2016年4月29日更新

キャバリアの病気〜獣医師が解説するキャバリアのかかりやすい病気〜

豊富な飾り毛を備えた優美な見た目と、友好的でいて優しく穏やかな性格で、ペットとしての人気の高いキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル。キャバリアという愛称で親しまれています。高齢のキャバリアは心臓病にかかりやすいことが広く知られていますが、その他にもキャバリアで気をつけておきたい病気がいくつかあるので紹介します。

キャバリアの脳と脊髄の病気

キアリ様奇形(尾側後頭骨形成不全症候群)

後頭骨の先天性奇形です。後頭骨に奇形があることで、小脳と脳幹が納まるべき後頭部が狭くなり、脳幹とそれに続く頸髄を圧迫してしまいます。さらに小脳が後頭骨から外に飛び出してしまう、小脳ヘルニアを起こします。また、脳幹から頸髄にかけて圧迫されることで、内部を流れる脳脊髄液の流れが悪くなり、脊髄空洞症を起こすといわれています。この病気の詳細な病態については、いまのところはっきりわかっていません。

症状はキャバリアが若いうちから見られることが多く、この病気を発症しているキャバリアは、片側の耳の周りや首の片側をしきりに掻いたり、ずっと首を一方に曲げたような状態でいたりします。また、頚部に痛みが見られることもあります。症状が徐々に悪化するケースも多くあり、痙攣発作などの脳障害による症状を起こすことがあります。

確実な治療方法が確立されていないのが現状です。薬によって脳や脊髄の圧迫をおさえ、痛みなどの症状を改善させながらつきあっていくことになります。手術を行なうこともありますが、症状が再発する可能性があるほか、手術が可能な施設も限られています。

キャバリアの目の病気

白内障

水晶体が白く濁って視力障害を起こす病気です。加齢に伴うものもありますが、キャバリアでは非常に若いうちから発症することがあり、遺伝の関与が疑われています。

白内障の初期で水晶体の白濁が軽く、視力低下も軽度だと、検診などで指摘されることはあっても、日常生活の中で白内障を発見することは難しいでしょう。視力が失われると、キャバリアは物にぶつかりやすくなったり、歩きたがらなくなったりします。

白内障と診断されたら、点眼治療を行なって、少しでも進行を遅らせることを目指します。白内障が進行して視力が失われた場合、手術で視力を取り戻すことを検討できるケースがあります。ただし、実施できる施設の問題、合併症や術後のケアの問題などがあるので、かかりつけの動物病院の先生とよく相談しましょう。

キャバリアの心臓の病気

僧帽弁閉鎖不全症

犬で最もよくみられる心臓病が僧帽弁閉鎖不全症です。老齢のキャバリアで非常に多い病気で、最終的には心不全を起こしてしまいます。僧帽弁とは左心房と左心室を隔てている弁のことで、これが加齢とともに変性します。それにより、僧帽弁の弁機能が低下して、左心室から左心房へと血液が逆流します。こうして起こる左心不全は少しずつ進行し、悪化します。

僧帽弁閉鎖不全症を起こしている場合でも、初期であれば特に症状がなく、健康診断で心雑音を指摘されるのみというケースもあります。やがて、運動時や興奮時に咳が見られるようになります。さらに進行すると、運動を嫌がり、座り込んでしまったり、運動時に倒れたりするようになります。左心不全による肺水腫を起こすと、咳はさらに悪化し、酷い時には呼吸困難を起こす事もあります。

心臓を補助する薬を投与して症状を抑えます。咳をコントロールする薬も必要になることもあります。僧帽弁閉鎖不全症は根治の難しい病気です。複数の薬を組み合わせて投薬を続け、さらに体重管理や食事療法といったケアも生涯続けていかなくてはなりません。適切なケアと投薬を続けることで、僧帽弁閉鎖不全症の進行を遅らせることが期待できるといわれています。

キャバリアの骨と関節の病気

膝蓋骨脱臼

膝の関節にあり、膝の曲げ伸ばしに関わる「お皿の骨」が、正しい位置からずれる病気です。キャバリアでは、骨や腱、靭帯などの膝関節を構成する組織に先天的な異常があることがあります。膝蓋骨脱臼の発症には遺伝が関係しています。

膝蓋骨脱臼の症状は軽症から重症まで様々です。非常に軽度であれば、ほとんど症状がないか、たまにスキップのような歩き方をする程度ということもあります。一方で、膝蓋骨脱臼が重症になると、足を伸ばせず、着地もできず、さらに後ろ足は変形してしまいます。

膝蓋骨脱臼の治療は、年齢や重症度を考慮した上で決定します。リハビリテーションや体重管理のみという場合もありますが、手術が必要なケースも多くあります。特に、症状が重い場合には、成長に伴う後ろ足の変形を起こさないためにも、早めの手術が勧められます。既に後ろ足の変形が進んでいる場合も手術は可能ですが、手術の難易度は上がってしまいます。

キャバリアについて詳しく知りたい方はこちら
キャバリアの基礎知識まとめ

ペット生活 獣医師



獣医師

ペット生活編集部の獣医師アカウント。ペットとの暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

関連記事

大阪で犬の心臓病に強い動物病院おすすめ10選

犬の寿命が延びたことで、心臓病のリスクが高くなっていくと言われています。シニアとなった犬や、小型犬はより心臓病に注意する必要があります。 心臓病は悪くなる前に早期発見し、悪化させないこ……

犬の心臓の病気

東京で犬の心臓病に強い動物病院おすすめ10選

犬の寿命が延びたことで、心臓病のリスクが高くなっていくと言われています。シニアとなった犬や、小型犬はより心臓病に注意する必要があります。 心臓病は悪くなる前に早期発見し、悪化させないことが……

犬の心臓の病気

垂れ耳が魅力!キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル

飾り毛のついた垂れ耳と大きな瞳が愛嬌と上品さを醸し出すキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル。イギリスの貴族たちに愛された気品高い犬です。でもキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの……

キャバリア

キャバリアの里親になるには?探すには?

四角い顔とまるでソフトウェーブをかけたような大きく垂れた耳が優雅な印象のキャバリア。大きくてつぶらな瞳でじっと見つめられると心が癒されますね。そんなキャバリアの里親になるにはどうしたらよいか……

キャバリア

愛知で犬の心臓病に強い動物病院おすすめ10選

犬の寿命が延びたことで、心臓病のリスクが高くなっていくと言われています。シニアとなった犬や、小型犬はより心臓病に注意する必要があります。 心臓病は悪くなる前に早期発見し、悪化させないこ……

犬の心臓の病気