【獣医師監修】【耳の症状】猫の耳が臭い時に考えられる病気

「これまで気にならなかったのに、急に猫の耳が臭くなったような気がする」。そんな時は、外耳炎など何らかの病気を発症している可能性があります。耳が臭くなる原因として、細菌や真菌(カビ)への感染、ポリープや腫瘍の発生などが考えられます。

猫の耳が臭い時には、大量の耳垢や耳だれが出たり、かゆみ、痛みを伴ったりすることが多いため、早い段階で原因となる病気を突き止めて治療することが大切です。

 

猫の耳の構造とにおいについて

猫の耳は、外耳、中耳、内耳で構成されています。外耳はピンと立った三角形の耳介と、耳の穴からL字型になって鼓膜まで続く外耳道の組み合わせでできています。外耳には音を集めて中耳に送る役割があります。

中耳には鼓膜、鼓室、耳小骨、耳管があり、外耳から入ってきた音を増幅させて内耳に送る役割があります。そして内耳には、半規管、蝸牛、前庭があり、蝸牛には音を電気信号に変換して大脳に伝える役割があります。音は脳に届くことで、初めて音として認識されます。

なお、外耳、中耳、内耳はいずれも通常、においはありません。

 

なぜ猫の耳が臭くなるのでしょうか?

猫の耳が臭い時は、外耳や中耳といった耳自体ではなく、多くの場合は耳垢や耳だれに問題があります。猫の場合、何も異常がなければ耳垢は飼い主が気になるほどたまらず、においもあまりありません。しかし、細菌や真菌の感染を受けると、黄色や茶褐色、黒色の耳垢がたくさんたまり、においを発するようになります。

一方、耳だれとは耳の中から出る液体全般を指しますが、耳に何も異常がなければ出てきません。細菌感染が起きるなど何らかの原因によって、ドロリとしたにおいのある耳だれが出ることがあります。

では、具体的に、猫の耳が臭い時にはどんな病気が考えられるのでしょうか。

 

猫の耳が臭い時に考えられる病気

細菌性外耳炎

猫の細菌性外耳炎は、黄色ブドウ球菌や緑膿菌などの細菌が外耳道に感染・増殖して炎症を起こす病気です。飼い主による耳掃除で外耳道が傷ついたり、ペット用シャンプーや水といった異物が耳の中に入り、外耳道内がジメジメしたりすると、細菌に感染しやすくなります。

炎症によってにおいのある黄色っぽい耳垢が増え、さらにかゆみや痛みを伴います。

真珠腫性中耳炎

猫の真珠腫性中耳炎は、鼓膜の一部が中耳の方にへこんで袋状になり、そこに耳垢がたまる病気です。袋にたまった耳垢がまるで真珠のような見た目であることから、この病名がつきました。

真珠腫は音を増幅する耳小骨など周囲の骨を破壊しながら大きくなり、放置すれば中耳の奥にある内耳にまで影響を与えかねません。この真珠腫に細菌が感染すると、においのある耳だれが出たり、耳が痛くなったりします。

真珠腫性中耳炎には、外耳炎の炎症が中耳に及び、鼓室に滲出液がたまる滲出性中耳炎という病気が慢性化することで起こりやすくなります。

炎症性ポリープ

猫の炎症性ポリープは、鼻咽頭ポリープともいい、中耳の鼓室や耳管にできる良性の腫瘍です。ポリープは外耳道や鼻咽頭に向かって成長しますが、外耳道側に進行した場合、ポリープはいずれ鼓膜を破ってしまいます。

鼓膜が破れることで、中耳から膿や血の混ざった、においのある耳だれが出ることがあります。痛みがあるため、猫は頻繁に耳を気にするようになります。また、成長したポリープが外耳道を塞いでしまうこともあり、音が聞き取りづらくなります。

耳垢腺腫/耳垢腺がん

外耳道に分布する汗腺の一種(耳垢腺)が腫瘍化して、耳の中にイボのような塊ができる病気です。良性だと耳垢腺腫、悪性だと耳垢腺がんといいますが、良性か悪性かは見た目だけでは判断できません。

ただ、良性も悪性もイボが大きくなって外耳道を塞いだり、においのある耳だれが出たりする点については共通しています。痛みもあるので、猫は耳周辺を触られるのを嫌がるようになります。

アトピー性皮膚炎

猫のアトピー性皮膚炎は、ダニ、真菌、花粉、タバコといったアレルゲンと接触した結果起こる、アレルギー性の皮膚炎です。耳の中にアトピー性皮膚炎の炎症が現れると、皮膚のバリア機能が低下して、細菌や真菌による外耳炎になりやすくなります。二次感染したあとは、においのある耳垢がたくさん出たり、強いかゆみが現れたりします。

食物アレルギー

猫の食物アレルギーでは、アレルゲンとなる食べ物を摂取した時に皮膚炎が起こります。アトピー性皮膚炎同様、耳の中に炎症が起きることがあり、皮膚のバリア機能が低下します。すると細菌や真菌の感染を受けて外耳炎になりやすく、二次感染したあとは、においのある耳垢や強いかゆみが現れます。

なお、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の症状は酷似しているため、獣医師による検査を受けなければ、どちらが原因になっているかは分かりません。

マラセチア性皮膚炎

マラセチアは真菌の一種で、猫の耳や皮膚にいる常在菌です。普段は無害ですが、アトピー性皮膚炎など他の皮膚炎をすでに患っていたり、免疫力が低下する病気を発症していたりして皮膚のバリア機能が低下すると、急激に増殖して炎症を起こすことがあります。

耳で増殖すると、マラセチア性の外耳炎が引き起こされます。茶褐色や黒っぽい色をした、甘酸っぱいにおいのする耳垢が大量に作られ、強いかゆみも伴います。

皮膚で増殖すると皮膚炎が起き、顔では耳やあご、口の周りなどによく症状が現れます。皮膚がベタベタして、赤み、フケ、強いかゆみが見られ、特徴的な甘酸っぱいにおいが漂います。

マラセチア性皮膚炎は脂漏症(脂漏性皮膚炎)の猫に二次的に起こりやすい傾向にあります。

脂漏症

猫の脂漏症は、皮膚のターンオーバーが異常に早くなってフケが多くなる皮膚疾患です。脂漏症は皮膚とフケの状態によって油性と乾性の2タイプに分けられます。このうち油性は、皮膚がベタベタし、脂っぽいフケが出て、においが強いのが特徴です。外耳道にも症状が出る場合があります。

さらに、脂漏症によって皮膚のバリア機能が弱っているところにマラセチアの感染を受けると、皮膚が赤くなって強いかゆみも生じます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?猫の耳が臭い時に考えられる病気は様々ですが、外耳炎から中耳炎、アトピー性皮膚炎からマラセチア性皮膚炎など、他の病気がきっかけとなって二次的に発症する病気も多く見られます。

猫に余計な苦しみを与えないためにも、他の病気を併発する前に、耳に異常を見つけたらすみやかに動物病院で診察を受けたほうが良いでしょう。

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