に体重は増していきます」

犬の肥満には、どのようなリスクがあるのでしょうか。

「体のあらゆる部位にさまざまな負担がかかりますが、例えば、重い体重を支えることで脚に負担がかかり、関節やじん帯の損傷を起こしやすくなります。体が大きくなった分、心臓はより多くの血液を体の隅々まで送り出さなければならず、心臓病になるリスクが高まります。

また、過剰なエネルギーをとることで、血中の糖分を代謝する役割を担うインスリンの必要量が急激に増します。その結果、インスリンがうまく作用せず、糖尿病になりやすくなります。さらに、万が一の手術の際、脂肪が多いと麻酔が効きにくく、多量の麻酔を使う必要があるため目覚めにくいというリスクも生じます。

多くのケガや病気を予防するためには、適正な体重を維持することが大切です」(谷獣医師)

背骨、ろっ骨、腰のくびれの3カ所で肥満度をチェック

では、犬が適正体重か肥満かをチェックするには、どうすればいいのでしょうか。

「ヒトの場合は、肥満学会が発表している肥満度を知る指数『BMI(ボディ・マス・インデックス)』があり、体重と身長から適正体重を計算することができます。ですが、犬の場合は身長が計りにくく、犬種や個体による体格の差が大きいため、体重から適正体重を計算することはできません。体をさわって判断します」(谷獣医師)

ここで、谷獣医師に、「犬の肥満度を知るための3つのチェックポイント」を教えてもらいましょう。

背中を背骨に沿ってなでる

背骨がさわりにくい、両脇の肉しかさわれないのは肥満です。適度に肉が付いていて、手に背骨があたるなら問題はありません。背骨がゴツゴツと、とがっているように感じるならやせ過ぎです。

ろっ骨のあたりを横方向になでる

肋骨がさわりにくい、まったくさわれないのは肥満です。手にすぐに肋骨があたるなら問題はありません。ろっ骨がゴツゴツした感触で、外からもはっきり見える場合はやせ過ぎです。

腰からおしりにかけてなでて、腰のくびれを確認する

くびれがない、上から見たとき、胸のあたりよりも腰側が盛り上がっているように太く見えるのは肥満です。腰がなだらかにくびれているなら適正な体型と言えるでしょう。くびれのカーブが大きく、上から見たときに砂時計のように見えるのはやせ過ぎです。

さらに谷獣医師は、次の注意点とアドバイスを付け加えます。

「愛犬の異変をいち早く察知できるよう、毎日のスキンシップの際に肥満度チェックも行うといいでしょう。ただし、(1)から(3)を試しても適正か肥満かの判断が難しい場合や、毛がフサフサしていてよく分からないとき、また、犬の体重にあわせた食事量を守っているのに太ってきた、逆に食事量を減らしていないのにやせてきたならば、病気やホルモン異常の可能性が考えられます。いずれも、動物病院を受診してください」

筆者も犬の肥満度チェックを実践したところ、背骨とろっ骨の感触と、腰のくびれを確認することができました。今のところは適正体重の範囲内のようですが、食事やおやつの与え過ぎに気を配り、スキンシップを兼ねて確認を続けることが大切ということです。

記事提供:もしかしてデブペット? 獣医師が教える、愛犬の肥満度をチェックする方法

ペット生活 獣医師



獣医師

ペット生活編集部の獣医師アカウント。ペットとの暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

関連記事

【獣医師監修】痩せているようでも肥満?愛犬の健康は体重ではなく体脂肪率で測ろう

人間の検診では体重とともに体脂肪率を測ることはごく当たり前のことになりました。同じ体重でも重い筋肉が占める割合が多い場合と、軽い脂肪が占める割合が多い場合とでは体の組成や健康状態がまったく違……

【動物看護士が解説】老犬の散歩で気を付けるべきことはなに?詳しく解説します!

老犬になり、歩くのが辛くなると寝てばかりの犬が多くなります。そんな姿を見ていると、「そっとしておいて寝かせていた方が良いのかな?」なんて思いがちですが、自分で起立できる筋力や体力があるうちは……

世界でひとつ。愛犬、愛猫のフィギュアを再現してくれる「3D Petshop」

飼い主さんなら誰もが愛犬、愛猫の成長の記録として、また飼っていた犬や猫の想い出として写真やビデオなどを撮ると思いますが、今回はちょっと違った形でペットの姿を残す方法。昨今、金型なしで立体を造……

【獣医師が解説】なんだか気分が落ち込む『五月病』もしかして犬猫にもあるの…!?

ゴールデンウィークが近づく頃になると、なんとなく気分が優れない、なんとなく憂鬱になる、無気力になる、食欲が落ちる、といったいわゆる「五月病」に悩む人もいるでしょう。ところで、犬や猫にも「五月……

人間が食べられる究極のペットドッグフードを作る「ランフリー」

犬の健康と食についての飼い主さんの意識が高まるようになって、ドッグフードはプレミアム化が進んでいます。種類も増え、愛犬の好みや体調に合わせて選択の余地も増えてきました。そんな中で大手ペットフ……

【獣医師監修】犬のジステンパー〜原因・症状と対策

ニホンオオカミの絶滅理由にもなったとされる犬ジステンパーは、犬ばかりだけでなく、多くの動物にとって感染の危険性がある感染症でもあります。また、死亡率も高いため、まずは感染させない為にも、ワク……

大切なペットと『ちがう時間の流れ』で生きていることを感じられる定規。

大人になって様々なことが理解できるようになると、一緒に生活しているペットたちが自分と『ちがう時間の流れ』で生きていることが分かります。犬はだいたい15歳、猫はだいたい20歳が寿命だと言われて……

【獣医師監修】犬の刺咬症〜原因・症状と対策

犬の病気で刺咬症というものをご存知でしょうか。刺咬症は簡単に言うと虫刺されのことで、犬も人間同様、さまざまな虫に刺されることがあります。しかし、たかが虫刺されと思って放置しておくとさまざまな……

江戸時代のペット愛護法?犬公方 徳川綱吉の「生類憐みの令」の驚く内容

犬を保護する政策で犬高公方とも呼ばれた徳川幕府5代将軍綱吉。歴史の教科書には必ず登場しますので、知っている人も多いことでしょう。人間より犬を大事にし人々を苦しめた将軍というイメージがある綱吉……

犬のニュース

獣医師に聞く! 愛犬が発熱したときの正しい対応とは?

風邪をひいて急に熱が出たとき、ヒトの場合は温かくして寝る、汗を拭いて水分補給するなどの応急処置をするところですが、犬の場合はどのようにすればいいのでしょうか。ヒトのケア法とは違うのか気になり……

犬にトイレを覚えてもらおう!成功確率アップのしつけ法とは?

犬は猫と比べてトイレを設置したからといって、最初からそこでトイレを済ませてくれる子はまずいません。 もしトイレ以外の場所で用を足してしまっても怒らないであげてください。 失敗したことを怒……

望まない妊娠を防ぐため。発情期の雌犬について獣医師が詳しく教えます!!

避妊をしていない雌犬の多くは、年に2回の発情期を迎えます。避妊をしていない雌犬が避けては通れない、発情期のケアについて一度見直してみませんか?発情期を迎えた雌犬には、発情出血が見られたり、神……

【獣医師が教える!】愛犬の状態に合ったドッグフードの選び方

近年、ペットの健康維持への関心が高まってきていることもあり、量販店や動物病院、インターネット通販などで、驚く程たくさんの種類のフードが販売されています。ずらりと並んだ多種多様なフードの中から……

獣医師が教える! 犬の便から健康・不調のサインを読み取るコツ

犬を飼っていると、日々、便を目にしますが、その色や状態からおなかの調子や健康状態を見分けることができればペットの病気の早期発見につながることもあります。そこで今回は獣医師で、もも動物病院(埼……

初めて犬を飼う方に 子犬の飼い方・しつけ方

犬を飼うまで 犬を飼うということは、一生面倒をみるということです。食事や散歩だけでなく、排泄物の処理やしつけ、病気にかかったときには動物病院へ連れていかなければいけません。動物を飼うという……