2016年6月29日更新

【獣医師監修】犬の前立腺炎〜原因・症状と対策

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オス犬特有の病気に犬の前立腺炎という病気があります。

前立腺炎は、オス犬にのみある生殖器で膀胱の真下にある前立腺が、何らかの原因で炎症を起こしてしまい激しい痛みを伴う病気です。非常に激しい痛みが伴うこの病気はその激痛に耐えられず動けなくなってしまう犬もいるほどつらいものです。症状が進行する前に飼い主が気付いてあげることで早期治療が行え、愛犬に与える苦しみも激減します。

今回はそんな犬の前立腺炎について詳しくご紹介しましょう。

 

犬の前立腺炎の原因

犬が前立腺炎を発症してしまう主な原因として前立腺が細菌に感染してしまうことがあります。

前立腺はオス犬のみに存在する生殖器で、前立腺液や精嚢液、精液などを分泌する役割があり、何らかの原因で細菌に感染してしまうことで発症してしまいます。特に高齢の犬で発症しやすい病気です。

細菌感染によるもの

前立腺炎の主な原因は微生物の感染です。

細菌が尿道から前立腺内に侵入することで発症してしまいます。細菌、真菌、マイコプラズマなどが原因としてあげられますが、主な原因菌の詳細としては大腸菌、ブドウ球菌、ストレプトコッカス、プロテウス属、エンテロバクター属、ヘモフィラス属、パスツレラ、シュードモナスなどがあります。膀胱炎から広がってくる場合もあれば、極まれに何らかの病原体が血液にのって全身を巡った際に前立腺にたどり着き発症してしまうこともあります。

医療行為が元となるもの

極まれなパターンとして、何らかの治療を行う過程で偶発的に前立腺に細菌が入ってしまうことで前立腺炎を発症してしまうことがあります。具体的には陰嚢に針を刺す手術の際や尿道カテーテルの管を通す際などです。

犬の前立腺炎の症状

前立腺炎を発症すると犬はその激しい痛みから動かなくなることも多いです。

原因菌が前立腺から周囲に広がってくると前立腺膿瘍や膀胱炎などを併発することもあります。また場合によっては不妊につながったり、前立腺肥大を発症したりすることもあります。症状は急性前立腺炎と慢性前立腺炎で多少異なります。未去勢のオス犬で発症しやすく、5歳を過ぎるとそのリスクが急激に高くなります。

初期の症状

尿をするたびに痛がったり、尿が出にくくなったりします。発熱や嘔吐などの症状も見られるようになり、激しい痛みから食欲不振や運動拒絶などの症状を見せ始めます。下腹部を触られるのを嫌がるようになり、痛みのため寝て過ごす時間が長くなります。

進行状態の症状

症状がどんどん進行してくると、尿に濁りが見られるようになり、強烈なにおいを感じます。血尿を伴うこともあり、前立腺肥大や前立腺膿瘍、膀胱炎などを発症してしまうこともあります。

急性前立腺炎

急性前立腺炎の場合は前立腺部分に非常に激しい痛みを伴うため、背中を丸めてうずくまるしぐさがよく見られます。明らかに様子がおかしいので飼い主が気付きやすい特徴があります。

慢性前立腺炎

慢性前立腺炎の場合は急性ほど痛みなどが伴わないため、症状の出方は犬によってまちまちです。我慢強い犬では飼い主が気付かないこともあり、不妊の原因になってしまいます。

 

犬の前立腺炎の対策

犬が前立腺炎を発症してしまうと、症状の進行具合によっては治療に非常に時間がかかってしまう場合があります。また体力のない犬では治療が負担になってしまうこともあり、他の病気を併発してしまうと寿命が縮まってしまう危険もあります。

どういった対策が行えるのかをしっかり考え、異変に気づいたら早期治療が行えるよう獣医師にすぐに相談しましょう。

投薬による治療

前立腺炎を発症してしまっている場合、どういった菌に感染しているのかを調べたうえで最も効果のある抗生物質や抗菌薬を投与し治療を行っていきます。薬によっては副作用が出る場合もあるので医師によく相談しましょう。

食事による療養

食事の栄養バランスを整えることで体力を維持し、免疫力を高め感染治療を行いやすくします。過剰な運動が症状を悪化させることもあるので医師に相談しながら治療を行います。

前立腺炎を防ぐための措置

前立腺炎を防ぐ予防策としては去勢手術があります。

去勢を行うことで男性ホルモンの分泌が抑制され、前立腺が機能しなくなり炎症が起こらなくなります。また去勢手術を行うことで前立腺肥大や前立腺ガンなどの予防にもつながります。繁殖を行う予定がない場合には去勢手術をするようにしましょう。

まとめ

犬の前立腺炎はオス犬特有の病気です。繁殖予定がない犬では事前にきちんと去勢手術を受けておくことで高い確率で予防することができます。

発症してしまうと愛犬を非常に苦しめるばかりでなく、飼い主にとっても介護ケアが必要になることもあります。また一度治療を行えば二度と発症しない病気ではありません。再発防止を行うためにも繁殖予定がない場合には去勢手術を行っておくことが重要です。

 
 

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