2016年2月20日更新

ドーベルマンの病気〜獣医師が解説するドーベルマンのかかりやすい病気〜

筋肉質な体つきで俊敏な動きを得意とするドーベルマン。つやつやとした短い被毛にすっきりとした体つき、聡明な表情が魅力です。胸の深い体型なので、胃拡張胃捻転症候群を起こしやすいため、食事の与え方には注意しましょう。その他にも、ドーベルマンで気をつけておきたい病気がいくつかありますので紹介します。

ドーベルマンの脊髄の病気

ウォブラー症候群(尾側頚椎症)

尾側の頚椎の関節(肩に近い部位)が慢性的に不安定であることによって、中を走る脊髄が徐々に障害を受ける進行性の病気です。中高齢のドーベルマンでよく見られます。

ウォブラー症候群を発症したドーベルマンは、首の痛みのために頭を下げた姿勢で動きたがらなくなります。また、前足が強張ったように小さな歩幅で歩くようになります。病気が進行すると、やがて四肢の麻痺が起こり、歩くことや、立つこともできなくなります。

症状が軽度であれば、頚部をコルセットで固定した上で運動制限を行い、数週間安静にします。痛みが強ければ鎮痛剤を使うこともあります。これによって改善しない時や重症例では、手術が選択されることもあります。しかし、病気が慢性化している場合や、脊髄障害が重度であったり、脊髄が広範囲にわたって障害を受けていたりする場合などでは、完治が難しいケースもあります。

ドーベルマンの心臓の病気

拡張型心筋症

心臓の壁が薄くなり、心臓のポンプ機能が低下していく病気です。ドーベルマンやボクサーなどの大型犬でよく見られ、突然死の可能性もある病気です。

重症例でなければ、ほとんど症状は見られません。重症例では、咳や体重減少といった症状のほか、疲れやすくなったり、ふらついたり、失神したりすることがあります。さらに心臓機能が低下し、肺に水が溜まる肺水腫となると、呼吸困難を起こします。常に口をあけて呼吸していたり、横になることができずにおすわりの姿勢で苦しそうな呼吸をしたりします。目立った症状がないドーベルマンであっても突然死の可能性があるほか、不整脈や呼吸不全によって急激に重篤な状態になることがあります。

残念ながら、完治させることはできない病気です。内科治療によって心臓機能を補助しながら病気と付き合っていかなくてはなりません。緊急時には酸素吸入をはじめとした集中治療を行いますが、早期に死亡してしまうことも少なくありません。

ドーベルマンの消化器の病気

胃拡張胃捻転症候群

胸の深い大型犬種で起こることの多い、命に関わる緊急疾患です。胃にガスや液体などが過剰に貯まって徐々に膨らんでいき、やがて胃がねじれてしまう病気です。食事を急いで食べたあとに運動すると、発症しやすいと言われています。胃がねじれると、貯まったガスが排出されなくなります。さらに胃の内容物の発酵は続くため、胃内のガスの貯留は進みます。やがて大きく膨らんだ胃で周囲の血管が圧迫されるなどして、全身の循環不全に陥ります。また、ねじれた胃では血流が障害されるために、胃の壊死が進みます。この病気は、発症したらすぐに適切な処置をしなければ死亡してしまいます。

胃拡張胃捻転症候群を起こしたドーベルマンでは、急激に腹部がふくらんできます。また、何度も何度も吐こうとしますが、何も嘔吐できず、よだれを多量に流します。落ち着きなくそわそわとした様子になることもあります。時間が経つにつれ状態は悪化していき、立っていることもできなくなり、ショック状態となってしまいます。

まず応急処置として、胃に貯まっているガスを抜かなくてはなりません。口から胃へとチューブを挿入できる場合には、挿入して胃からガスを排出させます。緊急処置として、体表面から胃に向かってガスを抜くための針を挿入することもあります。胃がねじれているために口から胃内へチューブが挿入できない場合には、緊急開腹手術が必要です。手術では、胃内のガスを抜き、ねじれた胃を整復するほか、胃を洗浄し、ねじれの再発を防止するための胃の固定も行ないます。手術後も、状態が安定するまでは、慎重な経過観察と集中的な治療が必要です。

ドーベルマンの骨と関節の病気

股関節形成不全

股関節形成不全は股関節を形成する組織の先天的な問題で、股関節が緩く不安定で、亜脱臼を起こしている病気です。成長とともに状態は悪化し、股関節が常に不安定であることによる関節炎が進行します。ほとんどの場合、股関節形成不全は両側で発症します。股関節形成不全の発症には遺伝が関与しているため、繁殖を考えている場合には特に注意が必要です。

股関節形成不全のドーベルマンは、後ろ足がうまく使えずにぴょんぴょんと飛び跳ねるように歩いたり、腰を振って歩いたりします。また、おすわりがうまくできなかったり、段差を嫌ったりします。これらの症状は成長期に始まりますが、多くの場合で成長後に一時的に症状が軽快します。しかし、治療を行っていなければ股関節の関節炎は進行しますので、後に歩行異常が再発します。

軽症であれば、鎮痛剤やサプリメントを用いて症状をコントロールしながら病気とつきあっていくこともあります。体重管理や、適切な筋肉をつけるリハビリテーションも大切です。一方で、外科手術が必要な場合もあります。股関節形成不全の手術にはいくつかの方法があります。年齢や体格、股関節の状況などを考慮して手術方法を選択します。

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