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大きくて黒くて威風堂々としたたずまいのロットワイラー。一見「怖い」と感じさせますが、飼い方次第では子守もできる心優しい犬です。近年は犬の健康への関心も高まり犬の寿命が延び、高齢化も進んでいるといわれています。
健康で長生きをするためにはどうしたらよいか?長寿の秘訣やシニアの注意点などを調べてみました。
ロットワイラーの平均的な寿命は?
ロットワイラーの平均的な寿命は8歳~10歳だといわれています。ドーベルマンが10歳~13歳、ジャーマン・シェパード・ドッグが9歳~13歳といわれているので、大型犬の中でもやや短命な印象ですね。
ただしあくまでも平均寿命は1つの目安であって、犬の寿命はその犬の持っている体質や病気、育った環境によって異なります。とくに最近は犬の医療も充実してきていますし、市販のドッグフードも種類も質も向上していますので、寿命を越えて長く生きている犬も増えてきています。

元気で長生きのポイントは?
どうしたら少しでも長く健康でいられるのでしょう?健康寿命を延ばすためのポイントをいくつかご紹介します。
突然死の要因・心疾患に注意!
ロットワイラーは遺伝的に心臓に疾患を持っている可能性が高い犬種だといわれています。ロットワイラーに多く見られる心疾患は次の2つです。
拡張型心筋症
大型犬の場合は体の大きさの割に内臓が小さく、小型犬よりも臓器への負荷が大きいといわれています。そのなかでももっとも負担がかかるのが全身に血液を送っている心臓です。小さな心臓で大きな体に血液を送っているので、普通に生活していても負担が大きくなってしまうのです。そのため突発性の拡張型心筋症になるケースが非常に多いようです。
拡張型心筋症は明確な予防方法がなく初期段階では特に目立った症状がみられないため、気が付いた時には手遅れになっていることが多くあります。
大動脈弁狭窄症
左心室から全身へと流れる血液の通り道が大動脈です。この大動脈にある大動脈弁のあたりが狭窄をおこし、血流が悪くなる病気を大動脈弁狭窄症といいます。
大動脈弁狭窄症の場合は狭窄部分の程度によって症状が異なるようです。狭窄の程度が少ない場合は、あまり症状もなく普段の生活が送れてしまうことが多いようです。逆に大動脈に近い部分で大きな狭窄を起こしているような場合は、運動をすると疲れやすいや、不整脈による突然の失神などの症状が現れます。
心疾患の完治は難しい
どちらの病気も根治させることは難しいのですが、早い段階でみつけることができれば、投薬や運動と食事の制限などを的確に行うことで、症状を抑えながら生活することができます。ロットワイラーの場合は子犬を迎えた時から、できれば定期的に心臓の検査を受けるとよいでしょう。
大型犬に多い胃捻転にも注意が必要
ロットワイラーのように胸の深い大型の犬種に多い病気です。胃捻転は症状が現れてから数時間で死に至る可能性のある恐ろしい病気で、気が付かずに放置をすれば確実に命を落としてしまいます。
胃捻転とは胃の1部が何らかの原因で捻じれをおこし、血流が止まって壊死を起こしてしまう病気です。捻じれる際に脾臓などの周囲の臓器を巻き込んでしまうことがあり、巻き込まれた臓器も一緒に壊死をおこしていきます。胃捻転が発生するメカニズムははっきりとわかっていませんが、生活の中でいくつかのポイントを注意することで、発症を抑制することができるといわれています。主なものをいくつかご紹介します。
- 1度にたくさんの量を食べさせないように何回かに分けて食事をさせる
- 犬の首が水平な状態で食べられるように高さのあるスタンドを用意してあげる
- 食事の前後1時間は安静にさせる
- 運動後の飲み水の量は400cc程度と決めておく
- ドライフードを食べさせるときはふやかしてから与える
胃捻転は症状が現れてから治療までの時間をどれだけ短くしてあげられるかが、命をつなぐことにつながります。
胃捻転は早期発見・早期治療が延命の鍵
- 吐き気があるようなのに吐しゃ物を出すことができない
- 落ち着きなく動き回る
- 腹部を舐め続ける
などの症状がみられたらすぐに動物病院へ連れて行ってあげましょう。ただあまりはっきりとした症状を表さない犬もいるようですので、日ごろからよく犬の状態を観察し正常な時の様子を把握しておきましょう。
胃捻転の場合は緊急の対応ができない、治療の経験がないなどの理由から、発症している状態なのに診察を断られてしまうようなケースもあるようです。胃捻転の治療経験があり24時間夜間も診察してくれる病院をいくつか見つけておくとよいでしょう。
主従関係のはっきりとした安心した生活が大切
ロットワイラーは咬傷事故も多く、危険な犬種だといわれることが多くあります。確かに攻撃的な面がないわけではありません。また噛む力も強いため犬にとっては甘噛みのつもりでも、大きな事故につながってしまうこともあります。
ロットワイラーを飼う場合はしっかりとした服従訓練を行い、常に主従の関係をはっきりと理解させておかなければなりません。また子供や他の犬への攻撃性をおさえるためにも、小さな頃からさまざまな場所へ連れていき音や急な動きに過剰に反応しないよう、社会性を身に付けさせてあげることも重要です。
主従の関係がはっきりとした生活は、ロットワイラーにとっても過ごしやすくストレスの少ない状態です。ストレスが少なければ少ないほど、病気にかかりにくいのは人も犬も同じことです。また1部の研究では落ち着きがあり穏やかな性格の犬の方が、縄張り意識の強い攻撃的な犬よりも寿命が長いといわれています。
落ち着きのある穏やかな性格の犬にするためにも、できればプロのトレーナーの力を借りて、しっかりと主従関係や社会性を身に付けさせてあげましょう。

シニアになったら注意してあげたいこと
平均的な寿命の短いロットワイラーの場合は5歳ころからはシニア期に入ったと考えて、犬の様子を常に観察しながら生活をあわせてあげるとよいでしょう。
胃腸が敏感なところのある犬種なので、シニア期に入ったらできるだけ胃腸の負担の少ない、適度な硬さのローカロリーフードに切り替えてあげるとよいですね。
また心臓の疾患は5歳~6歳以降から発症する確率が高くなっていきます。いつもと同じ運動量なのに苦しいそうにしている、散歩に行きたがらない、食欲が落ちたなどは心疾患の兆候ですので、早めにかかりつけの獣医師に連れていきましょう。
その他にも症状に現れていない潜在的な病気が発症している可能性も高くなりますので、シニア期に入ったら半年に1回のペースで定期検診を受けるとよいでしょう。
充実した毎日を
残念ながらロットワイラーの場合は他の犬種に比べて、一緒に過ごせる時間は短いかもしれません。
でも長く過ごすだけことだけが犬の幸せなのでしょうか?1日1日飼い主と一緒に充実した時間を過ごすことが、犬にとって1番幸せなことなのではないでしょうか。ロットワイラーと生活をするのなら、その時々を大切にして犬との生活を楽しんでください。