2016年12月12日更新

【獣医師監修】【歩き方の変化】猫がふらふら歩く時に考えられる病気

ペット生活

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編集部

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猫の歩く姿にはどことなく優雅さがありますよね。全身の柔らかな筋肉の動きで、音もなくゆったりと歩きます。それが不自然に傾いていたり、ふらついていたら要注意です。どこかに痛みがあって足を上手に地面につくことができない、あるいは動作がうまくいかないのかもしれません。また、不調によって身体全体に力が入らないのかもしれません。ここでは猫がふらふら歩く時に起きていると思われる、身体の異常について見ていきましょう。

 

猫の正常時の歩行について

Beautiful Siamese kitten, isolated on white
足の裏全体をつけて歩行する人間から見ると、猫や犬は足の一部のみを地面につけている状態で歩行しています。これは指行性と呼ばれ、指だけを使って歩いている状態を指します。骨格から見ると猫の肉球のある部分は、実は「足の指」なのですね。狩猟生活のために機敏性を獲得してきた猫たちは、人間とは違う機構で歩行しています。
元気なときの猫はのんびりと歩いている時、体重の約60%を前足で支えています。体幹がぶれず、後ろ足で真っ直ぐに推進している感じです。人間でいう「爪先立ち」であってもしっかりと地面をとらえ、わざと転ばそうとしてもなかなか倒れないものです。良く筋肉の発達している猫の身体はゆったりと歩いている時でも、危険に備え瞬時に体勢を変えることができます。いきなり走り出したり、真上に飛び上がったりできるのも、しっかりと重心が捉えられているからこそです。

猫がふらふら歩く原因

猫の歩き方に異常がある場合、まず考えられるのは四肢のケガです。さっきまで元気だったのに…というときには、脱臼や骨折を疑いましょう。また、プラスチックやガラスのかけらなどでどこかキズついていることも考えられます。
足に傷が見られず全体がふらついている時には、神経性疾患の可能性があります。先天性の異常の場合でも、ある時期から急に症状が表面化することもあります。三半規管や小脳の異常でも、平衡感覚が失われます。ふらふらと同じ場所を回っているようなときには、脳の障害が原因である可能性も。また、ヘルニアや股関節の異常で、傷みがあったり安定できない場合もあります。
その他には、食べ物の中毒による貧血症状・白血病、猫風邪・感染症による体力低下、下痢・発熱などがふらつきの原因となります。外的な原因か、身体の内側からの症状なのかによって対処法が変わります。いずれにしても、ふらふらしているのに気づいたら、早期の受診が必要です。

 

ふらふら歩く時に考えられる病気

cat at veterinarian

中耳炎・内耳炎

耳の奥の組織である、中耳や内耳に炎症が起こる症状です。感染症・ウィルス、できものなどによって引き起こされます。蝸牛神経と前庭神経など周辺神経にも炎症が波及し、眼球のゆれ、身体の傾きやふらつきの症状が現れます。

白内障・網膜剥離

白内障は眼球内の水晶体が白く濁り、視力が低下します。遺伝や糖尿病、低カルシウム血症、ブドウ膜炎、毒物による中毒が原因となることがあります。網膜剥離は、眼球内の網膜がはがれ落ちる症状です。さまざまな眼病や糖尿病が原因とされます。いずれも、視力が低下するため歩行に異常が見られます。

副甲状腺機能低下症

副甲状腺機能低下症は、副甲状腺からのホルモン分泌量が低下しておこる症状です。主な原因としては、ケガ、何らかによる炎症、腫瘍、ストレスなどが挙げられます。落ち着きがなくそわそわした様子で、神経が過敏になり、ふらつきます。骨密度の低下がみられる場合もあります。

変形性関節症

体重超過の猫に多く見られる病気で、前足に負担がかかり関節に炎症が発生します。炎症をくり返すと、軟骨がすり減り、骨棘(こつきょく)と呼ばれる異常な骨の増殖が現れる場合があります。痛みがあり、前足がふらつきます。

肝性脳症

肝臓の機能が低下することで、アンモニアなどの有害な物質が血液中に残留し、脳に回って起きる病気です。体重減少や食欲不振のほか、身体のふらつき、おう吐が見られます。慢性肝炎をくり返すことによって、肝硬変・肝不全を引き起こし肝性脳症に至ります。

尿毒症

腎臓の機能の低下により尿に上手く毒素が排出されず、血液中の老廃物濃度が高くなって起こる病気です。腎機能の低下は、猫風邪や腫瘍によって引き起こされます。尿毒症になると、ひどい貧血状態となり歩くときにふらふらした様子が見られます。

小脳障害

運動神経を司る小脳に障害が発生した状態です。先天性の疾患であることが多く、また、子猫のときのウィルス感染によっても発症します。進行すると四肢の麻痺に至り、歩けなくなります。

熱中症

体内にたまった熱を放出できなくなった状態です。急激に悪化し、全身の機能不全に陥る場合もあります。もっとも多い原因としては夏場の室内や車内への放置によるもの。脱水症状を起こし心拍数が上がります。呼吸が荒くなり、劇症化して死に至ることもあります。

猫の歩く姿を観察しよう

猫がいつもと違う様子で歩いていても目線からかなり低いため、つい異常を見逃してしまうことがあります。発見が遅れたために、症状が進み治療が困難な状態となる場合もあります。一日に数回はじっくりと様子を観察する習慣をつけましょう。ふらふらしている時には、身体の軸を保てないほど具合が悪いということなのです。