2016年7月7日更新

【獣医師監修】犬の骨軟骨異形成〜原因・症状と対策

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人間でも発症する通称、小人症と言われる骨軟骨異形成という病気が犬でもみられることがあることをご存知でしょうか。骨軟骨異形成は遺伝性疾患で骨が十分に成長しない病気のことを言います。学生の理科の教科書にドワーフイズムと書かれていることもありますが、犬の歴史の中ではこの骨軟骨異形成はたびたび登場するものです。今回はそんな骨軟骨異形成について詳しくご説明しましょう。

 

犬の骨軟骨異形成の原因

犬の骨軟骨異形成はもともと珍しい遺伝性の病気でしたが、現在は特に品種改良で小型化を行われてきた犬を中心に発症しやすい病気として知られています。犬の骨軟骨異形成の歴史に大きくかかわってきた人間は、人間のエゴでさまざまな品種改良を行う中で「より小さくてかわいいものを」と選択的に骨軟骨異形成の遺伝子を持つ犬同士をどんどん掛け合わせ、「ティーカッププードル」や「豆しば」などを作ってきた歴史があります。そのため骨軟骨異形成になりやすい遺伝的な犬種が多く、骨が脆い一方で犬種の個性として扱われてきました。

人間の作為的な要因によるもの

人間が犬の姿をより自分たちの理想に近づけるために作為的に骨軟骨異形成の犬同士を掛け合わせ、骨軟骨異形成の遺伝子を持った犬が作られてしまったことがあります。

遺伝によるもの

骨軟骨異形成は遺伝子的には染色体の異常によりできてしまったものですが、骨軟骨異形成の犬種ばかりを掛け合わせてきた歴史の中で、骨軟骨異形成の染色体が広がってしまいました。具体的な犬種としてはカニンヘンダックスフンドやバセットハウンド、ウェルシュコーギー、スコティッシュテリア、スカイテリア、ダンディディンモントテリアなどの犬種があります。

犬の骨軟骨異形成の症状

骨軟骨異形成の犬は頭の大きさは正常な大きさであるにもかかわらず、手足があまり成長しないという特徴を示します。現在ではそういった特徴の犬はそういった犬種として既に登録されており、骨軟骨異形成としての認識はほとんどありません。よく見かけるダックスフンドやウェルシュコーギーなどは骨軟骨異形成の典型的な犬ですが、こういった骨の成長をしているということそのものが骨軟骨異形成の症状になります。骨軟骨異形成は手足がほとんど成長しない、以外は症状があまり出る病気ではありません。

しかし、骨軟骨異形成で手足が極端に短い犬はその弊害として、背骨の一つ一つが小さく節々が太い骨格になってしまっており、前腕部変形成長や前足の骨の亜脱臼、肩関節の異形成、ひじの骨がずれてしまう、脚がO脚、股関節形成不全、脱臼、椎間板ヘルニアなどの病気を発症しやすくなっています。ごくまれに成長の段階で骨の異常が神経を圧迫してしまうことがあり、強い痛みを伴い足を引きずって歩くことがあります。

 

犬の骨軟骨異形成の対策

犬の骨軟骨異形成は既に犬種の特徴として登録されているため、防ぎようがない病気です。骨軟骨異形成に関しては手足が短い以外の症状もほとんどないため、どうすることもできませんが、それに伴って出てきた他の疾患に対してはしっかりとケアしてあげることが必要です。

対症療法

骨軟骨異形成であるがゆえに発症してしまった疾患に対する治療を行っていきます。主な疾患としては股関節形成不全、椎間板ヘルニア、脱臼、骨折、短頭種気道症候群などがあります。

無理な掛け合わせを行わない

既に出来上がってしまっている犬種を元に戻すことはできませんが、これ以上骨軟骨異形成の犬同士の掛け合わせを行わないことで遺伝子操作をストップすることができます。手足が短い犬は確かにかわいいと感じてしまうかもしれませんが、実際に手足が短く改良され続けてきた犬たちにとっては普段の生活は送りにくいものでしかありません。小さな手足で走ることは容易ではなく、ジャンプ時の骨折のリスクや階段の上り下りの際に腹打ちしてしまい内臓が危険にさらされてしまうこともあります。

まとめ

犬の骨軟骨異形成は元々は劣性遺伝の中でレアなケースとして発症してきた病気です。しかし、それを良しとした人間の勝手で、現在では骨軟骨異形成の遺伝子を持った犬が優性となり犬種として登録されて広がってしまうようになりました。これ以上遺伝子操作を行わないようにし、何が犬にとって本当にいいのかを考えたうえで私たちはこの犬の歴史と犬種と向かい合っていくことが非常に大事になります。

 
 

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