2016年5月16日更新

【動物法務のプロが解説】ペット不可の賃貸住宅で犬猫を飼育したらどうなる?

山口 一哉



(一社)どうぶつ法務福祉協会・代表理事(行政書士)

一般社団法人どうぶつ法務福祉協会・代表理事/行政書士横浜いずみ共同事務所・代表。(一社)ペットライフデザイン協会理事。幼少期に犬を飼っていたことと、捨て猫との暮らしをきっかけに、何か出来ることはないかと模索していたところ、「動物法務」の存在を知り、開業を決意。平成21年行政書士事務所開業、平成23年横浜市に移転。成年後見、遺言、人と動物に関する許認可等各種手続や書類作成の支援が主な業務。平成27年一般社団法人どうぶつ法務福祉協会設立、同代表理事に就任。1級愛玩動物飼養管理士、愛護動物虐待防止管理士、少額短期保険募集人の資格を保有。

 

ペットと暮らせる賃貸住宅は、入居者がペットと一緒に暮らしたいとのニーズもあり、増えてきてはいるものの、まだまだ十分な数があるとは言えません。またマンション、アパート等集合住宅では、賃貸借契約書等でペット飼育禁止を明記しているところが多いようです。

しかしながら、ペットを飼いたいという気持ちが抑えられず、隠れて飼い始めるという方も少なからずいらっしゃいます。ペットの中でも飼育頭数が突出している犬と猫。今回は、ペット不可の賃貸住宅で犬猫を飼育したらどうなる?について、集合住宅に絞って法的な問題点や対策などをご紹介しましょう。

 

ペット飼育禁止の特約はそもそも有効?

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賃貸人は賃借人に対して賃貸物件を使用収益させる義務、すなわち賃借人である居住者を平穏に居住させる義務があります。また、室内の汚損や破損などによる賃貸人の財産上の不利益を防止する必要があるなどの理由から、特約を設けてペット飼育を禁止することは、一応の合理性があると思われます。

犬や猫でいうと、飼っている居住者はともかく、他の居住者の平穏な生活を損なうかどうか問題になるのは、吠え声、鳴き声、臭いなどがあります。室内の破損や汚損として考えられるのが、爪とぎによる傷、また同様に臭いなどがあります。それぞれに糞尿による被害も考えられます。

これらは飼い主がきちんとコントロールできれば良いではないかと思われるかもしれませんが、全てを防ぐことは困難であり、その恐れがある以上は、やはりペット飼育禁止の特約は無効とまではいえないでしょう。

契約解除は?

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契約に違反しているのですから、賃貸人から賃貸借契約を解除されることが考えられます。それでは直ちに契約を解除できるのでしょうか?

これに関しては判例がいくつかあり、信頼関係破壊の法理として確立されています。ポイントは当事間の信頼関係を損なうほどの違反があったかどうかです。違反があったからといって直ちに契約を解除できるわではないのです。

ただし楽観視してはいけません。犬猫の場合は、糞尿、被毛、臭いなど衛生面の問題が顕著になったり、吠え声、鳴き声が他の居住者へ影響が出るような騒音となったりするなど問題が表面化すれば、一気に契約解除が認められやすくなるでしょう。

 

まとめ・賃借人と賃貸人の対応

賃借人の対応

飼い主さんもペットも不幸になることは避けなければなりません。やはりペット不可の賃貸住宅での飼育は避けるべきでしょう。しかし、そうはいってもすでに飼っている場合はどうしたら良いでしょうか?賃貸人との信頼関係を破綻させないような誠実な対応や適正な飼養管理を心がけるのはもちろんのこと、例えば、個別交渉により賃貸借契約の内容を変更してもらえる余地が全くないわけではないので、そのような申し入れをしてみるのも一つの手です。

賃貸人の対応

賃貸人としては、違反の事実やそれに対する改善要求などを積み重ね、証拠を残していくことです。ペット飼育を許可する場合は、賃貸借契約書にはペットに関して詳細にルール等を定め、他の賃借人や近隣からの苦情、建物の破損など、トラブルに素早く厳正に対処できるようにしておきましょう。

 
 

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