2016年12月7日更新

【獣医師監修】【一部を気にする】猫が頭を振って気にする時に考えられる病気

猫が頭を振ると耳が当たってぱたぱたという音がします。それほどまでに高速で振っているということですが、何が気になっているのでしょうか。比較的日常的に見られる光景ではあるものの、あまりひんぱんに振っているようであれば、どこかに異常があるのかもしれません。ここでは猫がしきりに頭を振る場合に考えられる、状態や病気について調べていきます。

猫が脳震盪にならないわけ

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猫や犬といった動物たちは、ものすごい速さで頭を振りますよね。水に濡れた時は、身体も頭も激しく振って水滴を飛ばします。また耳の中に異物を感じたときも同様に、頭を激しく振ります。頭を振るときの速度は、体重3.5kgの猫で1秒間に9回だそうです。遠心力によって身体についた異物を振り落すためには、それほどの速度が必要ということなのでしょう。
もしも、同じことを人間が行なえば確実に脳震盪を起こします。人間の脳はゆさぶりに対してかなりもろく、障害を残す可能性もあります。「揺さぶられっ子症候群」という赤ちゃんの話は良く話題になりますね。振動を与えることで、脳と骨の衝突がくり返され、神経線維や微小血管が損傷を受けて障害となります。これは人間の脳が、頭がい骨に対して1kg以上という重量を持つためです。
猫や他の動物は人間ほどの大きな脳を持っていません。猫の脳は30gで、これは500円玉5枚程度の重さ。高所から飛び降りる振動や、激しい回転でも脳が傷つく恐れはほとんどありません。
猫にとっては水濡れで体温を奪われることは、死につながる問題です。大切な耳に異物が混入することも同様です。激しく頭を振ることは、猫が身を守る行動のひとつなのですね。

猫が頭を振る原因

猫が頭をぶるぶる振っているとき、まず考えられるのは耳の異常です。何か異物が入り込み、気持ちが悪いのかもしれません。耳の奥に落ち込んでいるのであれば、病院に連れて行き取り除く必要があります。拾った猫や、外遊びをする猫に多いのは耳ダニなどの寄生虫です。また、昆虫が耳に入り込んでしまうこともあります。ダニの場合には、死がいや糞が耳垢のように固まって、さらに炎症を引き起こすことも。感染症や風邪症状から中耳炎などの内部炎症を誘発しているときにも、耳を気にして頭を振ります。
しきりと頭を振っているのが、実は重い病気からのものである可能性もあります。脳炎や脳腫瘍など、脳障害があるときに頭を振る行動をします。良く観察すると、目の焦点があっていない、瞳がゆらぐなどの症状が同時に現れることもあります。さらに、食物や薬品で中毒を起こしているときに、症状として頭を振る様子が見られます。

頭を振って気にする時に考えられる病気

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猫が頭を振っていると「何かくすぐったいのかな」程度に思えてしまいますが、しつこく同じ動作をくり返している場合には、動物病院で獣医師の診察を受けさせた方が良いかもしれません。頭を振る時に考えられる病気には次のようなものがあります。

耳ダニ

耳ダニは猫に良く見られますが、頭を振ると同時に耳を良く掻くようになります。耳ヒゼンダニ、耳疥癬虫などが耳に寄生して起こる症状で、接触感染で他の猫にもうつります。耳の中をのぞくと赤い炎症が見え、黒い汚れ状の耳垢がこびりついている状態です。かゆみが強く、ひんぱんに掻きむしるので周囲にもキズができてカサブタになることもあります。外耳炎の治療とともに、ダニ駆除剤を投与する処置がとられます。

外耳炎・中耳炎・内耳炎

耳の外耳、中耳、内耳それぞれに炎症が起こっている症状です。原因はダニやカビ・細菌などさまざまですが、外側から内側に炎症が広がってゆく場合があります。猫風邪などが長引いて中耳炎となり、やがて内耳に達することもしばしばです。抗生剤や抗真菌薬の投与が一般的ですが、ひどくなると手術が必要となります。

脳炎

真菌や寄生虫、ウイルスなどが原因で、脳に炎症が起こっている状態です。脊髄にまで炎症が広がると、歩行困難など明らかな神経症状が見られるようになります。初期は、頭を振るなど様子が少しおかしい程度ですが、徐々に進行して麻痺やけいれんなどの症状が出るようになります。発熱、おう吐など猫風邪に良く似た症状で、発疹が見られることもあります。

耳血腫

普通は薄い猫の耳が、ぷっくりと腫れた状態になる病気です。打撲や血液の異常によって耳介で内出血が起きた場合や、キズから菌が侵入した場合などに発生します。また、外耳炎などになり頭を振ることで、血だまりができ耳血腫となる場合もあります。違和感があるので、頭を振るようになりますが、目立つ病気なのでその前に気づくことが多いようです。原因により対処が異なります。すぐに動物病院で診察を受けましょう。

脳血管障害

脳内の血管に詰まりが起こり、脳が壊死したり軟化する病気です。脳内出血や脳梗塞も含まれます。高齢の猫に多く見られますが、原因の特定はされていません。頭を振る、ふらつくなどの症状の他、おう吐やけいれん、旋回などが見られる場合もあります。急激に悪化し、意識障害を起こして死に至ることもあるので、異常があれば即時の処置が必要です。

前庭性失調症症候群

平衡バランスを司る前庭神経に炎症を起こしている状態です。頭を振る、傾げる他、眼球が揺れるなどの症状が見られます。内耳などの炎症が前庭神経にまで広がっておこる場合や、ストレス・外圧などが原因となる場合もあるようです。ホルモン薬やビタミン、目まいの薬の投与で、回復します。

頭を振っているときには良く調べる

猫が頭を振るということは、何らかの違和感を感じているということです。まずは耳など外見から異常がないかを確認しましょう。原因がわからず頭を振る行動が続くようであれば、すぐに動物病院で診てもらうのが一番です。猫の不快症状にいち早く気付いてあげられるのは、飼い主さんしかいません。

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