2016年4月11日更新

獣医師が教える! 避妊手術が犬・猫の身体に与える影響って?

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犬・猫のメスには、避妊手術が必要という意見をよく耳にします。犬・猫の子が増えすぎることは社会問題になっていますが、健康な体に傷を付けるのはかわいそうな気もします。そこで、獣医師で、V.C.J.代官山動物病院(東京都渋谷区)の朴永泰(パクヨンテ)院長に、「犬・猫の避妊手術のメリットとリスク」について、詳しく聞いてみました。

 

過剰な繁殖、子宮、卵巣、乳腺の病気を予防できる

まず朴獣医師は、犬・猫に避妊手術が必要な理由を、次のように説明します。

「個体差はありますが、犬も猫も、生後6カ月頃に初めての発情を迎えます。
犬は年に2回発情し、1回の出産で5~10匹の子犬を産みます。猫の場合は、2月から9月頃の間に2~3回発情を繰り返し、1回の出産で4~8匹の子猫を産みます。従って、犬や猫を自由に繁殖させれば、あっという間に数が増えます。しかし、すべての子犬・子猫を飼うのも、引き取り先を探すのも、簡単ではありません。処分せざるを得ない実情もあります」

続けて朴獣医師は、「避妊手術には、避妊以外のメリットもあるんです」と指摘します。

「子宮、卵巣を切除するため、子宮がんや卵巣がんなどの重とくな病気にかかることを防ぎます。特に、犬・猫のメスには、子宮の中に細菌が侵入、増殖して膿(うみ)がたまる『子宮蓄膿(ちくのう)症』という病気が多く見られます。避妊していない9歳以上のメス犬の発症率は約66%という報告もあります。子宮蓄膿症を発症した場合、発見や治療が遅れると死亡することがあるので、この病気を予防できるのは、避妊手術の大きなメリットと言えます。

そのほか、犬なら2回目の発情前、猫なら1歳までの早期に避妊手術を受けた場合、おなかの乳首の付近にしこりができる『乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)』になるリスクが大幅に低下することが分かっています」

手術後は、以前と比べて体調に変化はあるのでしょうか。

「発情がなくなります。発情期にホルモンバランスの変化による食欲不振、発熱などを起こしやすい犬・猫は、避妊手術によってそうした体調の変化を避けることもできます」(朴獣医師)

避妊手術が病気の予防につながっているとは驚きです。

手術、麻酔に伴うリスクのほか、術後に肥満、尿失禁になることも

では逆に、避妊手術のデメリットには、どのようなことが考えられるのでしょうか。

「避妊手術は、簡単ではありません。犬・猫のおなかを切り開いて、左右の卵巣、子宮を摘出します。その過程で、出血する、他の臓器を傷付ける、また、全身麻酔をするので血液の循環や呼吸の働きが抑制されて、内臓の機能が低下する、呼吸困難になる、といったリスクを伴います。先ほどお話したように、手術後は発情行動がなくなってエネルギーの消費が減るため、肥満になりやすい傾向があります。
また、まれに、手術後に尿もれが起こることがあります。これは、ホルモンのバランスが変化することで、尿道の筋肉がゆるむために起こると考えられています」(朴獣医師)

ただし、「手術による体への負担を最小限にする方法もある」と話す朴獣医師は、こう説明を続けます。

「手術や麻酔によるリスクを減らすために、事前に獣医師による診察と、血液、レントゲンなどの検査を受けましょう。健康状態によっては、手術を避けた方がいい場合もあります。
また、手術の方法は開腹が主流ですが、おなかの2~3カ所を数ミリメートルずつ切開し、カメラや鉗子(かんし)を入れて、モニターを見ながら子宮や卵巣を切除する『腹腔鏡(ふくくうきょう)手術』を行っている動物病院もあります。腹腔鏡による避妊手術の利点は、犬・猫の体に傷が残らないこと、開腹に比べて傷が小さい分、手術後の回復が早いことです」

最後に朴獣医師は

「犬・猫ともに、生後6カ月頃から避妊手術を受けることができますが、5歳以上になると、手術後の回復に時間がかかります。子宮蓄膿症や乳腺腫瘍などの病気のリスクを最大限に軽減するためにも、1歳頃までに受けることをお勧めします」と、注意点を付け加えます。

筆者はメス犬を飼っていますが、妊娠しないように行動を管理すれば避妊手術は受けなくてもよいと思っていました。しかし避妊手術には、命を左右する重大な病気が防げるというメリットがあるとのことです。リスクを理解した上で、検討する必要がありそうです。

記事提供:獣医師が教える! 避妊手術が犬・ネコの身体に与える影響って?

 
 

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