2016年6月9日更新

【獣医師監修】犬の唾液腺嚢腫〜原因・症状と対策

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犬の唾液腺嚢腫は唾液を分泌する唾液腺が風船のように膨れてしまった状態になっていることを指します。嚢腫と聞くと、腫瘍に近いものと考えてしまう方も多いかもしれませんが、実際は腫瘍とは異なります。

腫瘍は細胞増殖によってできたかたまりを指すのに対して、嚢腫は細胞以外のものを細胞が包み込んで袋状になったものを指します。犬の唾液腺嚢腫の原因や症状、対策についてご紹介します。

 

犬の唾液腺嚢腫の原因

犬の唾液腺嚢腫の原因については未だにわかっていない点が多く、原因不明のケースが少なくありません。現状でわかっている唾液腺嚢腫の主な原因は以下の通りです。

  • 遺伝的要因
  • 唾石
  • 外傷

遺伝についてはジャーマンシェパードやミニチュアプードル、ダックスフンドなどで発症率がやや高いと言われていますが、確かなことはわかっておりません。

次いで唾石についてですが、唾石とは唾液腺の内部や唾液管などに結石ができた状態になっていることを指し、それによって唾液管が閉塞してしまうことによって唾液腺に唾液がどんどん溜まっていき、唾液腺嚢腫を発症すると考えられています。また、閉塞した唾液管が破裂し、その部位に唾液が溜まって嚢腫を形成するケースもあります。

外傷によって唾液管が破裂して唾液腺嚢腫を引き起こすこともあると言われています。唾液腺嚢腫は突発的に発症する可能性があるので、特に犬の首に負担がかからないように注意してあげてください。

犬の唾液腺嚢腫の症状

唾液は複数の唾液腺で作られており、唾液腺嚢腫が形成されている部位によってその名称が変わります。その名称については以下の通りです。

  • 頸部粘液嚢腫:顎の下から首の上の部分に嚢腫ができている状態
  • 咽頭粘液嚢腫:口の奥に嚢腫ができている状態
  • 舌下粘液嚢腫:舌の下に嚢腫ができている状態
  • 頬骨粘液嚢腫:眼球の真下の部分に嚢腫ができている状態
  • 耳下腺粘液嚢腫:エラの部分に嚢腫ができている状態
  • 複合粘液嚢腫:複数の唾液腺に同時に嚢腫ができている状態

犬が唾液腺嚢腫を発症していると、人の目でも容易に確認できるほどに大きな袋状の膨らみが犬の口の周辺に発生します。またそれに伴って患部に炎症が起こっているときには痛みが出ることもあります。

 

犬の唾液腺嚢腫の対策

犬の唾液腺嚢腫の原因には未だに解明されていない点が多く、完全に予防する対策を取ることは難しいと言わざるを得ません。ただ中には予防できるものもあるので、それについては気を付けてあげると良いでしょう。

犬の唾液腺嚢腫の原因の中で予防できるものは外傷です。犬が頭を壁などにぶつけたりして頭部の周辺に外傷を追わないよう、犬の生活環境の中にあるリスクをあらかじめ取り除いておきましょう。特に首に負担がかかると唾液腺嚢腫を発症する可能性が高まると言われているので、散歩中に首輪をリードで引っ張るという行為は唾液腺嚢腫を発症させるリスクを高めてしまいます。そのため、犬の首を強く引っ張り過ぎないように配慮してあげてください。

犬の唾液腺嚢腫の治療

犬が唾液腺嚢腫を発症しているときには、溜まってしまった唾液を注射器などで抜いたとしてもすぐに再発してしまうことが多いので、場合によっては外科手術によって唾液腺を取り除くことがあります。

唾液腺は複数あるので、ひとつ取ったとしても他の唾液腺がそれを少しずつ補ってくれるので問題ないと言われています。また唾液腺嚢腫によって炎症を引き起こしている場合には抗生物質や抗菌薬を投与して炎症を抑えます。

まとめ

犬の唾液腺嚢腫の原因や症状、対策についてご紹介しました。

犬の唾液腺嚢腫は突発的に原因不明で発症する可能性がある病気です。もし犬の口の周辺部分に袋状の膨らみが見られた時には唾液腺嚢腫の可能性を考え、獣医さんの診察を受けさせてあげてください。

犬の唾液腺嚢腫は未だにわかっていない点が多く、予防することが難しい病気のひとつですが、首に負担をかけないようにするなどの予防方法で発症リスクを低下させることができます。少しでもリスクを軽減させるために配慮してあげてください。

 
 

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