2016年6月3日更新

【獣医師監修】犬の刺咬症〜原因・症状と対策

犬の病気で刺咬症というものをご存知でしょうか。刺咬症は簡単に言うと虫刺されのことで、犬も人間同様、さまざまな虫に刺されることがあります。しかし、たかが虫刺されと思って放置しておくとさまざまな病気を引き起こしてしまう可能性があります。

人間よりも犬たちのほうがひどい刺咬症を起こしやすいので、しっかりと刺咬症について把握し、いざ刺されてしまった時にはすぐに対応ができるようにしておきましょう。

犬の刺咬症の原因について

犬の刺咬症は虫に刺された部位が炎症を起こしてしまう、人間でいう虫刺されです。

人間が虫刺されと聞いて思いつくのは「蚊」がほとんどですが、犬の刺咬症の場合は多種多様な虫が発症原因となります。どういった虫に刺されるのかによって症状も異なれば、傷口も変わってきます。

代表的な刺咬症の原因となる虫

蚊や、ブユ、ハチ、蛾、クモ、ムカデ、ノミ、ダニなど

特に注意すべき虫

ツツガムシ病を媒介するとなる「ツツガムシ」、フィラリア症を媒介するる「蚊」。

ツツガムシはダニの一種でツツガムシに刺されることで犬だけでなく人間もツツガムシ病を発症します。ツツガムシ病を発症すると発熱や湿疹を起こし、最悪の場合には髄膜脳炎や血液凝固障害、多臓器不全などを起こし死亡してしまうこともあります。

フィラリア症は蚊に噛まれることで体がフィラリアに寄生され、蚊に刺されてから数年後に心不全などを発症し死亡してしまう病気です。どちらも非常に高い確率で命が危険にさらされる病気です。

犬の刺咬症の症状とは?

犬の刺咬症の症状はどういった種類の虫に刺されるかによって症状も異なってきます。共通しているのは腫れや発赤、かゆみなどですが、かゆみなどを全く伴わないものもあります。

虫に刺されたことにすぐに気づくことができればどういった虫に刺されたのかがわかりますが、多くのケースでどういった虫に刺されたのか分からない場合がほとんどです。症状だけではどういった虫に刺されたのかを特定するのが難しい場合もあるので、どういった場所で何をしていてなどその時の様子を詳しく獣医師に伝えるようにしましょう。

蚊・ダニ・ノミ・ブユ・ハチ・ムカデに刺されたときの症状

ダニやノミは種類が多く、刺されても次のような症状が出ないこともありますが、これらの虫に刺されたときの主な症状としては、腫れ、発赤、かゆみ、痛みなどです。またアレルギー症状を引き起こすこともあり、強いかゆみを払おうと愛犬が患部を噛むことで出血し化膿してしまうこともあります。

マダニ・毒蛾に刺されたときの症状

マダニや毒蛾のような体にとって有害な分泌液を保有する虫に刺されたときには目に見えて犬の体調に異変が現れます。フラフラ歩いたり、足を引きずって歩いたり、食欲不振や呼吸困難などの症状を発することもあります。

虫に刺されることから発症する病気

フィラリア症、ツツガムシ病、ダニアレルギー症、ダニ麻痺症、バベシア症、ライム症、条虫症、アレルギー性皮膚炎など。

犬の刺咬症の対策方法

刺咬症を予防するには虫よけ薬や駆除薬などを定期的に使用し、愛犬を虫から守ってあげることが何よりも大切な方法です。それでももちろん、100%虫に刺されないという保証はないので、虫に刺されてしまったと気づいたときは安静に過ごさせるようにし、まずは様子を見ましょう。

しかし注意しなければいけないのは寄生虫や毒などを体内に持つ虫に刺されてしまった時です。急激に体調が悪くなるような場合やアレルギー反応が出てしまう場合はショック症状を起こして一刻を争う事態に陥っていることもあるので、早急に動物病院へ搬送しましょう。

外用薬による治療

虫に刺されたことがきっかけで体に虫が寄生してしまった場合はレボリューションなどの駆虫薬を使用して体に寄生した虫を駆除します。患部が炎症を起こしている場合には抗生剤などを使用することもあります。

内服薬による治療

虫に刺されたことにより体の内部に毒や寄生虫が侵入してきた際には内服薬を使用して治療を行います。

フィラリア症の対策

蚊に刺されることによって感染してしまうフィラリアは定期的にフィラリア予防薬を内服することでフィラリア症の発症を防ぐことができます。発症までに時間がかかるフィラリアですが定期的にフィラリアの検査を行うことで愛犬の命を救うことにもつながります。

外科手術による治療

寄生虫や病原体が体内に侵入してしまうと、犬の体内で猛威を振るようになります。深刻な状態では皮膚の切除や臓器の摘出手術などを必要とすることもあります。

まとめ

暖かくなってくると愛犬とお出かけする機会も増えてきます。そうなると必然と増えてくるのがこの刺咬症です。どんなに虫よけ対策をしていても虫に絶対刺されないという保証はないので、愛犬を守るためにも事前に予防できるものはしっかりと予防し、それでも病気を発症してしまった場合には早急に医師の診断を仰ぐように心がけましょう。

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