2016年11月15日更新

【獣医師監修】猫の副甲状腺機能低下症〜原因・症状と対策

ペット生活

ペット生活

編集部

犬や猫との暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

 

最近、人間の病気で副甲状腺に関係した病名をよく耳にすることがありますが、猫でもこの副甲状腺が関係した病気を発症することをご存知でしょうか。その中でも副甲状腺ホルモンの分泌量が低下することでさまざまな障害が起こり、低カルシウム血症や高リン血症などになってしまう病気が副甲状腺機能低下症です。副甲状腺がどういうものなのかについても詳しく勉強しながら、副甲状腺機能低下症についても詳しく見ていきましょう。

 

猫の副甲状腺機能低下症の原因

副甲状腺はのどのあたりに位置する器官で、そこから副甲状腺ホルモンと言われるホルモンを分泌しています。副甲状腺ホルモンは血液中のカルシウム濃度を増加させる働きを持ち、骨、腸、腎臓などに作用するようになっています。この副甲状腺ホルモンの作用が低下してしまうと、血中のカルシウム濃度が低下してしまい、体の様々な器官に影響を与えるようになります。

副甲状腺ホルモンの分泌減少によるもの

副甲状腺ホルモンの分泌自体が減ってしまうことで副甲状腺ホルモン低下症を引き起こしてしまいます。主な要因には外傷や炎症、腫瘍などによる副甲状腺の変性や、甲状腺の手術などで副甲状腺組織を摘出してしまうことが考えられます。

骨や腎臓などの異常によるもの

副甲状腺ホルモンの分泌に異常がない場合でもホルモンが作用する骨や腎臓などに異常があると副甲状腺機能低下症を発症してしまうことがあります。副甲状腺ホルモンを受け取る骨や腎臓などに問題がある場合を偽性副甲状腺機能低下症と呼びます。

特発性によるもの

特にこれといった原因が見当たらない場合には特発性の副甲状腺機能低下症と診断されます。

遺伝的要因によるもの

詳しくはまだ研究途中ですが、遺伝的要因によって副甲状腺ホルモンもしくは、受け取る側の骨や腎臓に異常があるため副甲状腺機能低下症を発症すると考えられています。

猫の副甲状腺機能低下症の症状

副甲状腺機能低下症は血中のカルシウム濃度が低下することで体に異変が現れるようになる病気です。特に副甲状腺は神経や筋肉に作用し、また骨や腎臓にも影響を与えるためさまざまな症状が見られるようになります。

初期の症状

副甲状腺ホルモンの低下により、初期の段階では体力の低下や食欲の減退などが現れるようになります。徐々に悪化してくると、神経に影響が出るようになり神経過敏で気性が荒くなったり、情緒不安定になったりします。さらにフラフラ歩くようになり、落ち着きがなくなってきます。

進行状態の症状

症状が悪化してくると痛みを伴う痙攣や、足のこわばり、体のしびれなどが現れるようになります。発作を起こしやすくなり、骨密度の低下や筋肉委縮などが見られるようになります。場合によっては白内障や皮膚病などを併発することもあります。

遺伝的副甲状腺機能低下症の場合の症状

遺伝的に副甲状腺機能低下症を発症している場合は、通常の猫よりも成長が遅かったり、体調が小柄で肥満だったりすることもあります。また骨の形成がうまくいかないため骨折などをしやすい傾向にあります。

 

猫の副甲状腺機能低下症の対策

猫の副甲状腺機能低下症の治療には不足している栄養素を補うことが何よりも重要です。基本的にカルシウム濃度の低下が主な原因となっているので、カルシウム濃度をあげる治療が行われます。

緊急治療

症状が深刻な場合には輸液によりグルコン酸カルシウム溶液や塩化カルシウム溶液を補給していきます。痙攣などを伴う場合や、一時的な治療法として効果があります。

長期治療

猫の副甲状腺機能低下症の治療は基本的には長期に渡る治療になります。副甲状腺機能が回復しなければ一生涯の治療が必要です。長期治療ではカルシウム剤やカルシウム生成に必要なビタミンDの補給を行います。カルシウム補給の治療を行う場合には高カルシウム血症や低カルシウム血症を引き起こさないように定期的に検診を行うことが必要です。

基礎疾患の治療

何らかの疾患が要因となって副甲状腺機能低下症を発症している場合には、病気の治療を行いながら副甲状腺機能低下症の治療も行っていきます。

予防

猫は体の中でカルシウムの吸収に必要なビタミンDを生成できません。そのためバランスの良い食餌でビタミンDを補給することが非常に重要です。また合わせて日光浴を行うこともビタミンDの生成には必要なのできちんと行うようにしましょう。

まとめ

猫の副甲状腺機能低下症はそれほど頻発する病気ではありませんが、一度発症してしまうと基本的には長期に渡って付き合っていくことが必要な病気です。甲状腺の病気は体力を非常に奪うものが多く、少しの運動でも体に無理がたたることもあります。小さな病院ではすぐに対応できないこともあります。なかなか難しい病気なので普段から愛猫の様子を見ながら、しっかりと栄養バランスの良い食事を与えるように心がけましょう。

 
 

関連カテゴリ