2016年6月29日更新

【獣医師監修】犬のアジソン病〜原因・症状と対策

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犬のアジソン病という病気をご存知でしょうか。

アジソン病は腎臓の上の部分にある小さな器官、副腎で合成・分泌される副腎皮質ホルモンの分泌量が低下することで起こる病気です。副腎がどういう機能を果たしているのか、また副腎皮質ホルモンがどれほど重要なものなのか知らないという人も多いと思いますが、アジソン病は犬の命にかかわることもある危険な病気です。

今回はそんな副腎皮質ホルモンの分泌異常がもたらすアジソン病について詳しくご紹介しましょう。

 

犬のアジソン病の原因

アジソン病は副腎から分泌される副腎皮質ホルモンの分泌量が低下することで起こる病気です。

副腎皮質ホルモンは糖の代謝や体内でのタンパク質の利用、血液の電解質レベル、免疫反応、炎症の制御など幅広く働く重要なホルモンです。

アジソン病を引き起こす原因には副腎自体の異常によるものと何らかの影響で副腎がうまく機能しなくなるものとに分けることができます。

副腎自体の異常によるもの

副腎自体が何らかの異常をきたすことで副腎皮質ホルモンの分泌量が低下し、アジソン病を発症することがあります。主な原因には自己免疫疾患や感染症、出血、悪性腫瘍などによる副腎の破壊があります。

何らかの影響で副腎がうまく機能しなくなるもの

体のほかの部分で起こっている疾患などが副腎に影響を与えることによってホルモンの分泌量が低下してしまうことがあります。

主な原因には下垂体や視床下部の腫瘍や炎症、クッシング症候群の治療に用いる薬などがあります。また長期間に渡りステロイド剤を使用していた場合に、突然ステロイド剤の使用を中止することによってアジソン病を発症してしまうこともあります。

遺伝によるもの

ある一定の犬種にて発症率が高いことから遺伝的要因の関与も考えられています。

主な犬種にはグレートデーン、ロットワイラー、スタンダードプードル、ウェストハイランドホワイトテリアなどがあります。

犬のアジソン病の症状

アジソン病は急激に発症し進行が速く進む急性のものと、じわじわと発症しゆっくりと進行していく慢性のものと2つのタイプで症状が分かれます。どちらの場合も犬にとっては命取りになることも多く、非常に危険なものです。

急性の症状

アジソン病の急性の症状では急に元気がなくなり、体調が変化していきます。ふらつきや転倒などが増え、ショック状態に陥り気絶してしまうこともあります。急性の場合は急激なストレスを感じた時に発症しやすく、早急に対応しないと急死してしまうこともあります。

慢性の症状

アジソン病の慢性の症状では食欲が落ち、元気がなくなります。

嘔吐や下痢を繰り返し、脱水症状を起こし、体重が落ちていきます。何度も回復と悪化を繰り返すので、徐々に良くなっていると勘違いしてしまうこともあります。血糖値が下がり、身震いやふらつきなども見られるようになります。また水をたくさん飲んだり、尿の量が増えたりすることもあります。

慢性の症状を繰り返す中で副腎皮質がどんどん破壊されていき、激しい症状が現れた時には末期の状態になっていることもあります。

 

犬のアジソン病の対策

アジソン病は早期で発見、治療が行えれば完治することもありますが、ほとんどの場合で飼い主の発見が遅く、また急性の場合では気づいた時にはすでに重篤になっていることも多いので緊急治療や一生涯に渡る治療が必要になります。

急性の場合の治療

急性の場合、すでに病院に駆け付けた時には重篤な状態であることが多いです。

ショック状態を引き起こしている場合には一刻を争うこともあります。輸液やデキサメタゾンなどの薬を使いながら緊急治療を行います。緊急事態から回復した場合は、副腎皮質ホルモンの補充療法などを行っていきます。一生涯に渡る薬の投与が必要になります。

慢性の場合の治療

慢性の場合、不足している副腎皮質ホルモンの補充療法を行っていきます。

補充療法で副腎が回復し、副腎皮質ホルモンを生成できるようになれば薬は不要になりますが、基本的には一生涯に渡っての投薬が必要になります。

環境改善

ストレスがアジソン病の発症に影響をもたらしていると考えられているため、ストレスのない環境づくりを行います。またすでにアジソン病を発症している場合にもストレスを取り除いてあげることは治療の上でも重要です。

まとめ

アジソン病は急性化、慢性化によって症状の進行具合も違えば治療方法も異なってくる難しい病気です。ほとんどの場合で完治が難しく、早期発見も難しく、病院に駆け込んだ時には一刻を争うケースの多い病気でもあります。

それでも定期的に健康診断を受けることで体の異変を早く察知することができるようになり、効果的な治療も行えるようになります。愛犬の異変に気付いた場合には早急に獣医師に相談するようにしましょう。