2016年6月24日更新

【獣医師監修】【一部を気にする】猫が耳を気にする・触る時に考えられる病気

ペット生活

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編集部

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猫が耳をしきりにかいたり、床や壁にこすりつけていたら、何か体に異変が起きているのかもしれません。外から見えない箇所に炎症が起こっていたり、異物が入っていて気持ちが悪いと、猫は落ち着きを失くします。頭を振るのも耳を気にしての行動です。いったい何が猫の気になっているのか、原因を突き止める必要があります。

 

猫の耳は優秀な集音器

White American Curl cat with blue eyes. Closeup portrait
猫の耳は人間の耳とは違い、とても良く動きますよね。少しでも気になるとその方向に動かして、音を聞き洩らさないようにできる構造をしています。猫のとがった耳は耳介と呼ばれ、たくさんの筋肉が集まっており、片方ずつバラバラに動かせる優れもの。耳介を含む外から見える範囲が外耳、さらに奥に行くと耳小骨、耳管、鼓膜などのある中耳、半規管、前庭、蝸牛などのある内耳があります。性能の良い集音器のような耳介で集められた音が、中耳の鼓膜を震わせ、内耳へと伝わっていきます。また、前庭と半規管は猫の優れたバランス感覚を司る、大切な役割も果たしています。猫にとって耳は人間以上に、生きることに直結した機関ともいえます。
ところが猫の外耳道は、途中でL字型に折れ曲がっています。そのため、通気性が悪く菌やカビが繁殖しやすいところです。多くの猫が外耳炎に悩まされるのも、この特有の構造が要因となっています。

猫が耳を気にする原因

猫が耳に触れたりひっかいたりするのは、人間と同じく違和感があったり、かゆみや痛みを感じるときです。もっとも多いのは、外耳炎や耳血腫などは比較的目につきやすい部位に発生するためわかりやすい病気ですが、外側から見てもわからない疾患であることも考えられます。
また、虫が入り込んだりお風呂の際に水が入ってしまう場合もあります。いずれにしても、猫にとっては不快症状であることに変わりはありません。
細菌やカビ、虫刺されから耳の中にに炎症が起こっていると、猫は落ち着かなくなりいつもと様子が変わってきます。かゆみのあまり周辺をかきむしり、脱毛や外傷の原因になることも。油断していると次第に食欲が落ちて、体力全体が低下してしまう猫もいます。特に幼猫や高齢の猫の場合には、わずかな不調から重症化してしまうため、わずかな耳の異常であっても放置は禁物です。また、何らかの疾病が耳の異常になって現れる場合もあります。

 

耳を気にする・触る時に考えられる病気

素材_shutterstock_109441973
過度に耳を気にする猫は見ていても切ないもの。早めに原因を特定して、完治を目指しましょう。

外耳炎

耳介を通った音が鼓膜へと向かう通り道が、外耳道です。外耳炎はこの部分に炎症が起こる症状を指し、「外耳道炎」とも呼ばれます。においのある膿が固まったような耳垢がたまったり、耳介への入り口部分まで発疹が現れる場合があります。痛痒さがあり、しきりと耳を気にするようになります。原因は寄生虫やアレルギー、虫刺され、菌の感染などさまざまです。飼い主のケア不足から発症することも多く、特にスコティッシュフォールド系の耳が折れた猫は、耳内の湿潤度が高いため外耳炎になりやすい傾向があるようです。

中耳炎

中耳には、音を神経に伝えるための需要な器官が集まっています。中耳炎は鼓膜、鼓室、耳小骨周辺に炎症が起こった状態を指します。外耳炎と併発して起きる場合が多く、炎症が広がると顔面神経や自律神経などにも影響を及ぼします。細菌やウイルスの侵入によって発症する他、中耳自体に発生した腫瘍が原因となることもあります。耳を触ったり頭を振るなどの他、頭を傾けるようになる猫もいます。

耳疥癬

耳ダニ症とも呼ばれ、耳の中にダニが寄生することで発症する病気です。猫のダニには、ネコショウセンコウヒゼンダニという全身に寄生する種類もいますが、耳ダニには主にミミヒゼンダニが見られます。体長は0.3mm~0.5mmと非常に小さく、肉眼で探すのは困難です。耳の中には、ダニの糞と混ざった黒い耳垢がみられます。耳の皮膚から血を吸う際の、小さなキズと猫自身の免疫性の体液によって、猛烈なかゆみを引き起こします。

耳血腫

猫の薄い耳介部分や穴の周辺に血液や体液による膨らみができている状態です。ダニなどによる炎症の他、ぶつけたりケンカなどによるキズも原因となります。放置すると内部の血液が固まり血流に支障が出ます。また、軟骨が変形することもあります。治療は軽いものでは注射で血液を抜きますが、切開が必要となる場合もあります。塊が血腫ではなく、腫瘍である恐れもあるため、必ず医師の診察を受けてください。

有害生物や植物によるもの

ハチや蚊、ムカデなどの虫刺されの他、毒性を持つカエル・ヘビに噛まれたり接触して被毛の薄い耳に異常が現れることもあります。また草をくぐって歩き、ウルシ科などの植物でかぶれる例も。キズの有無や耳周辺の異常なども確認をし、症状に合った治療が必要です。耳から全身症状に炎症が波及する場合もあるので、軽く考えないようにしてください。

大切な耳を守るために

薄くてとがった耳は猫を特徴づける可愛らしいアイテムですが、猫が生命を維持していくための大切な器官でもあります。炎症やキズを放置したために、耳全体を失うことになってしまうケースもあります。猫の様子を良く観察し、診察の際、獣医師に詳細をしっかりと伝えるようにしましょう。