2016年11月26日更新

【獣医師監修】猫の椎間板ヘルニア〜原因・症状と対策

ペット生活

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編集部

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私たち人間でも中高年になってくると発症が良くみられるのが椎間板ヘルニア症です。実はこのヘルニアはペットでもよく発症してしまう病気で特に猫にも多い病気です。猫は人間のように初期の症状の段階で腰に違和感があるなどを訴えることができないので、飼い主が気付いた時には手立てができないほど悪化していたり、脚に麻痺が広がっていたりすることもあります。そういった事態になる前に猫の椎間板ヘルニアについて詳しく知っておきましょう。

 

猫の椎間板ヘルニアの原因

猫の椎間板ヘルニアは本来脊椎の間にきれいに入っている椎間板が変形して歪んでしまった状態のことを言います。高齢の猫で発症しやすく、また肥満傾向の猫でも発生のリスクが非常に高い病気です。特に最近の調査では椎間板ヘルニアの発症率を高める要因として「肥満」「小型」「胴長」といった特徴がわかっています。

老化が原因となるもの

老化により脊椎の間にある椎間板を支えているコラーゲン繊維が減少してしまうことで、今まで何ともなかった衝撃や圧力に耐えられなくなり、椎間板が変形してしまうことがあります。

肥満が原因となるもの

急激な肥満や長期的な肥満が原因となり、椎間板に圧力が加わることで椎間板が変形してしまうことがあります。大型の猫よりも小型の猫の肥満のほうが発症してしまうリスクが高くなります。

外傷によるもの

椎間板を支えているコラーゲン繊維はある程度の衝撃や圧力を支えられるよう非常に強くできていますが、交通事故や高所からの落下、壁への激突など瞬間的に強い力が加わることによって変形してしまうことがあります。

環境によるもの

最近増えてきているのが滑りやすいフローリングの室内での事故です。滑りやすいフローリングでは四肢がきちんと体を支えることが困難で、通常よりも圧力が加わりやすくなるため椎間板ヘルニアを発症してしまうことがあります。

遺伝によるもの

品種改良によって小型化された猫や短足化された猫は特に軟骨の形成に異常を抱えやすいことがわかっています。そのため椎間板ヘルニアの発症リスクが非常に高く、他の品種と比べても発生率も高くなっています。

猫の椎間板ヘルニアの症状

猫が椎間板ヘルニアを発症してしまっている場合ではすでに悪化していることがほとんどです。猫は人間のように椎間板ヘルニア発症前に腰に違和感があるなどを訴えることができず、放置してしまいがちです。症状が悪化してしまう前に早めに医師に診断を仰ぐようにしましょう。

初期の症状

椎間板ヘルニアの初期の症状では椎間板で圧迫を受けた脊髄で炎症が起き、痛みが生じるようになります。そのため背骨を上から触ると腰を落としたり、触られることに嫌悪感を示したりする猫もいます。

重度の症状

症状が進行してくると明らかに様子が変わってきます。歩き方がおかしくなったり、運動そのものを嫌がるようになります。長期間に渡り神経が圧迫されることで四肢の一部に麻痺が出るようになり、歩けたり歩けなかったりを繰り返しながら、だんだんと歩くことが困難になります。麻痺から排尿、排便の失禁をしてしまうこともあります。完全に動くことができなくなると神経麻痺により痛みも感じなくなってしまいます。

 

猫の椎間板ヘルニアの対策

猫の椎間板ヘルニアはレントゲンでは診断しにくい特徴があります。椎間板は年を取って石灰化して固くなった場合にはレントゲンに映っていることもありますが、通常の椎間板はレントゲンには映りません。椎間板ヘルニアが疑われる場合には脊髄の輪郭を造影剤で描き出す検査法、CTやMRIなどの高度画像検査を行う必要があります。

対症療法

椎間板ヘルニアを悪化させないために運動制限を行い、肥満解消を行っていきます。

投薬による治療

椎間板ヘルニアが軽度の場合には非ステロイド系の薬や抗炎症剤などを投与して治療を行います。

手術による治療

椎間板ヘルニアが重度の場合には手術により治療していきます。手術をしても原因となる要因を取り除けない限り再発の可能性があるので、併用して対症療法で治療を行っていきます。

椎間板ヘルニアの介助

椎間板ヘルニアを発症してしまった場合、神経圧迫による様々な弊害が考えられます。神経症状が膀胱や直腸にまで及んでいる場合には自力での排泄が困難なこともあり、その場合には尿道からカテーテルを通して人為的に排泄を行ったり、浣腸をして排便を促したりする補助が必要なこともあります。また猫用の車いすを用いて歩行の補助を行う場合もあります。

まとめ

猫の椎間板ヘルニアはなかなか飼い主が気付きにくい病気で、気づいた時にはすでに手遅れになっていることも多いのが現状です。そのため愛猫に不便な生活を強いらなくてはならないケースも多く、飼い主の負担になってしまうこともあります。普段から愛猫とコミュニケーションを図りながら愛猫の様子の変化に気づいてあげられるよう心がけましょう。

 
 

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