2016年6月23日更新

【獣医師監修】犬の肛門周囲腺炎〜原因・症状と対策

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犬の病気の中でもあまり聞きなれない名前の病気に肛門周囲腺炎というものがあります。字を読んでみると肛門、つまりおしりの周囲で炎症が起こる病気だということがわかりますよね。

肛門周囲腺炎はおしりの周りにある肛門周囲腺と言われる皮脂を分泌する分泌腺で炎症が起こってしまう病気のことです。肛門は腸にもつながる大事な部分で、その周辺で炎症が起こってしまうとさまざまな病気を招いてしまうことがあります。

症状を悪化させないためにも肛門周囲腺炎がどういう病気なのか詳しくご紹介しましょう。

 

犬の肛門周囲腺炎の原因

肛門周囲腺炎は肛門の周りにある肛門周囲腺と言われる皮脂腺で炎症が起こってしまう病気です。肛門の周囲には肛門をぐるっと囲むように皮脂や汗を分泌する小さな分泌腺がいくつもあり、そこで菌が増えたり、毛穴に細菌が感染すると炎症が起きて肛門周囲腺炎に発展してしまいます。

しかし、なぜ菌が増殖し感染してしまうのかはまだまだ研究が行われている段階で不明な点も多くあります。そのため肛門周囲腺炎にはストレスや便秘、下痢、肥満、高齢なども何らかの形で関係していると考えられています。

不衛生によるもの

肛門周辺が不衛生になることで菌が繁殖しやすくなり肛門周囲腺炎が発症しやすくなります。

肛門筋の発達不足によるもの

肛門の筋肉が十分に発達してなかったり、肛門周辺の通気が悪くなったりすることで肛門周辺の炎症が起こりやすくなると考えられています。

遺伝によるもの

汗腺の一つであるアポクリン腺が特に肛門周辺で発達している犬種において遺伝的な形で肛門周囲腺炎が起こりやすいと考えられています。好発品種としてはジャーマンシェパードがあります。

犬の肛門周囲腺炎の症状

肛門の周囲で炎症が起こってしまうことは衛生的にあまりいいものではありません。そのため肛門周囲腺炎が引き金となってさまざまな病気を引き起こしてしまうこともあります。

肛門周囲腺炎の主な症状には、犬がおしりを気にしてしきりに舐めたり、床などに肛門部分をこすりつけたりといった行動が多く見られます。徐々に悪化してくると、おしりの周辺で炎症が起こり赤く腫れてしまったり、肛門周辺で悪臭がきつくなったりするようになります。また痛みが伴うため、便をしようといきむことで痛みが広がり泣きわめいたり、便そのものが出にくくなってしまうこともあります。

また肛門周囲腺炎が回復せず、悪化状態が続くと細菌感染がどんどん広がり、肛門の横に瘻管と呼ばれる穴が開いてしまう肛門周囲瘻を発症してしまったり、しこりができてしまい肛門周囲腺腫に発展してしまうこともあります。さらに肛門嚢と言われるマーキング用の臭い物質を分泌している袋にまで炎症が広がると肛門嚢炎を併発してしまうこともあります。

 

犬の肛門周囲腺炎の対策

肛門周囲腺炎は早い段階の治療であれば抗生物質の投薬で完治が期待できます。

しかし、肛門周囲瘻や肛門嚢炎を引き起こしているような場合には体内に侵入した菌を取り除くことが必要になるため手術が必要なこともあります。

薬による治療

細菌の繁殖を抑えるため、抗生物質などの投与により治療を行っていきます。症状が軽い場合では抗生物質だけで劇的に症状が改善されます。

外科手術による治療

炎症がかなりひどく、肛門周囲瘻や肛門嚢炎を引き起こしているような場合や、肛門部がひどくただれてしまっているような場合には外科手術により炎症部ごと菌を取り除く治療が施されます。

対症療法

排便が困難になっている場合には浣腸などを施し排便を促します。また栄養不足により免疫力が落ちてしまっている場合には食事療法を取り入れ、免疫力の底上げを図ります。

予防

肛門周囲腺炎は菌が招く炎症です。そのため愛犬の周りを清潔に保つことが何よりも重要です。

肛門部分が汚れていないかこまめにチェックし、おしり周りを清潔に保つとともに、肛門腺が詰まっていると炎症が起こりやすくなるので定期的に肛門腺絞りも行うようにしましょう。

まとめ

犬の肛門周囲腺炎は直腸に直結している肛門部で起こる炎症で、菌がどんどん広がっていくことでさまざまな病気を招いてしまう危険のある病気です。肛門周囲腺炎自体が愛犬の命にかかわることはなくても、腫瘍や瘻管にまで発展してしまった場合には愛犬の寿命を縮めてしまう恐れもあります。肛門部分は非常にデリケートな部分なので普段から排便後にはおしりを拭く習慣をつけ、異変があればすぐに獣医師に相談するように心がけましょう。