2016年3月12日更新

獣医師が教える! 犬の便から健康・不調のサインを読み取るコツ

犬を飼っていると、日々、便を目にしますが、その色や状態からおなかの調子や健康状態を見分けることができればペットの病気の早期発見につながることもあります。そこで今回は獣医師で、もも動物病院(埼玉県さいたま市)の谷祐子院長に、「健康な便の特徴や、便の変化が示す不調のサイン」について聞いてみました。

硬い便、軟便、血便、黒色便、平たい便は要注意


健康な犬の便は、どんな形、硬さ、色をしているのでしょうか。谷獣医師は次のように説明します。

「正常な便は、断面が丸く、細長い形状をしています。硬さは、拾い上げるときにつかんでも形が崩れない程度で、色は食べ物にもよりますが、茶色から黄土色をしているのが一般的です。

普段から便の形、硬さ、色を注意して見ておくと、いつもと違う便が出たときに気付きやすく、犬の体調の変化にいち早く対応することができます。また、便の状態は、与えている食事が犬に合っているかどうかの判断材料にもなります」

では、体調が悪くなると、便にはどんな変化が現れるのでしょうか。ここで谷獣医師に、「正常ではない、体調が心配な便の例」を5つ挙げてもらいました。

(1)硬くてコロコロした便

食事が合わない、運動不足、腸の病気などが原因で便秘気味と考えられます。便が腸内にとどまっている時間が長くなると、水分が吸収されて硬くなり、表面がひび割れる、コロコロした球状になる傾向があります。そのほか、食事の量が少ない場合も、便が硬くなる場合があります。

(2)軟らかい便

水分の取り過ぎ、食べ物が合わない、感染症や食中毒などが原因で、下痢を起こしていると考えられます。泥、水のような便は明らかな下痢の便です。形があって、いつもより少し軟らかい程度であれば、下痢を起こす前触れの可能性があります。

(3)血便

便の中に血が混じっている場合は、小腸や大腸の傷、炎症、腫瘍(しゅよう)などが原因で、消化器官で出血したと考えられます。

一方、便の周りに血が付いている場合は、便が外に出る際、または直前に、肛門や大腸の肛門に近い場所で出血した可能性があります。

(4)黒っぽい便、黒いタール状の便

血液が便になって出るまでに時間がかかると、色が黒くなることがあります。小腸や胃など、肛門から遠い場所にある消化器官に炎症、腫瘍などがあり、そこから出血した可能性が考えられます。

特に黒いタール状の便の場合は、出血量が多いことを意味しています。胃潰瘍(かいよう)や胃がんなど、重とくな病気の可能性もあります。

(5)便が細い、断面が平たい便

便がいつもより細い場合、断面が丸い円でなく扁平(へんぺい)になって出てくる場合は、腫瘍や前立腺肥大によって、腸管が圧迫されている可能性があります。

便に異常があるときは、動物病院で診察、糞便検査を


続けて谷獣医師は、便の形、硬さ、色のほかに、「におい」や「排便時の様子」もチェックすべきポイントだと指摘します。

「食べ過ぎ、消化不良により、便の中に消化しきれなかった食べ物が混じると、便のにおいが普段よりくさいことがあります。米や小麦などの炭水化物を与え過ぎの場合も、便がくさくなる原因の一つです。

便のにおいがいつもよりくさく、下痢をしている場合は、ウイルス、細菌に感染して腸炎を起こしている可能性があります。

また、排便するときにいきむ、排便しにくそうにしている場合は、便秘のほか、前立腺肥大、腸の病気になっている可能性が考えられます」

では、便の変化に気付いたときは、どのようにすればいいのでしょうか。谷獣医師は、次のようにアドバイスします。

「便のチェックで分かるのは、『便が正常か異常か』ということだけで、原因の特定まではできません。(1)、(2)が1~2日でおさまらない、(3)から(5)が見られる、便のにおいや排便の様子が気になる場合は、いずれも動物病院で、診察と糞便(ふんべん)検査を受けましょう。

糞便検査では、消化不良、細菌、寄生虫感染の有無を調べることができます。犬が当日に排泄した便を角砂糖1個分程度、乾燥しないよう、清潔な容器、ビニール袋、サランラップなどに入れて持参します。持って行けない場合は、動物病院で採取できる場合もあるので問い合わせてみましょう」

さっそく犬の散歩に行った際に便を観察してみたところ、大きくほどよい硬さの茶色い便が出ていました。健康状態は良好なようです。少し面倒に感じていた便の処理も、犬の体の状態を知る機会だと思うと楽しみになってきました。みなさんもトイレ処理のついでに便のチェックを実践してみてください。

記事提供:獣医師が教える! 犬の便から健康・不調のサインを読み取るコツ

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