2016年5月7日更新

【獣医師監修】イヌ伝染性肝炎〜原因・症状と対策

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犬アデノウィルス1型というウィルスをご存知でしょうか。犬にとっては脅威となるウィルスで、感染してしまうと犬伝染性肝炎という病気の発症をほとんど防ぐ手立てがないといわれています。毎年狂犬病のワクチン接種時期に合わせて、混合ワクチンの予防接種を求められることがありますが、そのワクチンで感染を防ぐことが出来るものの一つにこのウイルスが含まれています。ここでは、犬アデノウィルスが引き起こしてしまう危険な肝炎について詳しくご紹介しましょう。

 

イヌ伝染性肝炎の原因とは?

イヌ伝染性肝炎の原因は犬アデノウィルス1型と言われるウィルスです。イヌ伝染性肝炎発病中の犬や犬アデノウィルス1型を体内に保有している犬の唾液や糞尿、涙や鼻水などを舐めたり、同じ食器を使用して食事を摂ったりすることで感染します。

ウィルスはとても強力で簡単に除去できるものではなく、外部環境であっても生存が可能です。また回復した犬の尿中にも少なくとも半年から1年近くは排出され続け、これに他の犬が接触することで感染してしまいます。

犬アデノウィルスには1型と2型があります。犬アデノウィルス1型はイヌ伝染性肝炎という重篤な肝炎を引き起こし、急死を招く危険性が非常に高いウィルスです。

これに比べて、犬アデノウィルス2型は風邪に似たような症状を引き起こす程度で、感染しても症状は非常に軽いものがほとんどです。どちらも感染力は強く、特に多頭飼育の場合は1頭が発症するとすぐに感染が広がってしまうので注意が必要です。

イヌ伝染性肝炎の症状について

イヌ伝染性肝炎は1歳以下の犬においては致死率が非常に高い病気で、成犬では感染していても症状を発しないこともあります。また回復後、角膜が浮腫を起こし青白く濁って見えるブルーアイや前部ブドウ膜炎を発症することがあります。

通常であればこれらの症状はは回復していきますが、場合によっては緑内障や角膜潰瘍に進行してしまうこともあります。

突然死

1歳以下の犬でよく起こります。数時間前まで元気に過ごしていても、急激な体調変化、嘔吐や腹痛により半日から1日以内で死亡してしまいます。

成犬での発症

成犬の場合、感染していても免疫系が働くため症状が現れないことがあります。症状が出ないので飼い主も気づかないことが多く、知らない間に感染が拡大してしまうこともあります。

初期の症状

肝臓に炎症が起こり、嘔吐や39度以上の発熱、下痢、腹痛などの症状が現れます。症状が軽い場合には風邪によく似た症状が多く、鼻水が出ることもあります。

重度の症状

肝臓の機能に障害が起きるようになり、肝性脳症や低血糖から無気力や虚脱、昏睡、痙攣などの神経症状が現れます。また出血が起きやすくなり、皮膚に点状の出血が見られ、鼻血や下血なども見られます。さらに進行すると脳炎を起こし、死亡するケースもよくあります。

 

イヌ伝染性肝炎対策

犬アデノウイルス1型に感染してしまうと有効な治療法は何もありません。肝炎によってダメージを受けた肝臓は自身の治癒力により再生を行っていきます。その間病気が進行しないように積極的に支持療法を行いながら他の感染症や病気の併発を防いでいくようになります。

対症療法

症状の軽減を目的とした治療を施していきます。ブドウ糖やリンゲル液、アミノ酸などの輸液を行ったりビタミン剤や肝臓を強くする薬の投与、点滴、輸血などを行いながら肝臓の回復を待ちます。また二次感染を防ぐために抗生剤を使用することもあります。

自宅では食事療法を続けながら肝臓の機能回復を図ります。早ければ1週間以内に回復に向かいますが、治療が思うようにいかない場合は慢性肝炎に進行してしまうこともあります。

予防

犬アデノウィルスに対して有効な薬はなく、事前にワクチンを接種しておくことが何よりもの治療と予防につながります。獣医師にしっかりと相談し、定期的にワクチン接種を行いましょう。

まとめ

イヌ伝染性肝炎は有効なワクチンがあるにもかかわらず、飼い主の管理不足のために発症してしまうことの多い病気です。成犬の場合、確かに症状が出ないことも多いですが、成犬であっても命の危険がないとは言えない病気です。

また他の犬との接触などがある場合には知らない間に感染を広げてしまうこともあります。しっかりとこのウイルスの危険性を認識し、予防を行いましょう。

 
 

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