2016年6月8日更新

【獣医師監修】犬のホルモン性脱毛症〜原因・症状と対策

すべての哺乳類の体の中で非常に重要な働きをしている物質の一つにホルモンが挙げられます。もちろん犬の体の中でもさまざまなホルモンが働いており、このホルモンがきちんと分泌され、機能することで体が成長したり、毛が伸びたり、汗をかいたりすることができます。

しかしこのホルモン分泌に異常が起きてしまうことで逆に毛が抜け落ち脱毛症を発症してしまうことがあります。今回は犬のホルモン性脱毛症について詳しく見ていきましょう。

犬のホルモン性脱毛症の原因について

犬のホルモン性脱毛症はホルモンの分泌に異常が起きてしまうことによって発症する脱毛症のことです。

犬の脱毛を左右するホルモンには副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、性ホルモン、成長ホルモンがあり、これらのホルモンが増えたり減ったりすることによって、皮膚に影響を及ぼし毛が抜けてしまいます。

副腎皮質ホルモンによるもの

クッシング症候群や遺伝、脳腫瘍、副腎腫瘍などが原因で副腎皮質ホルモンの分泌に異常が起き、脱毛が起きます。

甲状腺ホルモン異常によるもの

甲状腺機能低下症や自己免疫疾患、甲状腺委縮、クッシング症候群などが原因で甲状腺ホルモンの分泌に異常を起こし、脱毛を引き起こします。

性ホルモンによるもの

先天的な卵巣異常、もしくは後天的に起こる精巣腫瘍や避妊去勢手術に伴うホルモンバランスの変化などによって性ホルモン分泌に異常が起こり脱毛が起こることがあります。

成長ホルモンによるもの

成長ホルモンを分泌する下垂体に先天的な異常がある場合や後天的に原因不明の成長ホルモンの分泌異常が原因で脱毛が起こります。

ホルモン性脱毛症の症状とは?

ホルモン性脱毛症の症状はその名の通り、毛が抜けてしまうことが主な症状になります。脱毛の個所はホルモンの種類により異なり、さらにホルモン異常を引き起こしている疾患によっても症状は異なってきます。

副腎皮質ホルモン異常からくる脱毛の症状

副腎皮質ホルモンの分泌量が増えることによって引き起こされる脱毛は、一般的には胴体部が広く対照的に脱毛していくことが多いのが特徴です。皮膚に色素沈着が起こり、皮膚の萎縮や弱化、化膿症といった症状が現れることもあります。

甲状腺ホルモン異常からくる脱毛の症状

甲状腺ホルモンの分泌量が異常に減ることによって胴体に左右対称に脱毛が起こることがあります。また甲状腺ホルモンの分泌量が減っているので寒さや暑さに弱くなり、体にむくみのような症状が出ることもあります。

性ホルモン異常からくる脱毛の症状

性ホルモンの分泌量が過剰になることで、メスではエストロゲンが過剰に増え、生殖器や肛門周辺に脱毛が見られます。オスの場合はテストステロンが減少してしまうことで、しっぽやおしり周り、わき腹などに脱毛が現れるようになります。

性ホルモン分泌異常が起きるとオス、メスともに発情周期がくるってしまうので繁殖能力に支障をきたすようになり、発情期間も短くなります。

成長ホルモン異常からくる脱毛の症状

成長ホルモンの分泌量が減ることで首や体幹部、太ももの裏側などに脱毛が現れるようになります。皮膚がもろくなり色素沈着などの症状も見られます。先天的な成長ホルモン異常による症状は生後2~3か月ごろに現れます。

ホルモン性脱毛症への対策

脱毛はホルモン性脱毛症以外にも様々なことから起こってしまう病気です。

まずは脱毛の原因を突き止め、さらに血液検査などを行い異常が起こっているホルモンの量の測定を行います。量の測定を行うことによってホルモンが過剰に分泌されているのか、不足しているのかを調べるためです。

基本的にはまずはホルモン異常を引き起こしている原因を突き止め、それぞれの疾患に合った治療を行いながら脱毛ケアをしていきます。基礎疾患が原因であればほとんどの場合で疾患治療が完治すれば脱毛も自然と治っていきます。

またホルモン剤の投与により脱毛の治療を行っていくこともあります。分泌に異常をきたしているホルモンの種類を調べたうえで足りないホルモンを補う薬や過剰なホルモンの生成を抑える薬などを使用してホルモンの量の調節を行っていきます。

ホルモン治療では薬を使用してもすぐに効果が現れにくく、長期間の投薬が必要になります。またホルモン剤を使った治療は副作用を起こす恐れも高いため医師と十分に相談するようにしましょう。

まとめ

犬のホルモン性脱毛症は他の皮膚病に比べると発症しにくい病気です。しかし、ホルモンは少しのことで分泌量が変わりやすく、さまざまな健康を害する恐れがあります。素人では通常の脱毛と判断がつきにくいところもありますが、愛犬に脱毛が見られた際は放置せず早い段階で医師に相談することで、脱毛の奥に潜んでいる病に気づくことができます。

普段から愛犬とのスキンシップを図り、病気の早期発見・早期治療が行えるように努めましょう。

ペット生活 獣医師



獣医師

ペット生活編集部の獣医師アカウント。ペットとの暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

関連記事

【兵庫】犬の皮膚病に強い動物病院 10選

皮膚病にかかる動物(犬や猫その他)は大変多くなっています。皮膚病といっても様々で、アレルギー、感染、角化、ホルモンによる病気などがあります。また、複合的に発症しているケースもあります。 ……

犬の膿皮症

【神奈川】犬の皮膚病に強い動物病院 10選

皮膚病にかかる動物(犬や猫その他)は大変多くなっています。皮膚病といっても様々で、アレルギー、感染、角化、ホルモンによる病気などがあります。また、複合的に発症しているケースもあります。 ……

犬の皮膚の病気

【福岡】犬の皮膚病に強い動物病院 10選

皮膚病にかかる動物(犬や猫その他)は大変多くなっています。皮膚病といっても様々で、アレルギー、感染、角化、ホルモンによる病気などがあります。また、複合的に発症しているケースもあります。 ……

犬の膿皮症

【動物看護師が徹底解説!】愛犬にハゲが!?毛が抜ける原因と対策とは

愛犬のふわふわの毛が大好きな飼い主さんも多いことでしょう。特に寒い冬はふわふわで、温かくて、暖のとれる愛犬がそばに寄ってくるのを待ち遠しくしていませんか?テレビを見てゆっくりしているときや、……

犬の毛のお手入れ

【東京】犬の皮膚病に強い動物病院 10選

皮膚病にかかる動物(犬や猫その他)は大変多くなっています。皮膚病と言っても様々で、アレルギー、感染、角化、ホルモンによる病気などがあります。また、複合的に発症しているケースもあります。 ……

犬の皮膚の病気