2016年11月2日更新

【獣医師監修】猫の精巣腫瘍〜原因・症状と対策

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編集部

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オスの猫だけが発症する病気に精巣腫瘍という病気があります。猫が発症することはほとんどないとされている病気ですが、ブリーディングを考えている猫の場合子供ができなくなったりすることもあります。去勢手術をしていない猫であれば発症する可能性は高く、また遺伝してしまう可能性もあるので、早期発見・早期治療を行うためにも精巣腫瘍についてしっかり勉強しておくようにしましょう。

 

猫の精巣腫瘍の原因

猫の精巣腫瘍はオス猫の生殖器である精巣に腫瘍が発生してしまう病気のことです。精巣の中には精細管と言われる細い管がありその管の中にさまざまな精子形成にかかわる細胞が存在しています。その中の細胞のどれかが腫瘍化することによって発生するのが精巣腫瘍だといわれています。なぜ細胞が腫瘍化してしまうのかの原因はまだわかっていませんが、停留精巣や精巣発育不全などが要因となって発生すると考えられています。

停留精巣

停留精巣は精巣が陰嚢内に正常に降りてきていないことです。潜在精巣や睾丸停滞と言われることがありますが、本来胎児のときに腎臓の後ろにある精巣は出産に向けてどんどん陰嚢の中へと移動するようになっています。しかし、何らかの異常があることでこの精巣の移動が行われなくなり、途中で止まってしまいます。それがその後腫瘍化してしまうようになります。

精巣発育不全

精巣発育不全は精巣機能不全と言われることもありますが、精巣は通常神経系の上位中枢から分泌される性腺刺激ホルモンの刺激を受けて男性ホルモンを分泌します。男性ホルモンは精子形成を促進させるほか、陰茎、精巣上体、精管、精嚢、前立腺などの性器系の発育を促す働きがあります。しかし精巣が障害されたり、間脳、視床下部、下垂体などに障害が起こったりすることで精巣の機能に異常をきたし、精巣が十分に育たなくなることがあります。

猫の精巣腫瘍の症状

猫の精巣腫瘍は去勢を行っていない中高年の猫で発生しやすい病気です。無症状で、熱や痛みがなく、睾丸を触った際に左右の大きさが違うことで発見される場合が多くあります。またホルモンの分泌に影響を与えるため、女性ホルモンと男性ホルモンのバランスが崩れ雌化してしまうこともあります。

雌化

女性ホルモンの分泌量が増えることでオス猫の雌化が見られるようになります。オス猫にもかかわらず、乳腺がはってきたり、他のオス猫が雌猫に寄ってくるようなそぶりで寄ってきたりすることもあります。また脱毛や前立腺が少し腫れたりすることもあります。

飼い主がわかる症状

片方の精巣が腫れあがることで触った際に左右の大きさが違っていたり、ごつごつしていたり、固くなっていたりすることで飼い主が気付くことができます。両方が腫れることはごくまれで2センチ程度腫れているのがわかります。

進行状態の症状

飼い主がなかなか症状に気づかず、どんどん進行すると、お腹が膨らんでくるようになり咳が出たりすることもあります。腫瘍が悪性の場合には命を落としてしまうこともあるので注意が必要です。

 

猫の精巣腫瘍の対策

精巣腫瘍が見つかった場合には基本的には外科手術が行われます。悪性でない場合でも他の臓器に影響を及ぼしたり、悪性化したりすることも考えられるので基本的には摘出手術を行います。しかし、高齢の場合や若齢の場合には体力がないことも考えられるので保存療法を行いながら投薬治療が行われることもあります。

外科手術

腫瘍化した精巣そのものを取り除く手術を行います。陰嚢内だけで腫瘍化が起こっている場合にはそれほど大掛かりな手術ではありませんが、鼠蹊部や腹腔内にまで広がっているような場合には手術が難しくなることもあります。

投薬療法

腫瘍が悪性であるにもかかわらず、猫に体力がなく手術が行えない場合には抗ガン剤などを使った治療が行われます。治療は長期間に渡り、完治しないことも多く、猫にはつらい時間になることもあります。

性腺刺激ホルモン療法

ほとんど行われることはありませんが、性腺を刺激することで停滞している精巣を強引に降下させ陰嚢内に入れる治療を行います。この治療が行えるのは基本的に生後4か月未満の猫に限っているので、高齢の猫には効果のない治療法です。また、あくまで精巣腫瘍の予防的な対処であり、すでに腫瘍化してしまっているケースには意味がありません。

予防

繁殖予定のない猫は去勢手術を行っておくことで精巣腫瘍の発生がほとんどなくなります。また去勢手術を行うことでホルモンの分泌自体が減るのでそのほかの病気の予防にも効果的です。

まとめ

猫の精巣腫瘍は本当に珍しい病気ですが、発生原因がまだほとんど解明されていないため、すべての猫で発生する可能性がある病気です。先天的な要因で発症してしまうものに関しては遺伝も関係していると考えられており、親猫が精巣腫瘍を発生している場合では子猫も発生しやすくなりますが、親猫がどういう猫だったかをなかなか知ることが難しいので猫を飼う際にどのくらいの発生リスクがあるのかを私たちは知ることができません。去勢をさせないのであれば普段からスキンシップなどをはかり、愛猫の異変に気付いた際には早急に獣医師に相談するようにしましょう。

 
 

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