2016年3月24日更新

認知症の犬や猫との生活で気をつけることを獣医師が解説

飼い主の健康管理に対する意識の向上や獣医療の進歩などによって、犬や猫も以前に比べて長寿になってきました。それに伴い、高齢の犬や猫に人の認知症に似た症状が出るケースが増えていることを知っていますか?愛犬や愛猫が認知症と診断されたら、どのようなことに気をつけて生活を送ればよいのでしょうか?今回は、認知症の犬や猫との生活で気をつけることについて紹介します。

認知症とは

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加齢に伴って起こる脳の神経細胞の破壊などが原因で、記憶力や判断力などが障害され、普通の社会生活が行えなくなる症状を指します。犬や猫でも人の認知症と同じような状態になることが知られ始めています。

犬や猫の認知症に特徴的な症状は?

  • 徘徊する、自分がどこにいるのかわからなくなり、あてもなく歩き続ける
  • 存在していないものが見えるかのように、空中の一点を見つめる
  • 飼い主を認識できなくなる
  • 食べ物の好みが急に変わる
  • 単調な声で夜鳴きを繰り返す
  • 失禁をしたり、不適切な場所で排泄したりする
  • 狭いところに入り込み、後退や方向転換ができずに鳴く
  • 円を描くように歩く
  • とぼとぼ歩く

「認知症かもしれない」と感じたら、まずは動物病院へ

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現在の獣医学では、認知症の特異的な診断方法があるわけではありません。そのため、認知症とよく似た症状を起こす他の疾患がないことを確認したうえで、慎重に認知症と診断しなくてはなりません。なぜなら、認知症は徐々に進行していく、完治が困難な病気だからです。安易に認知症と決めつけてはいけませんし、老化のサインだろうと簡単に考えてもいけません。

また、認知症とよく似た症状を起こす病気の中には、脳腫瘍などの神経疾患、内分泌疾患などの内臓疾患、問題行動などがあります。これらの中には、治療により治癒が見込めるものもあれば、適切な処置を行わなければ急速に進行してしまう恐れのあるものあります。こういった病気の可能性を見逃さない為にも、「認知症かもしれない」と感じたら、まずは動物病院できちんと診察を受けてください

愛犬や愛猫が認知症と診断されたら…

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軽度の認知症であれば、投薬や適切なケアをすることで、症状の改善がある程度期待できることがあります。しかし基本的には、認知症は徐々に進行していく慢性疾患です。認知症と診断された愛犬や愛猫との生活の質を維持するためには、自宅でのケアが非常に大切です。

認知症と診断された愛犬や愛猫のためのケア

認知症の進行を遅らせ、飼い主と愛犬や愛猫の生活の質を維持するために実践しておきたいポイントがいくつかあります。

体への触れ方

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急に体に触れるとおびえることがあります。正面から声をかけながらゆっくり触れるようにしましょう。

夜鳴き対策

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夜鳴きで愛犬や飼い主が寝られなかったり、極端に生活の質が落ちてしまったりするようならば、落ち着かせるための薬による処置も選択肢のひとつです。動物病院に相談をしてみてください。また、どうしても夜鳴きや興奮が収まらないといった緊急時に受診可能な動物病院も調べておきましょう。

生活環境

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家具の隙間を作らないようにしましょう。難しければ隙間にマットなどをいれて入り込めないようにしてください。また、踏んだり、口にしたりしたら危険な物の除去を徹底しましょう。家の中をひたすら歩き回るような時は、やわらかいクッションやマットでサークルを作ってあげると良いでしょう。

そのほか、排泄を失敗してしまうようならば、トイレの面積を広くしたり、数を増やしたりしてください。室内の清潔の維持にもこれまで以上に気を配りましょう。

刺激を与える

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できるだけ毎日愛犬を散歩に連れ出して、刺激を与えるようにしてください。散歩や運動は良い気分転換にもなります。時には散歩コースを変えてみてもよいでしょう。愛犬や愛猫と一緒に色々な遊びをしながら、積極的にコミュニケーションをとることも大切です。優しく話しかけながらマッサージをしてもいでしょう。

栄養管理

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必要以上にたくさん食べたがることがありますが、良質なフードを一定量、規則正しく食べさせるようにしてください。

半年に1回程度の定期的な検査

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愛犬や愛猫の状態を動物病院で定期的にチェックしてもらってください。また、これまでと同様に健康管理に努めてください。

飼い主と愛犬や愛猫が、ともに幸せに暮らすことが大切です

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愛犬や愛猫の様子を見て、「認知症かもしれない」と感じたら、まずは動物病院を受診してください。愛犬や愛猫が認知症と診断されたら、これまで以上に丁寧なケアが必要になります。

介護は、時に重労働に感じることもあるでしょう。家族間で役割分担を行い、助け合いながら行なってください。飼い主と愛犬・愛猫がともに快適で幸せな暮らしを送れるよう、飼い主自身の健康にも注意しながらケアを続けてください。

ペット生活 獣医師



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