2016年6月29日更新

【獣医師監修】犬の膣脱〜原因・症状と対策

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メス犬だけが発症する病気に膣脱と言われる病気があります。

膣脱は言葉の通り、メス犬の生殖器の一部である膣が体の中から外に出てきてしまう病気で、命にかかわるものではありません。しかしとてもデリケートな部分が体の外に出てしまうため、愛犬にとって非常に不快な病気です。

膣が体の外に出てきてしまうと聞いてビックリする人もいるかもしれませんが、メス犬に多い病気なのでどのような病気なのか事前にしっかり把握しておきましょう。

 

犬の膣脱の原因

犬の膣脱の原因は基本的に女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンというホルモンのバランスが崩れてしまうことで起こるものだとされています。

発情期になるとメス犬の体ではこれらのホルモンの影響を受け、膣が厚みを増していきます。このとき膣が必要以上に厚くなりすぎることで膣の中に収まらなくなってしまいどんどん押し出されてきて外に飛び出してしまうようになります。

ホルモンバランスの乱れ

発情期にメス犬の膣が膨らむのは自然なことですが、何らかの原因でホルモンバランスが著しく崩れてしまっていることで膣が極端に肥大化してしまい膣脱を発症してしまいます。特にホルモンの分泌が盛んな若いメス犬で発症しやすい病気です。

膣脱を発症しやすい犬種

膣脱は若いメス犬で多くみられる病気で、特に3歳未満の大型犬で起こりやすい病気です。

遺伝が関係しているかどうかは研究中ですが、特に膣脱を引き起こしやすい犬として、ボクサー、ブルドッグ、セントバーナード、マスティフ、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、ジャーマンシェパード、エアデールテリアなどの犬種があります。

犬の膣脱の症状

膣脱では膣の一部が外陰部と言われるメス犬が尿をする付近から体の外に飛び出してしまう病気のことです。通常は体内にあるべきものが外に出ているため、肉眼で確認することができます。膣脱のタイプは大きく分けて3タイプに分けることができます。

主な症状

膣脱では体外に飛び出した膣が肉眼で確認できます。

犬は患部が気になることで飛び出した膣をしきりに舐めたり、噛んだりしてしまい傷ついてしまうこともあります。また尿道が押しつぶされることで尿が出ないなどの症状が見られることもあり、膀胱炎などの症状を招いてしまうこともあります。

膣脱のタイプ:膣底反転

膣脱の中でも症状がまだ軽度のもので、完全に飛び出すまではいかないものの膣の底が裏返り飛び出そうとしている最初の段階の状態です。

膣脱のタイプ:舌状脱出

膣の一部が舌のような形をして外陰部から突出している状態です。

膣脱のタイプ:ドーナツ型

膣が完全に外陰部から出てしまい、舌の状態を通り越しドーナツのように丸みを帯びて出てきてしまっている状態です。

 

犬の膣脱の対策

膣脱は発情期にホルモンバランスが崩れることで発症しやすい病気のため、発情期が終わるのと同時に自然と元に戻ることが多い病気です。そのためほとんどの獣医師が目視での診断後、保存療法を行いますが、膣はデリケートな部分で傷つきやすく乾燥しやすいため扱いがとても大変なものです。また場合によっては外科手術を行って膣を強制的にしまう方法をとることもあります。

保存療法

膣脱を起こした場合まず第一に行われる治療法が保存療法です。

症状が悪化しないように無菌潤滑剤などを付けて粘膜を湿らせ清潔に保ちます。また犬が舐めてしまうことで細菌感染が起こってしまうこともあるのでエリザベスカラーなどを使用して感染予防を行います。

外科手術

たびたび膣脱を繰り返したり、発情後も元に戻らない場合には手術を行って元に戻すことがあります。また外科手術によって卵巣と子宮を取り除いてしまうことでエストロゲンホルモンを減らすことができ、膣が分厚くなることを防ぎます。

予防

メス犬がホルモンバランスを乱してしまい、それが膣脱につながるメカニズムは今のところまだ解明されていません。しかし食生活の乱れやストレス、運動不足などがホルモンバランスに影響を与え膣脱を起こしてしまう可能性は高いとされています。日ごろから愛犬の様子に十分注意し、異変があればすぐに獣医師に相談しましょう。

まとめ

犬の膣脱はメス犬だけに発症する病気です。

通常体の中にあるものが外に出てきてしまうというのは驚き以外の何物でもありませんが、保存療法が治療方法だと知っていても素人判断で放置しておくのは危険な病気です。また膣脱と似た病気に腫瘍が関係しているものもあるため一概に素人が膣脱だと判断するのは危険な行為です。

膣脱が命にかかわる病気でないにしても、体の中にあるべきものが出てきてしまうということは必ず弊害が伴うものです。愛犬の異変に気づいたら早急に獣医師に相談しましょう。

 
 

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