2016年12月16日更新

【獣医師監修】猫の門脈体循環シャント〜原因・症状と対策

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編集部

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猫の門脈体循環シャントと言われる病気をご存知でしょうか。猫では発症することはそれほど多くありませんが発症してしまうと大掛かりな手術が必要となることもあり、さまざまな合併症を引き起こしてしまうこともある危険な病気です。あまり聞きなれない病気なのでどういった病気かわからないという人も多いかもしれませんが、万が一愛猫が門脈体循環シャントを発症してしまった際にすぐに対応できるように詳しくご紹介しましょう。

 

猫の門脈体循環シャントの原因

門脈とは腸と肝臓をつなぐ血管であり、腸から吸収した栄養分やアンモニアなどの有害物質を肝臓に運ぶ役割をになっています。さまざまなものが含まれている血液が肝臓に送られることで解毒が行われ全身にきれいな血液が送られます。門脈体循環シャントでは、何らかの原因で門脈から枝分かれした、全身循環につながる異常な血管、門脈シャントと言われるものができてしまう病気です。この病気ではシャント血管を流れる有害物質を含んだ血液が全身に送られてしまいます。

先天性のもの

門脈体循環シャントはその多くが生まれ持った血管奇形の先天的な病気だと考えられています。猫の場合、左の胃から大静脈へのシャントと門脈から大静脈へのシャントができやすいと多く報告されています。先天性の場合は1歳未満で発症することが多い傾向にあります。なぜ血管奇形ができてしまうのかの原因は解明されていませんが、染色体異常の一種ではないかと考えられています。

後天性のもの

門脈体循環シャントが後天的にできる原因には、何らかの理由で肝臓に異常が起きた結果、異常な血管が新しく作られてしまうことがあります。特に胃腸と肝臓をつないでいる門脈での異常な血圧の上昇が原因で異常血管ができてしまいます。肝臓に異常をきたす主な原因には、慢性肝炎や胆管閉塞、肝繊維症、肝硬変、胆管肝炎、門脈閉鎖、門脈弁の欠如などが考えられます。

猫の門脈体循環シャントの症状

門脈体循環シャントは本来きれいにろ過されて巡るはずの血液が、ないはずの血管ができてしまうことでろ過を行う肝臓を通ることなく、悪い血液が体中へ廻ってしまう病気です。特に体にとって有毒なアンモニアが血液中に存在するようになるので、高アンモニア血症に陥ってしまいます。猫によっては無症状な場合もありますが、血液中に含まれる栄養素がうまく体に廻らなくなり、発育不全や低血糖、尿路結石などさまざまな病気や弊害を招くようになります。

初期の症状

初期の段階では、食欲不振や嘔吐、震えやふらつきなどが見られます。体の様々なところで不調がみられるようになり、狂暴化することもあれば徘徊してしまうこともあります。よだれの量が増え、肝臓を通して膀胱に尿がたまらなくなるので尿の1回量が減ってしまいます。

進行状態の症状

症状がどんどん悪化してくると、血尿などの症状が見られるようになり尿結石になってしまったり、尿酸アンモニウム血症や腹水が起こることもあります。低血糖に陥りやすくなり、アンモニア濃度が上昇するため発作を引き起こし、肝性脳症や肝硬変に発展することもあります。

 

猫の門脈体循環シャントの対策

猫に門脈体循環シャントが見られた場合、血液検査やレントゲン検査、超音波、尿検査など複数の検査を行った後に状態を把握してから治療を行っていきます。治療は基本的には外科手術が行われますが、体力がない、手術が行えないなどの場合によっては症状の悪化を防ぐ目的の内科療法だけが行われることもあります。

外科手術

門脈体循環シャントの治療では外科手術によって異常な血管をふさぐ治療を行っていきます。手術はシャント血管がどこにできているかによって難しさが変わってきます。肝臓内の血管が未発達な場合では異常な血管を閉鎖してしまうことで門脈高血圧症を引き起こしてしまい死亡してしまうこともあります。そのため猫の体力や肝臓内の血管の発達具合をチェックしながら複数回に分けて手術を行うこともあります。

内科療法

点滴や薬剤投与により、アンモニアの発生を抑えたりアンモニアを除去する治療を行っていきます。

基礎疾患治療

門脈体循環シャントの発生原因となる疾患が存在する場合は、門脈体循環シャントの治療と並行して原因となっている疾患の治療を行っていきます。また門脈体循環シャントが原因で発症してしまった症状に対してその場その場で治療を行っていくこともあります。

食事療法

食事療法を行いながらアンモニアの発生量をコントロールします。

まとめ

猫の門脈体循環シャントは異常な血管ができてしまうことで、本来ではありえないような危険な状態に体が侵されていってしまう病気です。猫では発症率が低いとはいえ、全く発症しない病気ではありません。また手術もどこに異常な血管ができるかによって難易度が変わってくるほど難しいもので、小さな動物病院では手術できないこともあります。愛猫が門脈体循環を起こすこともあるので、早期発見・早期治療が行えるように普段から病気のサインは見逃さないように愛猫をしっかり観察しましょう。

 
 

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