2016年7月7日更新

【獣医師監修】犬の免疫介在性関節炎〜原因・症状と対策

犬特有の病気で、免疫介在性関節炎という病気をご存知でしょうか。免疫介在関節炎は、通常体を守る働きを持つ免疫系が何らか原因により体の中にある関節を異物だとみなし攻撃してしまうことで発症する炎症のことです。免疫介在関節炎という言い方は犬特有のものですが、人間でいうところの関節リウマチや慢性関節リウマチのようなものです。完治が難しくその痛みにずっと耐え続けていかなくてはいけないとても苦しい病気の免疫介在性関節炎がどういったものなのか詳しくご紹介しましょう。

犬の免疫介在性関節炎の原因

犬の免疫介在性関節炎は、簡単に言うと免疫系の異常により体の中にある関節を異物だとみなし攻撃してしまうことで起こる炎症のことです。免疫系は通常、体の中に異物が入ってきた場合に、その異物を撃退するための抗体を作り、異物を排除するよう働きます。関節にはこの抗体が侵入してこないように関門があり簡単には入ってこれないようになっていますが、何らかの原因でこの関門が働かなくなり抗体が関節に侵入することで炎症を発症してしまいます。その際関節の表面を覆っている軟骨や組織が破壊され関節にびらんが生じたものを「びらん性関節炎」といい、ひらんが生じていないものを「非びらん性関節炎」と言います。

びらん性関節炎の原因

びらん性関節炎の原因は多くの場合が原因不明のものです。生後8か月から中高齢までの間で発生する可能性があり、特に小型犬のチワワトイプードル、ミニチュアピンシャー、ヨークシャーテリアマルチーズパピヨンシーズーポメラニアンなどの犬種で発症しやすいといわれています、遺伝性の可能性も非常に高く、現在まだ研究が進められていますが、今のところ遺伝する可能性があると確認されているのはグレーハウンドのみです。

非びらん性関節炎

非びらん性の関節炎の原因は多くの場合で何らかの疾患が影響しているものだとされています。原因となり得る基礎疾患には全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、結節性多発性動脈炎、家族性アミロイドーシス、若年性多発性関節炎、リンパ球形質細胞性滑膜炎などがあります。

特発性非びらん性関節炎

特発性非びらん性関節炎はびらんが生じていない非びらん性の関節炎であるにもかかわらず、疾患などに誘発性でないものです。特発性非びらん性関節炎の多くは原因不明なものです。

犬の免疫介在性関節炎の症状

免疫介在性関節炎の主な症状は四肢に現れます。最初は関節の違和感や痛みの弱いものですが、徐々に腫れが見られるようになり、進行すると関節の骨が変形していきます。関節炎ときくと多くの人が関節にのみ症状が現れるように思いますが、免疫介在性関節炎の症状は関節だけに現れるのではなく、全身の倦怠感や発熱、食欲の低下などの症状ももたらすことがあります。また発症する年齢が若ければ若いほど症状の進行が早く関節の変形が起きやすい傾向にあります。

免疫介在性関節炎の主な特徴

免疫介在性関節炎の主な症状は6週間以上の長期に渡り、関節のこわばりや痛み、不快感などです。また腫れも6週間以上続く場合がほとんどで、最初の腫れが現れた関節以外でもさらに腫れが生じることがあります。結節と言われる直径1㎝以上の発疹のような隆起が皮下組織に現れたり、滑膜と言われる関節を包んで関節を滑らかに動かしている膜に異変が現れたりします。またリウマチの所見が現れることもあり、レントゲン検査で関節のびらん性変化を確認できます。

犬の免疫介在性関節炎の対策

犬の免疫介在性関節炎の根治的治療法は未だ見つかっておらず、投薬による対症療法や症状の悪化の防止を行います。また関節への負担を軽減させる目的で減量や食事制限、運動制限などを行うこともあります。

投薬による治療

関節での炎症や過剰な免疫反応を抑制するためにグルココルチコイドと言われるステロイド薬を使って症状を和らげます。この薬で症状を緩和でき、早くて2週間、遅くて4か月くらいで症状は改善されますが、再発する可能性もあります。また投薬を行いながら症状の悪化を防ぎ、免疫介在性関節炎の進行を遅らせていく治療を行います。ごくまれに薬の副作用でクッシング症候群を発症することがあるので獣医師によく相談することが必要です。

環境改善

関節で炎症が起こっているので、関節へかかる体重や生活のストレスは非常に愛犬を苦しめます。免疫介在性関節炎の場合、環境改善で劇的な変化は期待できませんが、関節にかかる負担を軽減させることは痛みを抑制する効果が期待できます。肥満気味の犬は減量し、体重をコントロールすること、関節に負担のかかる激しい運動は控え軽いウォーキングやプールでの運動に切り替えるなどの方法を取り入れていきます。また栄養バランスのいい食事を心がけることで関節のクッションとなるコラーゲンなどを補給できます。

まとめ

犬の免疫介在性関節炎は一度発症してしまうとなかなか治療が難しく一生愛犬に闘病生活を強いらなくてはいけない病気です。その発生のメカニズムも解明されていなければ、どうすれば予防できるのかもまだまだ分からないことが多く、なかなか防ぎようがありません。免疫介在性関節炎を発症しやすい犬種を飼っている場合は普段から気にかけ、異変があればすぐに獣医師に相談することで病気の早期発見・早期治療につながり、愛犬にかかる負担を軽減させてあげることができます。普段から愛犬とのスキンシップをとりながらしっかり様子を観察するようにしましょう。

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