2016年12月29日更新

むやみに触ってはいけない? 獣医師に聞いた犬・猫の「しっぽ」のヒミツ

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犬や猫の「しっぽ」は、ヒトにはないだけに謎の器官です。子どもの頃、よく大人から「犬・猫のしっぽをさわったらダメ」と言われたものですが、何か理由があるのでしょうか。獣医師で、とよす動物病院(東京都江東区)の矢野貴之院長に詳しく聞いてみました。

 

犬・猫が嫌がらなければ、しっぽを触ることは問題ない

――犬・猫のしっぽを触って、嫌がられたことがあります。このとき、犬・猫はどのように感じているのでしょうか。
矢野獣医師  しっぽは、体を動かすときにバランスをとる役割を担っています。ですから、犬や猫は、しっぽに何かが当たる感覚には敏感です。

また、うれしい、怖い、怒っているなどの感情を表現する器官でもあります。そのため、急にヒトからしっぽを握られると、感情の表現が思うようにできなくなり、嫌がることや怒ることがあるのです。嫌がったら無理にしっぽを触らないようにしましょう。

――嫌がられない場合は、触っても問題ないのでしょうか。
矢野獣医師  犬・猫が激しく活動していない、リラックスしているときなら触っても問題ありません。動物病院の診察でも、炎症やしこりなど皮ふのトラブルがないかを確認するためにしっぽを触ることがあります。

猫のしっぽは、猫のコミュニケーションツール【しっぽは語る!】

しっぽを追いかける行動は、ストレス、皮ふトラブルのサイン

――犬・猫が、自分のしっぽを追いかけてぐるぐる回るのを見かけたことがあります。この行動には、どんな意味があるのでしょうか。

矢野獣医師  主に、3つの要因が関係しています。

(1)遊び

退屈なときや遊び相手がいないときなどに、たまたま目に入った自分のしっぽを追いかけて遊ぶことがあります。

(2)ストレス

散歩や運動が足りないとき、かまってもらえず寂しいとき、叱られた後、嫌いなお風呂に我慢して入った後などに、ストレスからしっぽを追いかける行動を繰り返す場合があります。

(3)しっぽのトラブル

しっぽに虫さされ、炎症などのトラブルが生じ、痛みやかゆみがあると、しっぽを追う、かむなどの行動に出る場合があります。

犬・猫がしっぽを追いかける姿をときどき見かける程度であれば、(1)の可能性が高いので心配する必要はありません。しかし、1日に何度も繰り返す場合は、(2)や(3)の要因が考えられるので、動物病院を受診しましょう。

また、しっぽを追いかけているときに飼い主が注意すると、褒められたと勘違いし、気を引こうとして余計に繰り返す場合があります。見かけても声をかけず、無視しておきましょう。

 

ドアに挟む、踏まれると、しっぽも骨折する

――しっぽに虫さされや炎症などの皮ふトラブルが起こることは、よくあるのでしょうか。

矢野獣医師  しっぽにも皮ふがあるので、体同様に皮ふ病になる可能性があります。例えば、花粉、カビ、ハウスダストなどが原因となる「アトピー性皮ふ炎」、ノミやダニなどの寄生虫が原因の「皮ふ炎」、ホルモン分泌の異常によって起こる「脱毛症」などです。

また、しっぽは肛門に近いので、肛門の周囲に起こった炎症や化膿などのトラブルがしっぽにも広がる、影響することがあります。例えば、去勢していない高齢のオス犬によく見られる「肛門周囲腺腫(せんしゅ)」は、老化に伴うホルモンバランスの変化によって肛門の横にある皮脂の分泌腺の周辺にしこりができる病気ですが、しっぽの付け根部分にしこりができる場合もあります。

これらのトラブルを早めに発見するために、週に一度はしっぽの状態を観察することをお勧めします。触らせてくれるようなら、根元から先端に向けて触れながら腫れやしこりなどの異常がないかも確認しましょう。

――しっぽに起こりやすいケガについても教えてください。

矢野獣医師  種類によって形状、長さはさまざまですが、しっぽは、犬で6~23個、猫で16~21個の「尾椎(びつい)」という骨が連なってできています。しっぽの長い犬・猫の場合、しっぽをドアに挟む、ヒトに踏まれるなどすると、骨折する、尾椎の位置がずれて脱臼(だっきゅう)することがあるので気を付けてください。

――ありがとうございました。

犬・猫のしっぽは、体のバランスをとる、感情表現をする役割を持つ重要な器官だということです。その点を知っておき、やさしく触りながらトラブルが起きていないか、まめにチェックするようにしたいものです。

記事提供:むやみに触ってはいけない? 獣医師に聞いた犬・猫の「しっぽ」のヒミツ