2016年7月7日更新

【獣医師監修】犬の網膜剥離〜原因・症状と対策

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犬の網膜剥離は、遺伝的に目の病気になりやすい犬に発症したり、なんらかの疾患をきっかけに発症するなど原因も様々です。しかし、痛みや充血などの主な症状がない為、気づかないうちに進行してしまうことがあり、注意が必要です。長期にわたって進行すると、失明してしまう危険性もあり、日頃からの眼科検診で早期発見につとめることが大切になります。

 

犬の網膜剥離の原因

物を見る仕組みとして、大切な役割を担っているのが網膜です。水晶体がカメラのレンズの役割を果たし、水晶体で屈折した光が、フィルムの役割を果たす網膜で焦点を結んでいます。網膜は視細胞で覆われており、この細胞によって、視覚情報が視神経を介し脳へと情報が伝わるのです。犬の網膜剥離は、この網膜がはがれてしまう状態となり、視力障害を引き起こします。

遺伝的な原因

網膜剥離が起こりやすいと言われている犬種があるため、発症に遺伝も大きく関係していると言われています。もともと、水晶体に異常を起こしやすいシー・ズー、ヨークシャー・テリア、ボストンテリアなどのテリア種も網膜剥離にもなりやすいと言われています。また、網膜形成不全を起こしやすい犬種、ラブラドールなどもなりやすいと言われています。

その他の原因

すでに基礎疾患をもっていたり、なんらかの怪我や事故によって外傷を負った場合にも網膜剥離は起こります。例えば、高血圧や糖尿病、甲状腺機能低下症といった全身に症状が出る疾患で網膜剥離を起こす場合もあります。また、緑内障や白内障、水晶体脱臼といった目の疾患で起こる場合もあります。

犬の網膜剥離の症状

犬の網膜剥離の場合、症状がほとんどありません。犬自身、痛みや充血もないので、そのままの生活を送り、症状が進行してしまう場合も少なくありません。片方の目が網膜剥離を起こしていても、もう片方の目が正常であれば、普段どおりの生活ができてしまいます。

網膜剥離の種類

網膜剥離は、網膜がはがれ落ちてきてしまう状態ですが、犬の場合、網膜の一部に穴が開くことによって、めくれてくることによって起こります。この裂孔原性網膜剥離が犬の場合は多いとされています。

滲出性網膜剥離は、網膜や脈絡膜にすでに炎症がある場合に、網膜に漿液がたまってしまい網膜剥離を起こします。糖尿病などでは、網膜が硝子体側に引っ張られてはがれてしまう牽引性網膜剥離を発症することもあります。

日常生活での症状

犬の網膜剥離は、症状がほとんど出ないことから、進行してはがれた網膜が見えてしまうなど、かなり症状が進行してから初めて気づくケースが多いです。物にぶつかるといった様子や、遊んでいて突然びっくりした動きを見せるなど、今までにない様子に気づいたらすぐに動物病院を受診するようにしましょう。

 

犬の網膜剥離の対策

犬の網膜剥離が疑われる場合は、まずは様々な検査を行います。原因を突き止めても、網膜剥離がすでに進行している場合は、有効な治療がなく、手術を行うことができる動物病院も非常に限られています。その為、対症療法や普段の生活環境を整えることが中心になります。

病院での検査と治療

なんらかの疾患や外傷を負っていて、網膜剥離を起こしている場合は、優先的に原因となっている疾患の治療を行います。特に糖尿病で網膜剥離を起こしている場合は、急激に進行することもあり、注意が必要です。涙量検査・眼圧測定・眼底検査などの他、疾患が疑われる場合は、それに伴った検査と治療が行われます。

日常生活での注意

すでに網膜剥離が進行していて、視力を失っている場合に気づくこともあります。物の場所がわからなくなっていると、部屋の中でも思わぬ事故につながるケースもあります。

部屋の中の障害物をどかす、段差を減らす、スペースを区切る、急な物音などのストレスを与えないなど、犬が少しでも安心して過ごせる環境を整えるようにしましょう。

まとめ

犬の網膜剥離は、自宅にて症状に気づくことがとても難しく、早期発見の為には、日頃からの眼科検診が大切になります。眼科検診によって、網膜剥離だけでなく、他の病気を予防することにもつながります。

遺伝的に網膜剥離になりやすい愛犬や普段の生活の様子で異変に気づいた場合、眼科専門医のいる動物病院に相談するなど、早期発見、早期治療につとめるようにしましょう。

 
 

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