2016年7月7日更新

【獣医師監修】犬の肝性脳症〜原因・症状と対策

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犬の肝性脳症という病気をご存知でしょうか。あまり聞きなれない言葉ですが、肝性脳症は肝臓の機能が働かなくなってしまうことが原因で脳に障害を与えてしまう病気です。肝臓の機能障害がなぜ脳に重篤なダメージを与えてしまうのか不思議に思う人もいるかもしれませんが、肝臓の持つ役割を知ればその理由もわかってくるようになります。今回は脳にまでダメージを与えてしまう犬の肝性脳症について詳しく説明しましょう。

 

犬の肝性脳症の原因

犬の肝性脳症は何らかの原因で肝臓が機能不全に陥ることで脳に障害を与えてしまう病気のことを言います。肝臓には体内をめぐる血液中の不純物や毒素を分解する役割がありますが、肝臓の機能が低下してしまうことでアンモニアなどの有害物質が解毒されなくなり、血液にのって体内を巡ってしまいます。その際に脳を汚染してしまい、脳に障害を発生させてしまい肝性脳症を発症します。

肝不全によるもの

肝性脳症は肝臓の機能不全が招く病気です。肝臓の働きに影響を与える疾患には、肝硬変や肝臓の萎縮、門脈体循環シャントなどがあります。

先天性によるもの

肝性脳症の要因となる門脈体循環シャントを発症してしまう原因に遺伝的要因が確認されています。門脈体循環シャントを発症しやすいのは小型犬で生後4週から12歳までとばらつきがあります。特に発症しやすい犬種としては、ヨークシャーテリア、マルチーズ、ミニチュアシュナウザー、アイリッシュウルフハウンド、オールドイングリッシュシープドッグなどがあります。

犬の肝性脳症の症状

犬が肝性脳症を発症すると脳から体の様々な器官に指令が出なくなり発育不全や虚弱体質などになってしまいます。また頭部押しつけ行動と言われる頭を壁や物などに長時間押し付ける行動が見られることもあります。これは脳の奥にある大脳や視床下部が血液中の有害物質の影響を受けることが原因で起こす奇怪行動の一つです。

初期の症状

肝性脳症が起こった初期の状態では、まっすぐ歩けなくなったり、食欲不振に陥ったり、気が散漫になったり、物事に執着しなくなったりといった様子が見られるようになります。次第に、嘔吐や大量の飲水といった行動も見られるようになり、お腹に水がたまることもあります。

症状の進行状態

症状がどんどん悪化していくと、成長期の子犬であれば発育不全や虚弱体質などを引き起こしてしまうこともあります。体重が減少するようになり、意味もなく旋回したり、頭部押しつけ行動などが見られるようになります。脳内にどんどん毒素がたまっていくので四肢の運動機能にも障害が出るようになり、痙攣を引き起こしてしまい、失明や昏睡状態に陥ることもあります。

 

犬の肝性脳症の対策

肝性脳症は何が原因で肝臓に影響を及ぼしているのかを突き止めてから治療を行っていくようになります。著しく脳内に損傷ができてしまっている場合は後遺症が残ることもありますが、症状が軽い場合では状態の回復も期待できます。

基礎疾患の治療

肝性脳症の原因となっている肝臓の病気を突き止めて、その症状を治療していきます。門脈体循環シャントがある場合は、血液の流れを回復させるため外科手術を行っていくようになります。また脳へのダメージを軽減するために血液中の毒素を取り除く内科的治療が行われることもあります。

投薬による治療

肝臓がアンモニアを血液から取り除けない場合には、アンモニアが生成されにくくなる薬を内服し症状の悪化を防ぎます。

食事療法

肝臓に負担をかけない食事を摂ることで肝臓機能の自然回復を促進させます。低タンパク質の食事や無添加の食事に切り替え、体内の毒素を減らすようにします。

まとめ

犬の肝性脳症は治療が長期にわたることが多く、発症すると愛犬に大きなダメージを与えてしまう危険な病気です。すぐに命にかかわる恐れがないにしても、脳という体の司令塔が傷害されてしまう以上、何らかの後遺症が残ることも考えられます。定期的に健康診断などを行い、肝臓の数値をチェックし、普段の生活の中から肝臓に負担のかかる食事などを避け、異変があれば早急に獣医師に相談できるようにしておきましょう。

 
 

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