2016年7月7日更新

【獣医師監修】犬のジステンパー性神経症〜原因・症状と対策

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犬が打たなくてはいけないワクチンにジステンパーウィルスワクチンがありますが、ジステンパーがどういったものかわからないという人は多いのではないでしょうか。犬がジステンパーウィルスに感染してしまうと高い確率で命を落としてしまい、有効な治療方法もないといわれています。ジステンパーウィルスが脳の神経を破壊することで起こってしまうのがジステンパー性神経症です。今回はジステンパー性神経症について詳しく見ていきましょう。

 

犬のジステンパー性神経症の原因

犬にとってとても危険な病気であるジステンパーは、その危険性ゆえに発症前のワクチン接種が推奨されているほどです。しかし飼い主の認識が足りないために予防接種を受け忘れてしまうとジステンパーウィルスに感染してしまい発症してしまうのがジステンパー性神経症です。ジステンパーウイルスは全世界に存在しているウィルスで、イヌ科の動物以外にもネコ科、イタチ科、アライグマ科、スカンク科、アザラシ科、ジャコウネコ科などさまざまな動物が発症してしまう病気です。しかし、どの動物よりも最も感染しやすいのが犬です。

ジステンパーによる感染

ジステンパー性神経症を発症してしまう原因はジステンパーウィルスへの感染です。ジステンパーウイルスが脳の神経細胞を破壊してしまうことで神経機能に障害が出るようになります。ワクチン接種をしていれば感染することはありませんが、まれにワクチン接種の時期が悪かったり、ワクチンそのものが悪かったりすることにより、ジステンパーウイルスに対する抗体が作られなかったりしてしまうとジステンパーに感染してしまうことがあります。

ジステンパーへの感染経路

ジステンパーウィルスに感染してしまう原因は感染動物との接触です。ジステンパーウィルスに感染した動物の体液に触れたり、吸い込んだり、直接的または間接的に接触してしまうことで、鼻や口からウィルスが体内に入り感染してしまいます。

犬のジステンパー性神経症の症状

犬にとって衝撃的なダメージを与えてしまうジステンパー性神経症ですが、神経に異常をきたすようになるため明らかに様子が違ってくるようになります。体の一部が痙攣をおこすようになったり、ぐるぐると同じところを歩いたり、四肢が突っ張ったまま急に倒れてしまったりすることもあります。初期の症状では脳に障害をきたしておらず、ジステンパーの症状だけですが、脳に障害をきたすようになると急激に体調に変化が現れます。しかし、極まれにジステンパーの症状を示さず、いきなりジステンパー性神経症を発症することもあります。

初期の症状

初期段階ではジステンパーウィルスに感染しているだけなので、下痢や嘔吐、咳やくしゃみなどの通常のジステンパーの症状が見られます。感染して間もなくは発熱や嘔吐など風邪とよく似た症状だけですが、1週間が過ぎてくると元気がなくなり、結膜炎や角膜炎、血便、腹痛などを伴うようになります。

重度の症状

ジステンパーウイルスが脳にまで障害をきたし始めると、痙攣や四肢の突っ張り、失禁や奇怪な動きをするようになります。てんかんのような症状が出ることもあり、口から泡を吹いて倒れてしまうこともあります。急激に体調が悪くなり、急死してしまうこともあります。

 

犬のジステンパー性神経症の対策

ジステンパー性神経症に対する治療法はまだ確立しておらず、発症してしまうと施す手がないのが現状です。犬の免疫力が高い場合では、対症療法で回復することもありますが、ほとんどの場合で3か月以内に命を落としてしまうようになります。愛犬を守るためにもまずはジステンパーウィルスに感染させないことが重要です。

対症療法

ジステンパー性神経症に対する特効薬がないため、基本的には対症療法が施されます。痙攣を引き起こしている場合には抗痙攣剤を、てんかんを引き起こしている場合には抗てんかん剤を使用します。また場合によっては免疫力活性剤などを使用して症状の軽減を図ることもあります。

二次感染の予防

ジステンパー性神経症に感染してしまうことで免疫力が著しく低下していくので、他のウィルスなどによって二次感染を引き起こしてしまうことがあります。抗生物質などを使用して他の細菌やウィルスの侵入を防ぎ他の病気を併発しないよう注意します。

予防

ジステンパー性神経症を発症させない唯一の方法はワクチン接種です。生後2か月半以内に予防接種を受けておくことでジステンパー性神経症の発症を抑制できます。治療方法がない以上、予防をしっかりとしておくことが重要です。

まとめ

犬のジステンパー性神経症は発症してしまうと高い確率で死に至ってしまうとても怖い病気です。ペットショップなどでは販売前に基本的に予防接種を打ってくれているところがほとんどですが、赤ちゃん犬から育てる場合、飼い主がしっかりとジステンパー性神経症の恐怖を把握し積極的に予防に取り組むことが必要です。またいくら予防を行っていてもワクチンが効いていない可能性も踏まえて普段からジステンパーウィルスが存在しそうな場所には踏み入らないようにすることも心がけましょう。

 
 

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