2016年7月7日更新

【獣医師監修】猫の毛づやが悪い時に考えられる病気【被毛の症状】

猫の魅力はたくさんありますが、美しくなめらかな被毛もそのひとつでしょう。せっせと毛づくろいをする猫は、健康であれば良く整ってふんわりした毛並をもっています。パサパサと荒れた様子で、向きも一定でないときには、どこか悪いのかもしれません。

時には単なる表面上の問題ではなく、大きな病気が隠れていることもあります。猫の毛づやが悪い時には、どのような病気が考えられるのか見ていきましょう。

猫の毛には食べ物が反映される?


身体をしっかりと覆う被毛は、猫にとってとても大切なものです。食べ物から得たタンパク質の大部分が、毛の成長に使われます。猫の毛の生え方は、人間の毛とかなり違っています。主毛、または上毛と呼ばれる太くて長い毛にプラスして、副毛、または下毛と呼ばれる数本の毛がセットになっています。副毛には柔毛と剛毛があり、一個の毛穴には最大6本の主毛が生えるため、被毛の密度はかなり高くなります。体毛を形成しているのは、ケラチンと呼ばれるタンパク質。猫が必要とするタンパク質は、体重1kgに換算すると、人間の約5倍といわれます。そしてそのほとんどは、このたっぷりとした被毛の生え変わりに使われているというわけです。

猫の毛穴にも皮脂腺という皮脂を分泌する器官はありますが、柔らかな猫の毛全体には行き渡りません。猫の毛はあまり水をはじくことができず、濡れると体温が奪われてしまいます。水の苦手な猫が多いのはこのためです。

1年を通し、多少の抜け代わりはありますが、猫の換毛期は3月と11月頃から始まる年2回です。換毛に関わるのは、日照時間。日の長さにより、生え変わりの時期が決まります。そのため、室内飼いで人工的な光が多い環境下では、換毛期が不規則になることもあります。

猫の毛づやが悪くなる原因

猫の具合が悪くなると、普段念入りに行っている毛づくろいをしなくなります。くしの歯ようなザラザラの舌でほこりを払い、だ液と毛並を整える行為によって保たれていた被毛はつやが失われます。

人間と同じく全身の倦怠感があったり、吐き気や痛みがあると、猫も毛の手入れをするどころではなくなるようです。また、身体のホルモンバランスが崩れると、正しく被毛に栄養が行き渡らず、毛のつやがなくなります。皮膚炎をおこして、毛根自体が弱っていることも考えられます。

また、寄生虫などによって食べても栄養が摂取できない場合にも、タンパク質の不足で毛のパサつきが目立ってきます。同様に、胃腸の状態が良好でなかったり、腎臓にトラブルを抱えていることも考えられます。老化によって毛が弱ってきているために、それまでと比べてつやがなくなったように感じることも多いようです。

毛づやが悪い時に考えられる病気


まだそれほど高齢でもない猫の毛づやが、急に悪くなった場合には何らかの疾患がになっている可能性があります。猫の毛のつやが失われる際に考えられる病気には、次のようなものがあります。

慢性腎不全

猫は腎臓を悪くしがちです。特に青年期を過ぎると、どの猫でも腎臓病にかかるリスクが高くなります。慢性腎不全は、ウィルス感染や細菌症などさまざまな原因から腎臓の機能に障害がおき、引き起こされる病気です。初期症状は多飲多尿が見られ、腎臓の機能が次第に低下してきます。次第に、老廃物や余分なミネラル類を排出することができなくなり、尿毒症の症状が出てきます。毛づやがなくなり、毛が抜け落ちることもあります。おう吐や下痢、体重減少が見られ、重症化すると死に至ります。

甲状腺機能亢進症

甲状腺ホルモンの分泌異常がみられる病気です。興奮状態が続くため、一見元気に見えることもあります。食欲が旺盛なわりに、体重が減り続け、毛づやがなくなります。落ち着きがなく、攻撃性が増す場合があります。多飲多尿、おう吐、下痢の症状が見られます。原因がはっきりわかっていないため、青年期を過ぎたどの猫にも発症の可能性がある病気です。

慢性胃腸炎

長期に渡り、食欲不振、おう吐、下痢などが見られ、毛づやが悪くなります。ウィルスやその他の原因で急性胃腸炎を起こした後、回復が遅れて慢性化します。また毛玉が胃の中で排出されずに発症する毛球症や、寄生虫が原因となる場合もあります。

寄生虫

猫回虫という寄生虫がもっとも多く見られます。回虫に寄生されても特に劇症化することはありませんが、下痢をしやすく食べても太らないという特徴があります。栄養が吸収されないため、毛づやが悪くなります。子猫の場合には、発育不良となることもあります。

糸球体腎炎

腎臓にある糸球体という血液をろ過する装置に炎症が起こる病気です。発病すると、尿中のタンパク質が増加します。体力が衰え、毛づやが失われます。水を大量に飲むようになり、腹水やむくみが現れます。ウィルスや細菌の侵入によって引き起こされ、免疫系に異常が発生している状態です。

猫風邪

さまざまなウィルス・細菌によって、くしゃみ・発熱・咳などの症状が現れます。食欲不振、下痢、おう吐などが見られ、角膜炎や結膜炎を併発する場合もあります。元気がなくなり、栄養状態が悪化して毛づやが失われます。

つややかな猫の毛は元気の印

猫の毛に光沢が無い時には、何らかの不調のサインと考えられます。皮膚病などの外側の問題なのか、内臓疾患などの内側の問題なのか、原因をあきらかにして対処する必要があります。日頃から良く猫を観察し、スキンシップをしている飼い主さんほど、いち早く異変に気づいてあげられます。

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