2016年12月4日更新

【獣医師監修】【耳の症状】猫の耳が黒ずんでいる時に考えられる病気

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猫の耳が黒ずんで見えたら要注意。寄生虫による感染症や、アトピー性皮膚炎などの皮膚の異常、内分泌疾患などが疑われます。寄生虫による感染症や皮膚の異常では強いかゆみを伴うことが多いので、耳の黒ずみに気づいたら猫を動物病院に連れて行きましょう。

では、どのようにして猫の耳は黒ずむのでしょうか。猫の耳が黒ずむ原因やメカニズム、猫の耳が黒ずんでいる時に考えられる病名について取り上げます。

 

正常な猫の耳とは?

正常な猫の耳は、立ち耳の場合、三角形の耳介がピンと立っていて、耳介の内側の皮膚は薄いピンク色をしています。耳介は、長さや量は猫種によって差がありますが、ふさふさとした豊かな毛(イヤータフト)に覆われています。また、耳の中も耳介同様、薄いピンク色をしています。

猫の耳が黒ずんでしまう原因

時に猫の耳が何らかの異常に見舞われ、黒ずんで見えることがあります。黒ずむ原因は以下の3つに大別できます。

  • 寄生虫感染
  • 皮膚病
  • 内分泌疾患

では、なぜ耳が黒ずんで見えるのでしょうか。

寄生虫の場合、耳を黒く見せているものは黒っぽい耳垢です。耳垢の中には外耳道の耳垢腺と皮脂腺から出た分泌物やはがれた表皮の他、寄生虫のフンや死骸などが混ざり、耳の穴からあふれだしそうなほど大量に作られます。

皮膚病による黒ずみの多くは、炎症後色素沈着が原因です。炎症後色素沈着とは、皮膚に炎症が起きた時に、その刺激でメラニンが過剰に生成されて皮膚が黒くなる現象です。時間をかければ元の皮膚の色に戻りますが、原因となる病気を治さなければ、黒ずみが消えることはありません。

一方、内分泌疾患による皮膚の黒ずみは、ホルモンの分泌異常による色素沈着が原因です。

続いて、猫の耳に黒ずみを起こす病気について、具体的に取り上げていきます。

 

猫の耳が黒ずんでいる時に考えられる病気

耳ダニ感染症

猫の耳ダニ感染症は、「耳ダニ」という呼び名で広く知られているダニの一種、耳ヒゼンダニに感染することで起こる寄生虫感染症です。耳ダニには、すでに耳ダニに寄生されている動物や母猫との接触によって簡単に感染します。耳ダニは感染後、外耳道に寄生して猫にひどいかゆみをもたらしながら爆発的に増殖し、しばしば外耳炎を引き起こします。外耳道の中には耳ダニのフンや死骸が混ざった、カサカサした黒い耳垢が大量にたまっていきます。

通常、薄いピンク色をしている耳の中は黒く汚れ、耳掃除をしてもすぐに黒い耳垢がたまります。猫はかゆみのために、後ろ足で耳を執拗にかいたり、壁に頭をこすりつけたりと、耳を気にするしぐさをします。

アトピー性皮膚炎

猫のアトピー性皮膚炎は、ダニ、真菌、花粉、タバコなどのアレルゲンとの接触をきっかけに起こる皮膚炎です。目の周り、首の裏、わきの下、鼠径部、そして耳の裏や耳介などにかゆみを伴う炎症が現れやすく、猫は気にしてかいたりします。

皮膚炎が長く続くと、患部の毛が抜けたり、炎症後色素沈着によって皮膚が黒ずんだりします。また、皮膚が厚くなることもあります。

マラセチア性皮膚炎

マラセチアという真菌(カビ)の一種に感染し、免疫低下や他の皮膚病をきっかけに爆発的にマラセチアが増殖すると、外耳炎を発症することがあります。マラセチアが原因の外耳炎になると、茶褐色や黒っぽいベタベタした耳垢で耳の中が汚れます。

マラセチアは健康な猫の耳や皮膚などに生息している常在菌で、免疫力が正常であれば害はありません。ただ、免疫が低下するような病気を発症していたり、アトピー性皮膚炎や他の原因による外耳炎を発症していたりする場合は注意が必要です。皮膚のバリア機能が弱ってマラセチアが外耳道に感染し、異常に増殖を始め、マラセチア性の外耳炎が引き起こされることがあります。

かゆみが強いため、猫はしきりに耳を気にするしぐさをします。マラセチア性の外耳炎の場合、耳から甘酸っぱいようなにおいがするのも特徴です。

また、マラセチアは稀に皮膚炎を引き起こすこともあります。マラセチア性皮膚炎になると、皮膚がベタついて赤くなり、フケが出て、猫はひどいかゆみに襲われます。さらに炎症によって皮膚が色素沈着を起こし、黒ずんで見えます。炎症は耳、あご、口の周り、わきの下、鼠径部、指の間、肛門などによく起きます。

マラセチア性皮膚炎は、脂漏性皮膚炎(脂漏症)を発症しているとなりやすい傾向にあります。猫の中でもアメリカン・ショートヘアーやペルシャは脂漏性皮膚炎になりやすいため、注意が必要です。

ニキビダニ症

猫のニキビダニ症は、猫の毛穴の中に生息しているネコニキビダニというダニによって引き起こされる皮膚炎です。ネコニキビダニは病気などで免疫力が落ちた時に増殖し、頭部、耳、首などの皮膚に赤みや色素沈着による黒ずみ、フケ、脱毛などが起こります。

甲状腺機能低下症

甲状腺は気管の左右に1つずつ存在しており、体の新陳代謝を促進する働きがある甲状腺ホルモンを分泌しています。猫の甲状腺機能低下症では、甲状腺ホルモンの分泌が低下して元気や活力がなくなります。さらに太りやすくなったり、毛づやが悪くなったりし、皮膚が色素沈着を起こして黒ずむこともあります。この皮膚の黒ずみは耳介で起こることもあります。

副腎皮質機能亢進症

猫の副腎皮質機能亢進症は、腎臓のすぐ上にある副腎から副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される病気で、クッシング症候群とも呼ばれます。副腎皮質ホルモンは、代謝にかかわっている他、炎症を鎮めたり、免疫を抑制したりする働きがあります。また、メラニンの分泌を促進させる作用もあります。

そのため、副腎皮質ホルモンの分泌が多くなると、メラニンの生成が促進され、皮膚が色素沈着を起こして黒ずんで見えます。この黒ずみは耳の裏にも見られることがあります。

その他、副腎皮質機能亢進症を発症すると、多飲多尿、食欲増進、左右対称の脱毛が症状として現れることがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?猫の耳の黒ずみは、寄生虫、皮膚病、内分泌疾患といった様々な原因で起こり得ますが、その根底には、免疫力を下げる他の病気が隠れていることも少なくありません。また、耳の異常はかゆみがあることが多く、猫が耳をかき壊したり、こすりつけたりして刺激を加えるうちに耳血腫を起こすこともあります。猫の耳に異常が見られたら、放置せず、早期に動物病院に行くよう心掛けてください。

 
 

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