2016年2月20日更新

ジャーマンシェパードの病気〜獣医師が解説するジャーマン・シェパードのかかりやすい病気〜

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頑丈でひきしまった体に知的な表情を持ち、忠実で聡明なジャーマンシェパード。その能力の高さから、使役犬として様々な場所で活躍していることはとても有名です。ジャーマンシェパードは、原因不明の重度の皮膚疾患を起こしやすいことが知られています。また、胸の深い体格であり、胃捻転胃拡張症候群にも注意が必要です。そのほかにもジャーマンシェパードで知っておきたい病気がいくつかありますので紹介します。

 

ジャーマンシェパードの目の病気

白内障

水晶体が徐々に白濁してきて視力障害を起こす病気です。加齢に伴って起こることもありますが、ジャーマンシェパードでは若齢のうちから発症することがあります。

白内障の初期は、水晶体の白濁が軽度で視力障害による症状もはっきりしません。そのため、日常生活で白内障に気がつくことはあまりありません。白内障が進行して視力が失われると、物にぶつかったり、散歩を嫌がったりするようになります。

白内障と診断されたら、点眼治療で進行を遅らせることを目指します。白内障が進行して視力が失われてしまった場合は、手術で視力の回復ができるかを検討します。ただ、現状では白内障手術が実施できる施設は限られています。合併症や術後のケアの問題などもあるので、かかりつけの獣医師とよく相談しましょう。

ジャーマンシェパードの消化器の病気

胃拡張胃捻転症候群

胸の深い大型犬で発症しやすい緊急疾患です。ガスや液体などが過剰に貯まった胃が徐々に膨らんでいき、やがてねじれてしまう病気です。食事をガツガツと食べた直後に運動すると発症しやすいと言われています。胃がねじれてしまうと、胃に貯まったガスが排出されなくなります。その後も胃の内容物の発酵は続くため、胃内にはさらにガスが貯まっていきます。やがて大きく膨らんだ胃が周囲の血管を圧迫して全身の血液循環が滞ります。また、ねじれた胃そのものでも血流が障害されるため、胃の壊死が進みます。胃拡張胃捻転症候群は、速やかに適切な処置をしなければ死亡してしまう病気です。

胃拡張胃捻転症候群を起こしたジャーマンシェパードでは、急激に腹部がふくらんできます。何度も吐こうとするものの何も吐くことができず、多量のよだれを流します。時間が経つにつれて状態はみるみる悪化していき、やがて立っていることも困難な状態となります。

治療は一刻を争います。まずは応急処置として、胃に貯まっているガスを抜かなくてはなりません。口から胃へとチューブを挿入して胃からガスを排出させます。緊急処置として、体表面から胃に向けてガスを抜くための針を挿入することもあります。また、全身の状態を注意深く観察しながら、輸液や注射などによる投薬治療を行ないます。胃のねじれのために、口から胃内へとチューブが挿入できない場合には、緊急開腹手術を行ないます。手術では、胃からガスを抜き、ねじれた胃を元に戻すほか、胃の洗浄、ねじれを再発させないための胃の固定も行ないます。手術後も、状態が安定するまでは集中的な治療と慎重な経過観察が必要です。

肛門周囲瘻

肛門周囲の皮膚や肛門嚢などで起こった細菌感染による炎症が深部に向かって進行し、やがて破裂してしまう病気です。発症の詳しい原因はわかっていません。

肛門の近くに、1つ以上、時には複数の穴があいたようになります。強い臭いがあり、たくさんの膿が出ます。また、とても強い痛みを伴い、痛みによる便秘を起こします。

内服薬による治療とともに、肛門周囲の清潔を保つようにします。また、食事療法などによって便秘を解消させます。この病気は再発を繰り返すことがよくあり、状態によっては繰り返しの手術も必要になります。

 

ジャーマンシェパードの骨と関節の病気

股関節形成不全

股関節形成不全は股関節を形成する組織の先天的な問題で、股関節が緩く不安定になる病気です。成長とともに股関節の状態は悪化します。常に不安定な股関節では、関節炎が進行します。股関節形成不全の発症には遺伝が関与しているため、繁殖を希望している場合には特に注意が必要です。

股関節形成不全のジャーマンシェパードは、ぴょんぴょんと飛び跳ねるように歩いたり、腰を振って歩いたりといった特徴的な歩き方をします。また、段差を嫌がったり、運動を嫌がったりすることもあります。成長期に始まるこれらの症状は、成長後に一旦軽快します。しかし、不安定な股関節では関節炎は進行していきますので、治療をしなければ歩行異常は再発します。

軽症であれば、鎮痛剤やサプリメントを用いるほか、体重管理や、適切な筋肉をつけるリハビリテーションを行ないながら股関節形成不全とつきあっていくこともあります。しかし、股関節形成不全が自然に治癒することはありませんので、外科手術が必要となるケースも少なくありません。股関節形成不全の手術にはいくつかの方法があります。年齢や体格、股関節の状態などを考慮して手術方法を選択します。

ジャーマンシェパードの皮膚の病気

全身性膿皮症

膿皮症とは皮膚で細菌感染を起こす病気です。ジャーマンシェパードは、全身の皮膚に重度の細菌感染を起こすことがあります。発症の詳しい原因はわかっていません。

軽症のうちは、痒みや脱毛を伴って皮膚が赤く腫れ、膿を含んだ水ぶくれが見られます。これらが全身に広がり、やがて悪化していきます。細菌が皮膚の深いところへと侵入していくと、皮膚に蜂の巣のような穴がたくさん開いたり、それらがつながって大きな潰瘍をつくったりします。また、じゅくじゅくとして、たくさんの膿が排出されます。発熱して元気がなくなることもあります。

内服薬による治療とともに、毛刈りやシャンプーを行なって清潔を保つようにします。重症例では治療が非常に難しく、投薬が長期にわたることも少なくありません。

 
 

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