2016年4月27日更新

【獣医師監修】猫が血を吐いた時に考えられる病気【排出物の変化】

猫はヒトと比較すると、吐くことが多い動物です。吐しゃ物に赤いものが混じっていたり、咳と共に血を吐き出すなどはかなりショックですよね。

すぐに病院に連れて行くのはもちろんですが、予め猫が血を吐く状況について知っておけば、慌てずに対処できます。猫が血を吐く時には、どんな病気を疑う必要があるのでしょうか。早速見ていきましょう。

猫はなぜすぐに吐き戻すの?


病気でもなく、良く遊んで元気があるのにゲッゲッと吐くのを、猫を飼っていれば誰でも経験することですよね。泡とよだれだけの時もあれば、今食べたばかりのものをそのまま、または適当に消化したものが出ることもあります。

猫が良く吐く理由のひとつに、モノを食べる際のおう吐反射が弱いということが挙げられます。人間は噛み砕けなかった食べ物や、噛みきれずに長いままの食べ物を無理に飲み込もうとしても、おう吐反射が起こって吐き出してしまいます。またおなかがいっぱいなのに、さらに続けて食べようとした時には、いわゆる「胃が受け付けない」状態となります。しかし、肉食である猫は犬歯で切り裂いた肉を丸飲みして、食事をします。多少消化に手間取りそうな大きなものであっても、無理やり飲み下してしまいます。

一方で、猫の胃袋はさほど大きくはありません。3kgの猫では牛乳1本にも満たない180ml。つい食べ過ぎて満腹以上になることもしばしばです。

そこで猫は消化しきれない分を、良く吐き戻すことになります。猫が吐くところを見ると、腹筋が大きく動き、全身で吐き戻します。その時は苦しそうでもありますが、吐けばけろっとしてまた餌を食べていることすらあります。

また、猫にとってはとても重要なグルーミングも、吐く原因となります。おなかの中に貯まったヘアボールを定期的に吐き出す必要があります。猫が吐き出すということは、健康を保つ上でも必要であり、また食事を摂ることとセットになるほど当たり前なのでしょう。

猫が血を吐く原因とは

猫が血を吐いた時の疾患には、大きくわけて2つが考えられます。ひとつは胃から出血している場合、もうひとつは気管支系からの出血です。

胃、食道などの消化器系からの出血は、吐血と呼ばれおう吐物に混ざって見られます。薄く混ざっている場合や、赤黒く固まっていることもあります。色は茶褐色のように少し暗い色をしています。良く見ないとわからないくらいのことも多く、見落として胃炎が進行してしまうケースも。

肺や気管からの出血は、喀血と呼ばれます。吐血に比べると鮮やかな色で咳と同時に吐き出します。肺炎や心臓病などの可能性もあり、重症化の恐れがあります。くしゃみと違い、猫の咳はあまり聞かれません。かなり悪化していると考えられるので、すぐに診察を受け、詳しい検査が必要になります。

その他では毒物が体内に入るなど、中毒を起こした場合に激しいおう吐をくり返し、胃壁や食道の壁が弱って出血をする場合もあります。おもちゃなどを誤って飲み込んで体内を傷つけ、吐き出そうする際、一緒に血液が混じるということも考えられます。

猫が血を吐いた時に考えられる病気

歯周病

血を吐いた!と慌てて病院に連れて行ったら、歯茎から出血していたという例も多いようです。猫も高齢になると歯周病が進み、ドライフードを食べる際に出血したり、吐き戻すときに血が混じったりということが起こります。歯周病の場合には、口臭がきつくなるなどの症状があります。歯のぐらつき、歯茎の腫れなど日頃から口腔内のケアとともにチェックしておきましょう。

胃炎

胃炎になる要因はさまざまありますが、猫風邪などの感染症、ストレスが原因となることも多いようです。また、遊んでいて腹部を強打し、内側から出血しているというケースもまれにあります。食欲があるか、おなかを触っても嫌がらないかなど、良く見て医師に報告すると良いでしょう。

胃潰瘍

胃の粘膜の上皮組織がびらん状態となり、下部組織まで病巣が至っている状態です。胃潰瘍の場合には、血が混じったコーヒー色の吐しゃ物が特徴となります。原因は胃炎の長期化によるものや、寄生虫・薬剤・ストレスなどが挙げられます。人間では確認されているピロリ菌の存在は、現段階では猫には確認されていません。おなかに触って嫌がるようであれば、胃潰瘍が進行している可能性があります。

寄生虫

主に小腸に生息する回虫によって、炎症を起こす場合があります。おう吐と共に回虫が吐き出されることもあるようです。子猫に対する健康被害が大きい事から若いうちに駆除することが多いのですが、感染力が高いので油断すると成猫にもうつります。重い症状がないだけに、原因とは気づかない場合もあります。

アレルギー性胃腸炎

食物アレルギーに気づかずに同じ餌を与え続けることで、消化器官に炎症が起こる症状です。薬の投与によって一時的に回復しても、再発をくり返す場合には、フードを変えるよう医師から指示される場合があります。

肺炎・気管支炎

細菌やウイルスによる感染症が原因で、肺炎や気管支炎を発症する場合があります。消化器系の出血と異なり、鮮血を吐くのが特徴です。心臓病の症状のひとつとして喀血が見られることもあります。

中毒

薬品や化学物質などによる中毒で、体内組織が破壊され、おう吐とともに出血します。下痢や発熱、急激な体力低下を伴うことが多く、緊急を要します。

血が混ざってる?と疑ったら

吐いた内容物に血らしきものが混ざっていたら、量に関わらず獣医師の診察を受けさせしょう。体内から出血するということは、体のどこかに異変が起きていることを意味します。重症化する危険性のある病気の可能性は、十分にあります。愛猫のためには、躊躇せずに行動することが大切です。

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