2016年6月8日更新

【獣医師監修】犬の天疱瘡〜原因・症状と対策

犬の皮膚病、アレルギー疾患の一種で天疱瘡と言われる病気をご存知でしょうか。

天疱瘡は本来なら体を守るために外敵に対して体内で戦うはずの免疫系に何らかの異常をきたすことで、犬の体自体が敵とみなされ、攻撃されてしまうことで発症する病気です。一度発症してしまう根治が難しく、一生付き合っていかなくてはいけない病気です。症状が悪化する前に病気を発見し治療が始められるよう詳しくご紹介しましょう。

犬の天疱瘡の原因

犬の天疱瘡は免疫系の異常により、体を守るどころか逆に体に攻撃を仕掛けてしまい体を構成する細胞を破壊してしまう病気のことを言います。天疱瘡で攻撃の対象として誤認されてしまうのは、細胞と細胞と結びつけている接着班、デスモソームと言われる部分だけです。

なぜ免疫系に異常をきたしてしまうのかは、先天性のものと後天性のもので原因が違うと考えられていますが、はっきりとした原因についてはまだ研究が続けられている途中です。それでも発症の引き金となっている原因はいくつかわかっているので防げるものについてはしっかりと対応するようにしましょう

遺伝によるもの

はっきりと解明されているわけではありませんが、何らかの遺伝要素がかかわっていると言われており、現在も研究が行われています。その理由として、好発品種の存在があります。

薬物によるもの

落葉性天疱瘡と言われる天疱瘡の一種は薬物投与などによって引き起こされるといわれています。病気の治療薬や慢性疾患との関係の中で薬により免疫系が誤反応してしまうことが要因です。

薬物による天疱瘡を引き起こしやすい犬種には、秋田犬、チャウチャウ、ニューファンドランド、ドーベルマン、ダックスフントなどがいます。

紫外線によるもの

紫外線による強いダメージにより、何らかの作用が働き、天疱瘡を引き起こすと考えられています。

犬の天疱瘡の症状

天疱瘡は免疫系が誤反応で自身の体を傷つけてしまうことで引き起こされる病気ですが、細胞と細胞をつなぐデスモソームと言われる部分が集中的に攻撃されることでさまざまな症状が現れるようになります。

細胞間をつないでいるデスモソームが破壊されることで、細胞同士が分離してしまったり、水泡や膿胞などが生じてしまい皮膚がボロボロになってしまいますが、最悪の場合には死に至ることもある危険な病気です。天疱瘡の症状は4つの部類に分けられ、それぞれによって特徴が異なってきます。

落葉状天疱瘡

皮膚の一番表層にある角化細胞を攻撃することで引き起こされるのが落葉状天疱瘡です。

特に4~5歳の犬で発症しやすく、鼻や目、唇、耳などの部位で赤いぶつぶつができたり、膿胞を引き起こしたりします。悪化してくると黄色から褐色のカサブタができるようになり、放置しておくとすぐに体全体に広がっていきます。

紅斑性天疱瘡

紅斑性天疱瘡は落葉状天疱瘡が頭部や顔面に現れるものです。

特にジャーマンシェパードやシェットランドシープドッグ、コリーなどに多い病気で、顔や耳などを中心に症状が現れます。最初は赤いぶつぶつですが、悪化してくると膿胞が破れてしまい、脱毛やびらんを引き起こし、色素自体がなくなってしまうこともあります。また極まれに肉球や生殖器にも症状が見られます。

尋常性天疱瘡

尋常性の天疱瘡は粘膜や皮膚の表層の扁平上皮が攻撃されることで起こる天疱瘡です。

口腔粘膜や、食道、肛門、鼠蹊部、爪など皮膚の薄い部分で発症し、皮膚の中でびらんや潰瘍を形成します。

増殖性天疱瘡

増殖性天疱瘡は水泡や膿胞がいぼ状の腫瘤に変わる特徴を持った疱瘡です。顔に主に症状が現れます。

犬の天疱瘡の対策

天疱瘡は一度発症すると根治がなかなか難しい特徴があります。

その理由は天疱瘡の発生原因自体がまだ解明されていないからです。基本的には投薬を行いながら療養生活を送るようになります。天疱瘡は根治しないことも多く、長期の治療が必要になります。

また患部に化膿やカサブタができることもあり、そこから細菌などの2次感染が起こる場合もあります。愛犬に長い間に渡り苦痛を強いるようになるので、根気よく病気と向かい合っていくようにしましょう。

投薬治療

皮膚の組織検査を行い、天疱瘡の種類を特定したうえで最も効果的な薬を使って治療を行っていきます。主に使用される薬にはグルココルチコイド製剤、漢方薬、ビタミン剤、免疫抑制剤、抗生物質などがあります。

1種類の薬で済むこともあれば複数の薬を飲まなくてはいけないこともあり、治療方法は獣医師の進める方針で行っていきます。基本的には薬は一生服用しなくてはなりません。

予防

紫外線が天疱瘡の発症に関係していると考えられているため、極度な紫外線を浴びないようにします。また天疱瘡を既に発症している場合でも、紫外線は避けたほうが愛犬への負担が少ないと考えられています。

まとめ

犬の天疱瘡はまだまだ解明されていない点も多く、難病だといっても過言ではない病気です。一度発症してしまうと一生付き合っていかなくてはいけないとても恐ろしい病気です。皮膚の病気とはいえ、愛犬の体力を著しく奪ってしまう病気で、場合によっては命にまでもかかわってきます。既に発症している場合でも症状をこれ以上悪化させないためにしっかり獣医師に相談しながら治療を続けていくようにしましょう。

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