2016年6月29日更新

【獣医師監修】犬の子宮内膜炎〜原因・症状と対策

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メス犬が発症する病気で子宮内膜炎という病気をご存知でしょうか。

犬の子宮内膜炎は発症すると犬にとってとてもつらい状態が続く病気で、避妊手術をしていないメス犬だけが発症してしまう病気です。飼い主が気付かずに放置してしまうことで他の病気を併発してしまうこともあり、命にもかかわってくる危険な病気です。

愛犬の避妊手術をしない場合は発症してしまう可能性がとても高いので、どういった病気かを事前にしっかり把握しておきましょう。

 

犬の子宮内膜炎の原因

子宮内膜炎は子宮の内部に細菌などが入り込んでしまうことで発症する病気です。

通常、子宮の入り口は中に細菌などが入らないように閉じた状態ですが、発情前後の時期は交尾をしやすいように部分的に開くようになっています。その際に細菌が入り込んでしまうと子宮内膜炎を引き起こしてしまいます。

細菌感染

通常膣内に常在している細菌や大腸菌などが子宮内に入り、子宮内膜に感染してしまうことで炎症を起こします。

これらの菌は呼吸器や消化器から血流にのって子宮内に到達することもあります。また年齢が上がってくると免疫機能低下により子宮腺の奥に入り込んだ細菌を殺菌することができず炎症を引き起こしてしまいます。

発情期の子宮の変化

発情期の前後には子宮内で女性ホルモンの一種であるエストロゲンが大量に放出されることで、子宮内膜が分厚くなっています。

人間の体の中では分厚くなった子宮内膜は受胎しなければはがれて月経となって排出されますが、犬の場合は受胎しなかったとしても子宮内膜が排出されることはありません。そのため子宮内の菌が外に排出されることなく増えてしまうようになります。

犬の子宮内膜炎の症状

子宮内膜炎は避妊手術をしていないメス犬が発症する病気です。

免疫力の高い若いメス犬では発症率がそれほど高くありませんが、年齢が上がり免疫力が下がってきたメス犬ほど発症しやすい傾向にあります。特に出産経験のない高齢のメス犬が発症しやすい病気です。主な症状には元気がなくなったり、お腹が張ったり、尿の回数が増えることで水の飲む量も増えるようになります。不正出血が見られるようになり、微熱や発熱を伴うこともあり、症状がどんどん進んでくると寝て過ごす時間が長くなり、ぐったりとして明らかに様子が違って見えるようになります。

子宮内膜炎を放置しておくと子宮内に膿がたまるようになり、子宮蓄膿症を発症してしまうこともあります。ほかにも腹膜炎や敗血症、貧血、腎不全などを併発するリスクが高まり、命にかかわることもあります。

高齢の犬の場合は手術ができないことも多く、複合的に病気を患ってしまうこともあるので手遅れになる前に早期治療を行うことが重要です。

 

犬の子宮内膜炎の対策

犬の子宮内膜炎は症状や年齢によって治療方法が異なってきます。

症状が軽い場合では内服や注射などを行い治療を施していきますが、症状が重い場合には外科手術が必要なこともあります。また若齢のメス犬が発症した場合は、そのままでも自然回復することがありますが、再発のリスクが高まります。

抗生物質による治療

炎症を引き起こしている細菌に最も効果的な抗生物質を使って治療を行っていきいます。投薬の方法は内服や注射があります。

ホルモンに働きかける治療

子宮収縮薬やホルモンの働きを抑制する薬を使用して治療を行っていきます。

外科手術による治療

症状が深刻で子宮蓄膿症などを発症している場合には外科手術を用いて治療を行っていきます。高齢の場合には手術が行えないこともあります。

予防

繁殖する予定のないメス犬は避妊手術を受けておくことで病気を予防することができます。

避妊手術は生後半年前後から受けることができますが、高齢になってからはその他の病気の影響や体力の衰えなどの理由から避妊手術を受けることが困難になってしまいます。子宮蓄膿症を発症してしまうと手遅れになってしまうこともあるので、体力がしっかりとあり避妊手術を受けられるうちに予防を行っておくようにしましょう。

まとめ

犬が発症する子宮内膜炎は避妊手術を行っていないメス犬が発症しやすい病気です。

しっかりと予防策をとっておけば発症することもありませんが、子宮内膜炎が悪化してしまうと重篤な状態に陥って命にかかわってしまうこともあります。避妊手術をしない場合には子宮内膜炎のリスクをしっかりと把握し、愛犬が発症したときにすぐに病気に気づいて獣医師に相談できるよう心がけておきましょう。