2016年4月30日更新

シェットランドシープドッグ(シェルティ)の病気〜獣医師が解説するシェットランドシープドッグのかかりやすい病気〜

何世紀にもわたって牧羊犬として活躍してきたシェットランドシープドッグ。温厚で優しい性格と知的な表情、抜群の運動神経を持ち、シェルティの愛称でも親しまれています。シェットランドシープドッグで気をつけておきたい病気としては、コリー種に特有の遺伝性疾患であるコリーアイ症候群や、鼻にできる腫瘍などが知られています。今回は、シェットランドシープドッグで知っておきたい病気について紹介します。

シェットランドシープドッグの脳の病気

特発性てんかん

脳腫瘍や脳の炎症などの異常がないにも関わらず、神経細胞が異常興奮してしまい、けいれん発作などを起こす病気です。脳にできた腫瘍や炎症を由来として起こるけいれん発作のこともあわせて、「てんかん」と呼ばれますが、シェットランドシープドッグでは、脳に腫瘍や炎症などの異常が見られないタイプの「特発性てんかん」が比較的多く起こります。特発性てんかんの発症の詳しいメカニズムはわかっていません。

特発性てんかんの症状は様々です。全身のけいれん、意識消失、失禁、よだれなどを起こす全身発作や、顔面の一部や四肢だけがけいれんする部分発作があります。発作は一時的で、シェットランドシープドッグが発作を起こしたあと、何も無かったようにけろりとしていることもよくあります。

発作の頻度や重症度を考慮して治療を決定します。特に何も投薬せずに経過観察を続ける場合もあれば、複数の抗けいれん薬を用いて発作を抑える場合もあります。特発性てんかんは完治が困難です。生涯にわたってつきあっていかなくてはならないでしょう。

シェットランドシープドッグの目の病気

コリーアイ症候群

コリーやシェットランドシープドッグで発症する遺伝性の眼疾患です。シェットランドシープドッグの目を構成する組織で、様々な先天的な形成異常が起こります。

コリーアイ症候群の症状は、形成異常の状態により様々です。無症状にみえる場合もありますが、シェットランシープドッグが非常に若齢のうちに病状が進行してしまい、失明に至ることもあります。

コリーアイ症候群の治療法はありません。遺伝性疾患ですので、コリーアイ症候群を発症したシェットランドシープドッグは、繁殖に用いることは勧められません。

シェットランドシープドッグの消化器の病気

胆嚢粘液嚢腫

細菌感染や炎症により産生された粘液が胆嚢の中にたまっていき、徐々に胆嚢が拡張していく病気です。進行すると、胆道閉塞や胆嚢破裂を起こし、さらには肝機能不全につながります。

胆嚢粘液嚢腫を起こしたシェットランドシープドッグでは、食欲不振や嘔吐がよく見られますが、全く無症状のこともあります。病気が進行して胆道が閉塞してしまうと、粘膜が黄色く染まる黄疸を起こします。また、胆嚢破裂を起こすと、胆嚢内にあった胆汁がお腹の中に漏れて腹膜炎を起こし、深刻な状態になります。

胆嚢粘液嚢腫と診断されたシェットランドシープドッグが無症状であれば、低脂肪食を用いた食事療法や薬による内科治療を行ないながら定期的に経過観察をします。症状が現れており、重度の胆嚢の拡張がみとめられる場合は、胆嚢摘出の手術を行います。また、胆道閉塞や胆嚢破裂が疑われるシェットランドシープドッグに対しては、速やかな手術が必要です。手術後も、食事療法をはじめとした内科治療は継続することが勧められます。

シェットランドシープドッグの皮膚の病気

日光性皮膚炎

シェットランドシープドッグをはじめとしたメラニン色素の少ない犬種が、日光に過剰にあたることで起こる皮膚炎です。日光性皮膚炎の発症には遺伝も関係しているようです。

シェットランドシープドッグの鼻と鼻鏡の境界、鼻筋、目の周囲などの被毛の少ない部分で皮膚炎が見られます。初期には赤くなる程度ですが、その後皮膚炎が悪化すると、脱毛したり、じゅくじゅくと液体がにじんできたりするようになります。かゆみや痛みがあるため、シェットランドシープドッグが気にして自分で引っ掻いてしまうことがあります。

日光性皮膚炎を根治できる治療法はありません。できるだけ直射日光を避け、皮膚炎を予防しなくてはなりません。日焼け止めクリームを塗布することが有効な場合もあります。皮膚炎を起こしてしまった時には、炎症を抑えるための軟膏などを使用し、エリザベスカラーを着用してシェットランドシープドッグが自分で引っ掻かないようにして治療します。

シェットランドシープドッグの腫瘍性疾患

鼻腔腫瘍

シェットランドシープドッグの鼻腔内にできる腫瘍の大半は悪性腫瘍で、中でも「腺癌」と呼ばれるものが最も多く発生します。

初期には、ねばねばした鼻水やくしゃみ、めやにや涙が増加します。しかし、この時点で鼻腔腫瘍を発見することは難しいことが多いです。病気が進行すると、鼻血の回数が増え、やがて鼻を含めた顔面の変形がはじまります。眼球が飛び出したように見えることもあります。さらに進行すると、呼吸困難を起こすほか、場合によっては発作などの神経症状を起こすこともあります。

最近では、鼻の腫瘍ができてしまったシェットランドシープドッグに対して、放射線治療を行なうことが増えてきました。しかし、放射線治療を実施できる施設が限られていることもあり、外科手術が選択されることもあります。いずれにしても、根治は困難なことがほとんどです。腫瘍が発見された時の状態にもよりますが、適切な放射線治療を行なえば約50%の割合で、1年間の生存が見込まれると言われています。

シェットランド・シープドッグについて詳しく知りたい方はこちら
シェットランド・シープドッグの基礎知識まとめ

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