2016年12月10日更新

【獣医師監修】猫のおなかがふくれている時に考えられる病気

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編集部

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全身の体型はあまり変わっていないのに、猫のおなかが突然ふくれてくるのは、何か異常があるのかもしれません。単なる食べ過ぎなど一過性のものであれば、心配いりませんが、なかなかおなかがへこまないのであれば調べる必要があります。内臓に問題がある場合、命に関わる可能性もあります。ここでは、猫のおなかがふくれている時には、どんな病気が考えられるのかを見ていきましょう。

 

正常な猫の体型は?

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最近ではペットの太り過ぎについての情報も多く、猫の体型を気にする飼い主さんがほとんどでしょう。猫の正常時の体型を知ることで、病気の早期発見につながります。猫の種類によって、大型・小型と多少の差異はありますが、基本的に理想とされる体型は変わりません。上から見た時、背中を中心にして左右対称であることが大切です。いずれかに偏っていたり、でっぱりがある場合には腫瘍や骨の異常などが隠れているかもしれません。正常な猫は、肩の後とおしりの前あたり2か所がくびれたように見えます。横から見た場合には、前足と後ろ足の間はほぼ平行に見えます。前後の脚の大きな関節と同じくらいの高さか、やや上です。それよりも下だと肥満の傾向があります。また猫のおなかの皮がたるんでいるのは、異常ではありません。おなか周囲の皮下脂肪の状態、異常なしこりができていないか、などが問題になります。

猫のおなかがふくれている原因

猫のおなかがふくれている時の状態には、次のようなものが挙げられます。

  • 臓器が腫れている
  • 腹水や膿がたまっている
  • 腫瘍がある
  • ガスがたまっている
  • 食べ過ぎ・水分の摂り過ぎ
  • 肥満
  • 妊娠

体内の状態により、猫のおなかにさわった時の感触が違います。ある一部分が固く感じられる場合や、全体がパンパンに張った状態、スイカを叩いた時の様な振動があるなど、症状によっておなかの様子が異なっています。単なる肥満であれば、皮膚の下の皮下脂肪が厚くなっていて、身体全体も丸みを帯びます。幼猫は身体に対して胃袋が大きく、たくさんミルクを飲んだり、餌を食べるとおなかが大きくふくらみます。成猫でも食欲のコントロールができないと、食べ過ぎでパンパンになることがあります。消化不良でガスがたまっているだけであれば、おなかの調子が治るとともに張りもなくなります。恒常的におなかだけがふくれているのであれば、安易に判断せずに病院へ行って診察を受けましょう。

 

おなかがふくれている時に考えられる病気

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猫のおなかがふくらんでいる時には、思わぬ大きな病気であることも考えられます。おなかがふくらむ病気には、次のようなものがあります。

ネコウイルス性腹膜炎

感染性のウィルスによって引き起こされる病気です。腹水や胸水が貯まり、おなかが膨れて見えます。発熱・食欲不振といった症状があり、麻痺、呼吸困難となる場合もあります。重症化する傾向が多く、腎臓や肝臓の障害を併発します。急激に進行すると数日から数か月で死んでしまう猫もいます。ウィルスは感染した猫の唾液、糞尿、鼻汁に含まれているため、感染猫とのケンカやグルーミングによって感染します。

肝炎

肝炎が進行すると、肝臓が固くなり腫れあがる肝硬変を起こします。原因は、ウィルス・細菌、寄生虫、植物や薬物による中毒など多岐にわたります。初期症状はほとんどわからず、急激に悪化します。吐き気やおう吐、下痢をし、被毛がぱさついてきます。経過途中で腹水がたまることもあります。

胃拡張

食べ物やガスで胃が大きく拡張され、おなかがふくらみます。何らかの原因で胃がねじれる胃捻転が起こると、吐き気があっても吐くことができずによだれを垂らして苦しみます。他の臓器にも影響を及ぼし、大動脈を圧迫して死に至る場合もあります。胃捻転の原因には、事故や手術の後遺症の他に、食後すぐの運動をあげる説もあります。

腸閉塞

おなかが大きくふくらみ、便がほとんど出ないという場合には腸閉塞が疑われます。痛みがあるため、丸くなってさわられるのを嫌がります。腸内にたまった液体やガスが内臓を圧迫するため、元気がなくなります。ショック症状を起こして、急死することもあります。原因としては主に異物の飲み込みや、寄生虫感染があります。

肥満細胞腫

内臓型肥満細胞腫の場合、おなかにしこりがあったり、やせているのにおなかだけがふくらむ、などの症状が見られます。脾臓や肝臓、小腸に発生し、おう吐や下痢、食欲不振などの症状が現れます。皮膚型肥満細胞腫と比較して、悪性度が高く、他の臓器に転移して命を失う危険性があります。

子宮がん

粘度の低いおりものや、血の混じったおりものが長期に見られます。おう吐、下痢、便秘などをくり返し、次第におなかがふくらんできます。ふくらみの中にしこりが感じられる場合もあります。元気がなく、寝てばかりいるようになります。猫の子宮がんは発見が遅れがちになるため、わかった時にはすでに体の他の部位に転移していることが多いようです。

子宮蓄膿症

猫の体力や免疫力が低下している場合に、子宮に細菌が感染して炎症が起こる病気です。発熱や嘔吐、下痢、多飲多尿などの症状があらわれます。膿の排出でおしりが汚れる場合もあります。早期の避妊手術を行うことで、発症を回避することができます。

クッシング症候群

副腎皮質ホルモンの過剰分泌によって発症します。食欲の異常増進、多飲多尿がみられます。お腹がふくれる、皮膚がうすくなる、脱毛などの症状があらわれます。原因としては、脳下垂体の腫瘍の他、加齢やステロイド薬の長期投薬などが関連するといわれています。

おなかのふくらみは危険のサイン

おなかだけがふくらんでいるのは、健康への赤信号です。気づいたらすぐに動物病院に連れて行くことで、重症化を防げることもあります。日頃からスキンシップをしている飼い主さんであれば、おなかの張りやしこりの発見も可能です。もの言えぬ猫の代わりに、常に身体の状態を把握してあげてください。