2016年4月15日更新

【獣医師監修】愛犬や愛猫は飼い主さんのこと、きちんと覚えている?「犬や猫の記憶力」に迫ります!

毎日顔をあわせている家族のことや、日々の散歩コース、室内のトイレの配置や食事の場所など、日々の生活の中で愛犬や愛猫が「きちんと覚えている」と感じるものはいくつかあるでしょう。それでは、犬や猫が覚えられること、覚えるのが苦手なことには、どのようなものがあるのでしょうか?今回のテーマは、犬や猫の記憶力についてです。

記憶とは

記憶とは、脳に蓄積された様々な種類の情報のことを指します。私達は、それらの情報(記憶)を、必要に応じて取り出して利用しているのです。記憶は、脳に保持される期間によっておおまかに2つに分けられます。「短期記憶」「長期記憶」という言葉を耳にしたことのある人も多いでしょう。
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人の場合、「短期記憶」では、数十秒程度の短い時間だけ脳に情報を保持することができます。この「短期記憶」で記憶できる容量は多くはありません。電話番号などを一時的に記憶するような場合がこれにあたります。

一方、「短期記憶」からさらにいくつかの過程を経ることで、長期間の記憶が可能になります。この「長期記憶」では、非常にたくさんの量を記憶することができ、そう簡単には忘れません。言葉の意味や過去の出来事を覚えているのは、この「長期記憶」の働きによるものです。

犬の記憶力

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犬の記憶についての研究はいくつかありますが、まだまだわかっていないことがたくさんあります。一般的に、犬にもある程度の記憶力があるとされていますが、その記憶の仕組みやどの程度記憶が保たれるかについては諸説あり、はっきりとはわかっていません。

短期記憶

犬は短期記憶があまり得意ではないようです。人では数十秒程度と言われている短期記憶ですが、犬は数秒〜10秒程度前のことなら覚えていることが多いとされています。そのため、しつけで叱る必要のある時には、問題のある行動をとったその場で叱らなくては、犬は叱られていることと問題のある行動とを結びつけることができません。褒める場合も同じです。愛犬が良い事をしたら、後回しにせず、すぐに存分に褒めてあげましょう。

長期記憶

犬の長期記憶は、物事を関連づけることで記憶していると言われています。「『おすわり』をすると、褒められる」、「『お手』をすると、ご褒美をもらえる」、「飼い主がリードを用意すると、散歩に連れて行ってもらえる」といった良い記憶もあれば、「飼い主がコートを着ると、飼い主が外出してしまう」といった犬にとってあまり嬉しくない記憶もあるでしょう。

飼い主のことも、においや姿や声、世話をしてくれる人、といったように関連づけて記憶していると言われています。リーダー、食事の世話をしてくれる人、遊んでくれる人、などというように、愛犬が家族のメンバーそれぞれの役割を記憶していると感じている人も多いでしょう。実家を離れるなどして、1年以上会っていなかった家族のことをきちんと覚えていたということも少なくありません。

猫の記憶力

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実は、猫の記憶についてはあまり研究が進められておらず、よくわかっていません。一般的には、食事に関することや、危険な目にあったことなど、生命維持のための記憶は形成されやすいとされています。また、いやなことをされた記憶も残りやすく、注射をされたり、預けられたりしたあとで、動物病院が嫌いになってしまう猫も少なくありません。

一方で、楽しい記憶もきちんと残るようです。愛猫が大好きなおもちゃをあっという間に覚えてしまって、何度も催促される、という経験のある人もいるでしょう。

飼い主のこともしっかりと覚えているようです。入院中にさっぱり食事をとらずに隅っこにうずくまっていた猫が、面会に来た飼い主と一緒だと食事をとり、甘える仕草を見せるということはよくあることです。

こうした猫の記憶がどれくらいの期間保たれるものなのかは、よくわかっていません。少なくとも、犬と同様に短期記憶については得意ではないようです。褒める時や叱る時には、「すぐにその場で。」を忘れないようにしてくださいね。

楽しい記憶を重ねて、愛犬や愛猫との深い絆を築きましょう

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犬や猫の記憶については、まだまだ研究段階です。言葉を話せない犬や猫の記憶についての科学的な解明は、難しいところがあるのが実情でしょう。それでも、飼い主との楽しい経験を繰り返すことで、嬉しい記憶を重ねていくことはできるはずです。素敵な記憶を蓄積していくことで、愛犬や愛猫との絆をより深いものにしていってくださいね。

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