2016年6月9日更新

【獣医師監修】犬の口唇炎〜原因・症状と対策

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犬の皮膚病の中でも特に唇あたりから顎にかけての口回りで炎症が起こる病気を口唇炎といいます。口唇炎は私たち人間でいう口唇ヘルペスのようなもので、炎症が起こることで犬は口の周りに違和感を感じるようになり、引っかいたりこすったりしてしまい、さらに状態が悪化してしまうこともよくあります。

犬の皮膚の病気の中でも特異な犬の口唇炎について、今回は詳しく見てみましょう。

 

犬の口唇炎の原因について

犬の口唇炎発症の原因は先天性の要因によるもの、唇にできた外傷によるもの、寄生虫の感染によるものの大きく3つのタイプに分けることができます。

先天性の要因によるもの

詳しくはまだ解明されていませんが、ある一定の犬種においてホルモンの分泌異常により唇の周辺で炎症が起きると考えられています。好発犬種にはブルドッグやボクサー、ドーベルマン、グレートデーン、ワイマラナー、マスティフ、ロットワイラー、ジャーマンシェパード、ポインターなどがあります。

唇にできた外傷によるもの

事故やケガ、犬同士のケンカやプラスチックのようなものを噛んでしまうことで唇周辺に傷がつき、患部から細菌が入り込んで炎症を起こし口唇炎を発症します。

特に屋外で遊んでいる最中にケガをする犬は多く、草木の接触や撒かれた化学薬品、除草剤、殺虫剤によりアレルギー反応が起きて発症することもあります。

寄生虫の感染によるもの

皮膚に寄生虫が感染することが原因で口唇炎を発症することがあります。寄生虫が体に寄生することで体のあちこちがかゆくなり、唇周辺を引っ掻き、傷口から細菌に感染してしまうことによって発症します。原因として特に多い寄生虫には毛包虫がいます。

犬の口唇炎の症状とは?

犬の唇から顎にかけて炎症が起こる口唇炎の特徴はその部位と炎症にあります。症状が起こるのは口元で毛穴周辺が赤く炎症を起こします。

症状には3段階あり、毛の生えている部分がうっすらと赤くなる初期の段階、毛根からニキビのように赤く膨れ上がった発疹がみられるる中度の段階、いくつかの毛穴が癒合して大きく赤く腫れあがっている重度の段階です。

口唇炎自体はそれほど重症化する心配のない病気ですが、口元に炎症が起こることで犬が痛みやかゆみから口周辺を引っかいてしまうことで症状が悪化してしまいます。

引っかくことにより脱毛を引き起こしたり、傷を作ってしまったりし、患部から細菌などが侵入し、化膿してしまいます。ひどい場合ではただれたようになり、膿混じりの出血がみられ、臭いがきつくなってきます。プラスチックや植物片、薬品などにより症状を引き起こしている場合はアレルギー反応を引き起こしてしまうこともあります。その場合はアナフィラキシーショックに注意が必要です。

 

口唇炎の予防と対策

愛犬の口回りで異常が見られた場合はまずは口唇炎を疑い早期治療を行っていきます。

物理的原因の排除

プラスチックや植物片、除草剤や殺虫剤などが原因で口唇炎を発症している場合は、これらの原因物質を愛犬の身の回りから取り除きます。犬用のおもちゃや固すぎるおやつなども口の周りを傷つけてしまう恐れがあるので、一度発症してしまった場合は与えるのをやめるようにしましょう。

特にアレルギー症状を発症してしまっている場合は、継続してこれらの物質に接触させることが非常に危険です。場合によっては食事の入っている容器などの変更も行ってください。

投薬による治療

抗生物質を使用して傷口に入りこんだ菌や寄生虫を排除していきます。口元の炎症では愛犬が引っ掻いてしまう恐れがあるので、エリザベスカラーを使用し症状悪化を防ぎます。

患部洗浄による治療

悪臭を放っている場合や、患部周辺が著しく汚れている場合には細菌の二次感染防ぐため薬用の石鹸や抗菌石鹸を使用し口回りを洗浄して殺菌を行います。症状が軽い場合では洗浄だけでよくなることもありますが、基本的には投薬による治療と並行して行っていきます。

まとめ

犬の口唇炎は命にかかわる病気でないにしても愛犬を非常に苦しめる厄介な病気です。特にアレルギー症状を引き起こしてしまうような場合、その後の日常生活にも支障をきたしてしまうこともあります。

また犬自身がかゆみや痛みのため引っかいてしまうことでさらに症状が悪化し、深刻な状態に陥ってしまうこともあります。たかが口唇炎と思って放置していると愛犬をすごく苦しめてしまうことになります。少しでも症状が見られた場合には早急に獣医師に相談するようにしましょう。

 
 

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