2016年12月2日更新

【獣医師監修】【鼻の症状】猫の鼻血が出ている時に考えられる病気

ペット生活

ペット生活

編集部

ペットとの暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

 

あまり頻繁に起こることではありませんが、猫も鼻血を出すことがあります。何かにぶつかったり、くしゃみを立て続けにしたりしたことが原因の場合もありますが、何らかの深刻な病気が潜んでいる可能性も考えられます。さらに原因は鼻だけにとどまらず、歯の病気や感染症、血液の異常によっても鼻血が出ます。

では、どのような病気が原因になるのでしょうか。猫が鼻血を出している時に考えられる病気を10種類取り上げます。

 

猫が鼻血を出す原因

猫が鼻血を出す原因は様々です。壁などにぶつかったり、異物が鼻に入ってくしゃみをしたりした時に、鼻の粘膜の毛細血管が切れて出血することがあります。また、何らかの病気が関係している場合もあります。

例えば、次のような病気が原因となって鼻血を出すことがあります。

  • 鼻の炎症
  • 鼻の腫瘍
  • 鼻咽頭にできたポリープ
  • 歯の病気
  • 感染症
  • 血液の病気
  • 高血圧

何かにぶつかるなど物理的刺激による鼻血なら、出血はじきに止まります。ただ、他の病気が原因で鼻血が出ている場合、血が止まりにくかったり、大量に出たりすることがあります。

では、具体的にどのような病気が猫の鼻血の原因になっているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

猫の鼻血が出ている時に考えられる病気

鼻炎

猫の鼻炎は、鼻の粘膜に炎症が起こる病気です。炎症のきっかけは、猫ヘルペスウイルスや猫カリシウイルスなどによる猫風邪、真菌(カビ)の一種に感染して起こるクリプトコッカス症、花粉やダニ、タバコなどに対するアレルギー反応など、様々です。

猫が鼻炎を発症すると、くしゃみや鼻汁が出たり、口で苦しそうに呼吸をしたりする他、長引くと鼻血を出すこともあります。さらに慢性化させると、副鼻腔炎を起こすこともあります。

副鼻腔炎

猫の副鼻腔炎は、鼻炎の炎症が鼻の奥にある副鼻腔という空洞に広がることで起こります。発症すると、くしゃみ、ドロリとした鼻汁、鼻血が見られます。鼻が詰まるので苦しそうに口呼吸をしたり、鼻の周りが腫れてきたりすることもあります。同時に食欲や元気もなくなっていきます。

副鼻腔炎が悪化すると、炎症によって膿がたまり、蓄膿症になることもあります。

鼻腔内腫瘍

鼻血は鼻腔や副鼻腔に腫瘍ができることでも出ます。鼻腔や副鼻腔にできた腫瘍は悪性であることが多く、猫の場合、腺がんやリンパ腫がよく見られます。また、高齢猫になると発症のリスクが高まります。

鼻腔内腫瘍ができると、くしゃみや鼻汁、鼻血が出る、元気や食欲がなくなる、苦しげに呼吸をするといった症状が見られます。進行すると、腫瘍が鼻腔内などの骨を溶かして顔が変形します。

鼻咽頭ポリープ

猫の鼻咽頭ポリープは、中耳の鼓室や耳管にできる良性の腫瘍です。ポリープは外耳道や鼻咽頭に向かって成長し、鼻咽頭の方に大きくなると、呼吸がしづらくなったり、咳やくしゃみ、鼻汁、鼻血が出たりします。

口鼻瘻管

鼻と口は薄い骨を境にしてつながっているため、鼻は歯の病気の影響も受けやすい状況にあります。歯周病などの歯の病気を放置していると、鼻と口の間の骨が溶け、穴が開いてつながってしまう口鼻瘻管を発症することがあります。

口鼻瘻管になると、食事中に口の中の食べ物が開いた穴から鼻に入り込むため、よくくしゃみをするようになります。また、鼻汁や鼻血も見られます。

クリプトコッカス症

猫のクリプトコッカス症は、クリプトコッカスという真菌の一種に感染して起こる真菌感染症です。自然の中に広く存在するクリプトコッカスを吸い込むことで感染します。ただし、通常の免疫力があれば問題はなく、猫エイズ(猫免疫不全ウイルス感染症)や猫白血病ウイルス感染症といった、免疫力が低下する病気を発症している時に感染・発症しやすくなります。

クリプトコッカスに感染すると、鼻炎を起こし、くしゃみやドロリとした鼻汁、鼻血が出ます。いびき、呼吸が荒くなるなどの呼吸器症状も現れます。また、鼻の周辺がぼこっと大きく腫れあがったり、元気や食欲がなくなったりする他、ブドウ膜炎などの眼疾患、痙攣などの神経症状が現れることもあります。

猫白血病ウイルス感染症

猫白血病ウイルス感染症は、猫白血病ウイルス(FeLV)に感染することで起こるウイルス感染症です。猫白血病ウイルスには、猫同士のケンカや食器の共用、母子感染など、様々なシーンで感染する可能性があります。

猫白血病ウイルスは血液を作る骨髄内で異常に増殖し、赤血球、白血球、血小板といった血液細胞が作られる数に悪影響を与えることがあります。血小板には出血部位に集合して血を止める働きがあるため、血小板が減少すると、ちょっとした衝撃で内出血が起きたり、血が止まりにくくなったりし、鼻血が出ることもあります。

血小板減少症

猫の血小板減少症は、骨髄で作られる血小板が減少して血が止まりにくくなる病気です。免疫が誤って自分の体の血小板を攻撃したり、他の病気で過剰に消費したりして減少します。また、猫白血病ウイルス感染症などの病気が原因で、骨髄で作られる量自体が減ることもあります。

血小板が減少することで血が止まりにくくなり、出血しやすくなります。症状が進んで血小板がさらに減ると、口腔内や目、鼻から出血したり、血便や血尿が出たりします。

多発性骨髄腫

猫の多発性骨髄腫は、骨髄で作られる白血球の一種で、免疫に関係している「形質細胞」ががん化する病気です。がん化した形質細胞は異常に増殖して全身の骨や臓器を侵し、免疫力を低下させたり、骨をもろくしたりします。

また、形質細胞が増殖することで他の血液細胞(赤血球、白血球、血小板)が作られにくくなり、貧血や鼻血が起きます。その他、足のふらつきが見られたり、元気や食欲が低下したり、骨折が起きることもあります。

猫の多発性骨髄腫はあまり見られませんが、高齢になると発症することがあります。

高血圧症

血圧とは、心臓から送り出された血液が、血管の壁を押す力のことを指します。体を動かすと血圧は上がり、安静時には下がります。高血圧症になると、安静時でも血圧が高くなって、血管に負荷がかかり、次第に心臓の血液を送り出す力が弱っていきます(心不全)。初期に目立った症状がなく、静かに状態が悪化していきます。

猫が高血圧症を発症すると、目や中枢神経、腎臓、心臓に悪影響が出ます。鼻の血管が傷んで鼻血が出ることもあります。

なお、高血圧症は、慢性腎不全などの他の病気がきっかけとなって起こることが多い病気です。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?猫の鼻血は、鼻血とセットで出る症状がくしゃみや鼻汁といったありふれたものであることから、見過ごされたり軽視されたりすることもあります。しかし、鼻血の影には重大な病気が潜んでいる場合もあり、油断はできません。鼻血が出て、すぐ止まらなかったり、出血量が多かったり、繰り返し出したりすれば、猫を動物病院に連れて行ったほうがいいでしょう。