2016年11月18日更新

【獣医師監修】猫の胃運動低下症〜原因・症状と対策

ペット生活

ペット生活

編集部

犬や猫との暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

 

猫はさまざまなことで嘔吐してしまう生き物ですが、原因に胃の機能が低下してしまうことによって引き起こされる胃運動低下症といわれる病気があります。あまり聞きなれない名前の病気ですが、猫にとって命の危険まではいかないものの体重減少や衰弱につながってしまうこともある危険な病気です。多くの猫がこの胃運動低下症にかかってしまう可能性があり、飼い主が症状や病状について把握しておくことが大事になります。

 

猫の胃運動低下症の原因

猫の胃運動低下症はその名の通り、胃の働きが低下してしまうことで胃の中にある食べ物が長時間胃の中にとどまってしまう病気です。胃の働きが低下してしまう原因はいくつかあり、胃を支えるじん帯や筋肉が伸びてしまうと胃の運動機能が低下してしまいます。その原因にはさまざまなものがあり、多くの猫が発症してしまう可能性を持っています。

基礎疾患が原因となるもの

既に発症している病気が原因となり胃運動低下症を発症してしまうことがあります。具体的な既往の病気には尿毒症や低カリウム血症、肝性脳症、慢性胃炎、胃潰瘍、胃捻転、甲状腺機能低下症、キーガスケル症候群などがあります。

処方された薬剤が原因となるもの

何らかの病気で処方された薬の副作用として胃運動低下症を発症してしまうことがあります。主な薬剤としては、抗コリン作動薬、βアドレナリン作動薬などがあります。

ストレスが原因となるもの

猫が発症してしまう胃運動低下症の原因として基礎疾患に次いで多いのがストレスです。欲求不満や恐怖、長時間の留守番、同居猫との相性、痛みなどの肉体的、精神的なストレスが原因で胃の運動に障害を招いてしまいます。

猫の胃運動低下症の症状

通常食べ物や飲み物が食道を通り胃の中に入ってくると、胃の上部の筋肉を締めることで胃の内容物の逆流を防ぎ、胃の下部のほうへゆっくりと内容物を送り出していきます。これが胃運動といわれる胃の働きですが、胃運動低下症を発症してしまうと胃は胃の内容物を下部へ送り出せなくなり、胃の内容物がいつまでたっても胃の中に滞っている状態になります。そうなると胃は胃の中の内容物に対して常に消化酵素を出し続けるようになり、胃の中が荒れてしまうようになります。

主な症状には食後の嘔吐や頻繁なゲップ、胃酸がずっと出続けて胃を刺激してしまうことによる食欲不振、体重減少などです。また胆汁嘔吐症候群といわれる胆汁が胃の幽門部から逆流して胃の粘膜を傷つけてしまう病気を発症し、ひどい痛みと嘔吐に苦しむこともあります。特に中齢から老齢の猫が発症しやすく、黄色から緑色の液体をあけがた吐き出すことがあります。

 

猫の胃運動低下症の対策

猫の胃運動低下症では猫が何度も嘔吐を繰り返している場合、著しい脱水症状になっている可能性もあるので輸血や点滴を行うこともあります。それぞれの症状に合わせた治療を行わなければならない、早期での対応が急務になります。

投薬による治療

胃の運動を刺激し、促進するような薬を投与することで治療を行っていきます。具体的には幽門部の収縮を促進するメトクロプラミドと言われる薬や胃の上部と食道の下部の部分の収縮を促進してくれるシサプリドと言われる薬、また胃全体に働きかけるエリスロマイシンと言われるような薬があります。薬を服用する場合は、副作用などについて主治医からしっかりと説明を受けましょう。

基礎疾患の治療

既に発症している病気が原因となって胃運動低下症を引き起こした場合には、優先的に基礎疾患治療が行われます。

食事療法

胃への負担を減らし、胃の機能回復を図るため食事療法を行います。食事には液状のものや半液状のものが適しています。脂肪分や繊維分が少ないエサに切り替え、一回量を減らし、小分けにして与えるようにしましょう。

ストレス改善による治療

ストレスが原因で胃運動低下症を発症してしまっている場合には原因となるストレスを取り除いてあげるようにします。環境改善や飼い主の努力が何よりの治療になります。

まとめ

愛猫を非常に苦しめてしまう胃運動低下症。発症してしまう原因は回避しようと思えば回避することができるものばかりで、事前にしっかり防ぐことも可能です。特に体の中で起こっている変化には飼い主にはなかなか分からないものもあり、猫によっては症状をうまく伝えられない子もいます。病気のポイントなどをしっかりと把握し、些細なサインにも飼い主がしっかり気づいてあげられるようにしましょう。

 
 

関連カテゴリ