2016年6月2日更新

【動物法務のプロが解説】多頭飼育禁止の賃貸住宅で多頭飼育をしていたらどうなる?

山口 一哉



(一社)どうぶつ法務福祉協会・代表理事(行政書士)

一般社団法人どうぶつ法務福祉協会・代表理事/行政書士横浜いずみ共同事務所・代表。(一社)ペットライフデザイン協会理事。幼少期に犬を飼っていたことと、捨て猫との暮らしをきっかけに、何か出来ることはないかと模索していたところ、「動物法務」の存在を知り、開業を決意。平成21年行政書士事務所開業、平成23年横浜市に移転。成年後見、遺言、人と動物に関する許認可等各種手続や書類作成の支援が主な業務。平成27年一般社団法人どうぶつ法務福祉協会設立、同代表理事に就任。1級愛玩動物飼養管理士、愛護動物虐待防止管理士、少額短期保険募集人の資格を保有。

 

体が小さくスペースもとらない小型犬や超小型犬、また猫の飼育者の増加などもあり、賃貸住宅での多頭飼育の飼い主さんも今では珍しくありません。しかし、いくらペットと暮らせる賃貸住宅であっても、頭数無制限というわけにはいきませんから、一般的には賃貸借契約書等の規定に頭数制限があることがほとんどでしょう。そういった多頭飼育が禁止されている賃貸住宅で多頭飼育をしていた場合はどうなるでしょうか?賃借人・賃貸人の各視点でみていきましょう。

 

賃借人の立場から


当然ですが、契約違反は明らかですから、是正しなければならないということになります。そのまま放置するのは契約解除につながりますので、好ましい状況とはいえません。とはいえ、すでに飼育を継続してきている場合は、手放すのは容易なことではないでしょう。

しかし、飼い主の責任において何とかしなければならないのもまた事実です。まだばれていないからという場合でも、隠れてこのままという考えは、飼い主とペットともに窮屈な生活を強いられることになるので、好ましくはないでしょう。

賃貸人や他室賃借人との個別交渉という手段もありますが、必ず認められるというものではありません。賃借人はすでに契約違反により信頼関係を破壊しているともいえるため、交渉を断られても文句は言えないでしょう。

他室賃借人との関係もありますし、賃借人自身で新たな飼い主探しをしなければならなくなったり、退去の選択をしなければならなくなったりと、いずれ苦渋の決断をしなければならないときがやってきます。契約というものを軽く考えてはいけません。

賃貸人の立場から

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賃貸人にとっては他室賃借人との関係もあるので、賃貸人という立場からは放っておくことはできないでしょう。契約違反ですので、改善を促すことになるのですが、賃貸人が賃借人への改善を書面で行う等、対応履歴を書面に残すとよいでしょう。事実を積み重ねておくことが後の対応に役に立ちます。

ペットも入居者と考えると、契約前には十分な審査や説明、契約後においてもペットの写真、プロフィール等判別できる登録台帳の整備など、情報把握できるような工夫も必要でしょう。

 

最後に

少数ではかわいそうとの心理が働いてしまうものなのかもしれませんが、違反は違反です。トレーニングや日常のケアなども必要な場合もありますが、ペットが寂しい思いをしないよう飼い主が十分な愛情を注ぎ、絆を深め、共に快適に暮していけるようにしましょう。

今回のようなケースにかかわらず、どうしても手放さなければならない時がやって来るかもしれません。もちろん飼い主の責任として終生飼養しなければなりませんが、万が一の時に備えて助け合いや相談ができる仲間作りなどをしておくことも必要かもしれません。

執筆協力:伊藤成規(行政書士 (一社)どうぶつ法務福祉協会・賃貸住宅ペット問題担当アドバイザー)