2016年3月27日更新

【動物看護士が解説】老猫と気持ちよく過ごす為の環境づくりのコツとは?

長寿な猫が多いことをご存知の方は多いと思いますが、長寿の猫とどうやって暮らすのが良いのかご存知の方は少ないでしょう。運動量も落ち、耳や眼が悪くなり、寝ていることが多くなった愛猫にどんな生活環境を作ってあげれば良いのでしょうか。老猫と暮らすうえで大切なポイントをお教えします。

家具の配置は変えない

猫は繊細な生き物ですので、環境の変化を非常に嫌います。家に突然知らない人が訪ねてきたり、病院やカフェなどに連れて行くと怖がって固まってしまったりしますよね。どこに行っても、誰が来ても、全く動じない猫はなかなかいないはずです。

猫はストレスで膀胱炎を起こすことがあるほど、ストレスが体調に直結します。愛猫があまり高いところへ登らなくなったから、もう高いところに登らせるのは危ないからといって、普段そこにあったキャットタワーや家具などが無くなると、猫は非常にストレスを感じます。

眼に病変がなくても、歳を取れば当たり前に視力は落ちますので、ぼんやりした中で馴染みの家の中の風景が変わってしまうと猫が不安になりますので、なるべく家具の配置を変えるのはやめましょう。

もちろん引っ越しも控えた方が良いですが、やむを得ない場合は家具や、猫の身の回りの物品は新調せずにそのまま使うと、匂いが染みついていて多少安心することができます。

危険なところへは行けないようにする

猫はどこにでも自由に飛び乗ってしまいますが、歳を取ったらどこにでも登ってしまうことがないように、登れるようなスペースを作らないことが大切です。

どうしても身体は衰えますので、今まで登れていたところが登れなかったり、登った後バランスを崩した落下することも考えられます。老猫の怪我は致命的で、年齢や内臓機能の状態によって十分な処置が行えない場合があります。

余生を不自由や痛みを感じながら過ごさせることのないように、怪我をしそうなところは行けないように飼い主さんが工夫すると良いでしょう。

角に気を付ける

視力が低下してくると、しばしば物にぶつかることがあります。猫はヒゲがあるので、ぶつかる前にヒゲで物を察知することが出来ますが、残念ながら万能ではないため、ぶつかるときもあります。

大抵ぶつかるときは鼻先からぶつかりますが、猫は鼻と眼の距離が近いため、鼻をぶつけるとそのまま眼まで傷つける可能性があります。柱やテーブルの脚で爪とぎをしている家は要注意です。木のささくれが眼に刺さることがあるからです。

鋭い角は緩衝材などを巻いてぶつかっても怪我のないように、他にもぶつかると怪我をしそうなところは保護しておくのが良いでしょう。

寝床はふかふかに

歳をとるとどうしても運動量が減り、寝ている時間が多くなります。身体が不自由でなければ寝返りを打つことが出来ますが、身体のどこかしらが痛いと寝返りすら億劫でしない猫も中にはいます。

寝返りをしないままだと、身体と床の接地面だけに体重が集中し、血流が悪くなり、床ずれ(褥瘡)の原因になります。寝たきりでない場合に床ずれになることは少ないですが、予備軍を作らないためにも寝ているときに体重が分散するような、ふかふかの寝床を作ってあげましょう。またあまりにも長い時間同じ格好で寝ていたら、そっと起こして体勢を変えてあげてくださいね。

日光に注意して

冬場は特にそうですが、暖かそうだから日向に寝かせてあげようとして、猫の寝床を日の当たる場所に移動したりしていませんか?決して悪いことではないのですが、猫は気持ちが良いとずっと寝てしまうので、知らず知らずのうちに体温が上昇し、脱水症状や熱中症を引き起こす可能性があります。

また、床に敷くヒーターや湯たんぽも同じように危険です。適度に使うには全く問題ありませんし、猫にとってもいいアイテムですが、「暑くなりすぎていないかな?」「呼吸が浅く、早くなっていないかな?」など猫の様子を気にしてあげてくださいね。

いつもと同じ場所で過ごすのが一番幸せ

猫にとって過ごしやすい、いい環境を作ってあげたいと思うのが飼い主さんの共通点ですが、猫は実はあまり変化を望んではいないかもしれません。いつもと同じ環境で、怪我の元になりそうなものは撤去したり、保護したりして、なるべくいつもの生活環境と変えないようにしてあげてください。特に寝床周り、トイレ周りは一番繊細な場所なので、あまり変化させないようにしてあげてくださいね。

Neige



動物看護士/トリマー

現役動物看護師・兼トリマー。 生涯学習、駆け足で前に進む医療にマイペースに追いかける毎日。 犬猫に関する色々なことをわかりやすくお伝えします。

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